株式会社イメージ・マジック

デザイナーやイラストレータなどのクリエイター作品、あるいは一般個人の撮った写真など、あらゆるコンテンツを瞬時にさまざまなアイテムに印刷し、最速で届ける仕組みを作り上げた株式会社イメージ・マジック。同社は、日本市場において 「オリジナルアイテム」の市場を創出しようと奮闘する気鋭のベンチャー企業だ。

「オリジナルアイテム」とは何か？そんな声が聞こえてきそうだ。それくらい、日本においてこの市場は未開拓だ。例を挙げれば、サッカー日本代表選手のネーム入りユニフォームや、アーティストのカレンダー、学園祭やサークル活動で着るおそろいのプリントTシャツなどがある。これらを買ったり、作ったりした経験のある人のほうが少ないだろう。しかし、外国を見てみると、たとえば米国では、オリジナルアイテムが文化として大いに浸透しているという。大リーグの人気選手のグッズをはじめとして、一般消費者も、たとえば子供が生まれたらその写真をプリントしたグッズを作って配るなど、オリジナルアイテム作りを楽しんでいるのだ。

ではなぜ日本では、オリジナルアイテムが広まらなかったのか。世界にひとつしかない自分だけのグッズに喜びを感じる人は、日本にも多いはずだ。その理由は、製作のコストが高すぎたことである。アイテムを作る企業が、利益率の低いこのビジネスに手を出したがらなかったのだ。

イメージ・マジックが注目されているのは、「オリジナルアイテムは利益が出ない」という業界の常識をくつがえし、たった一個の注文でも、最速で「翌日配達」というスピード感で、バラエティーに富んだオリジナルアイテムを作れる仕掛けを作ったことによるのだ。

また、フロントの受注システム（maker town）に加え、イメージ・マジックのクラウド生産管理システムODPS (On Demand Print Solutions）を連動し、工場受注～生産管理までを一括で対応することが可能。
ODPSとの連動・導入により、受注から加工・検品・出荷まで、各アイテム・案件をバーコードで管理しながら、シームレスな作業環境を実現できる。

同社の最大の強みは、自社工場に築いたローコストオペレーション体制である。製造ラインは、毎週のように作業効率の見直しを行ない、改善を繰り返している。徹底して無駄を省くことで製造コストが抑えられ、その結果、たった一個の注文でも収益をあげる仕組みが実現された。この仕組みを活用すれば、いよいよ日本でもオリジナルアイテム市場を創ることができるのだ。

同社では現在、この仕組みを利用したB2C B2B2Cの二つのサービスを提供している。

B2Cは、「originalprint.jp」というオリジナルアイテムの作成サービスだ。年賀状作成と同じような形に表現された自社開発のデザインツールで、スマートフォンケースやTシャツやマグカップなどさまざまな商品に、オリジナリティの高いコンテンツが印刷され、世界でひとつだけのアイテムができあがる。

もう一つは、EC・オンライン販売の需要増、カスタマイズグッズの認知度向上に伴い、デザインシミュレーターで出来上がりイメージを確認・購入できるECサイトを始めたいというご要望に応えた、「makertown」を展開。
直感的な操作にて登録・運用が可能なデザインシミュレーター付オンデマンドECサービスで、イメージ・マジック長年の運用ノウハウを引き継ぎながら、クラウドサービスとして初期コストの劇的な削減を実現している。

同社では、2009年末に複数のベンチャーキャピタルから約2億3千万円の増資を行なっている。2009年といえば、世界的な不況のさなか。このような大きな資金に込められた期待は大きい。それだけのポテンシャルを、このビジネスが持っているということでもある。資金は、 生産設備投資、生産管理プロセスの改良、優秀な人材の採用などに利用する予定で、まさにこれからがビジネスの本番であるといえる。

「一個からオリジナルアイテムを作ること、それはもはや『高くつく』ことではなくなりました。オリジナルアイテムを作りたいと思うとき、その心はとてもクリエイティブで、世の中に一つしかないものを持つという喜びを求めているのです。そんなニーズを現実にできたら楽しいではありませんか。実際、既にお客さまの反応に大きな手ごたえを感じています。2008年の調査 では、Web to Printの普及率がアメリカで50%、ヨーロッパで30%を占めるとされています。これに対して、日本は4%です。この数字からも、この分野の成 長性が大きいことが感じられると思います。私たちは、多くの人がオリジナルアイテムを楽しむような市場を創り出していくつもりです」。

こう語るのは、同社の創業者であり、代表取締役の山川氏だ。ビジネスのインフラはできあがった。あとは、その価値を世に知らせ、広めていく段階だ。仕組みを生かすためのアイデアも無限に実現していける。今後、どんなビジネスモデルを工夫できるかが勝負を分けるのだ。

社員達も異口同音に夢を語る。あなたなら、この仕組みをどのように生かし、これまでになかったようなサービスを作るだろうか？