株式会社ファインディックス

ITベンダーの、株式会社ファインディックス。同社は、業務系Webアプリケーションや制御系のシステム開発、AWSやGCP、Azureといったクラウドサーバーやネットワークなどのインフラの構築・運用・保守、及びクラウドソリューションのライセンス販売などをトータルに手掛けている。

主要クライアントは、大手通信キャリアや電子部品メーカー、広告・メディア企業など。エンドユーザーとの直契約が約80％以上と大半を占めるところは、同社の強みの表れだ。契約形態は、SES（準委任契約）にてチーム体制を中心に受託開発も手掛けております。サービスの特長は、顧客との距離の近さと、顧客の事業の根幹を担う業務の重要性にある。その一例は次のとおりだ。

・大手通信キャリアでは、携帯電話ショップ向けの様々な販売キャンペーンのシステムを構築。通常は要件定義や見積もりといった手続きを要する業務でも、リードタイムが極めて少ない中、概略的なオーダーを受けてリリースまで対応。
・メディア会社の基幹システムである情報誌メディアの製作システムの開発・運用を10年以上に渡って担当。
・世界トップシェアを誇るセンサーメーカーの、最先端製品の組込みシステムを設計段階から担当。

「当社のエンジニアチームが、あたかも“〇〇株式会社情報システム部ファインディックス課”といった存在感でお客様の内部に入り込み、先方の社員と一緒になって重要な業務を手掛けています。こうした信頼関係で長期間の取引が続いているところが多くあります。当社のエンジニアにとっては、何よりもお客様と直に接し、貢献度がダイレクトに分かるところは大きなやりがいに繋がっていると思います」と取締役の高森一徳氏は胸を張る。

クラウドソリューションとしては、Google WorkspaceやMicrosoft 365といった製品を代理店として取り扱っているが、単なる販売に止まっていない。ユーザーの課題に応じたツール活用の提案や導入後のフォローアップまで踏み込んだサービスを行っている。「目的はプロダクトの販売・導入ではなく、あくまでもお客様のDXの実現」と高森氏は話す。

今後の事業戦略としては、“クラウド”“AI”“SAP”を軸としてさらなる成長を目指す構えだ。

同社は、2006年10月、代表取締役の柳井利明氏が設立した。その経緯を、創業メンバーである高森氏は次のように説明する。
「柳井は熱い人間で、『エンジニアがエンジニアらしく活躍できる会社をつくろう』と、私を含む前職時代の有志10名とともに飛び出して創業しました。前職の会社はITだけでなく建設系の技術者なども含めた人材サービスを手掛けていて、一部門に過ぎないエンジニアとしてその価値が高められるようなところがなかったからです。そうではなく、技術を追求しお客様に喜ばれ、エンジニア自身も喜べる会社をつくろうと考えました」

集まった10名のエンジニアは逸材ぞろいだったことが幸いし、以前の顧客から指名で業務の要請が入り、事業は順調に立ち上げることができた。これが現在の直取引率の高さに繋がっている。
「技術力だけでなく、顧客対応においても“縁”を大切に対応してきた人間性が評価されたと自負しています」（高森氏）。

その後、こうした顧客がグループ会社や業界他社などに紹介し、取引先が広がる。
一方、エンジニア採用も1年間は求人広告など一切出さず、10名の紹介だけで40名ほどを一気に集めることができた。
「10名のエンジニアと一緒に仕事できることを魅力に感じる人がすぐ入社してくれました」（高森氏）。

そんな同社は、指針として次のビジョンを掲げている。

・技術力を向上させ、全世界へ貢献できる会社となる
・常に、未来に対して還元できる社員を育成する
・法令遵守を徹底し、社会に認められる会社を目指す

「常に最新の技術力を身に着けてお客様に評価されるとともに、こうした当社の強みを次の世代に継承していくことに力を入れてきました。このため、2008年から毎年欠かさず新卒採用を続け、近年では10名以上を採用しています。よく幹部社員の間で『自分の子や孫が胸を張って働ける会社にしよう』と話しています」と高森氏は話す。

先述した今後の成長戦略の具体的な内容として、次の領域を検討している。
①AWSなどクラウドのマネージドサービスを活用した環境構築支援
②AIの活用に向けたマネジメントシステムの提供
③SAP-ERPのバージョンアップや改修などのサービス
「これらの新領域は、いずれもエンジニアがボトムアップ的に提言したものであり、会社が呼応して案件開拓を行っています」と高森氏は強調する。

同社は、会社設立から18年で約160名の組織に成長した。そのうち80％をエンジニアが占める。平均年齢は34.3歳（2024年3月現在）。そんな同社が大切にしている価値観は、次の2点。

①技術力の向上
②お客様に喜ばれること

これらは、独自のミッショングレード制で推進している。職務のレベルを4つのグレードに分け、グレードごとに求める業務やスキルのレベルを定義し、それに対する担当顧客の期待度や成果を勘案して人事考課を行っている。また、グレード別の研修カリキュラムも用意し人材育成を図っている。
「上位グレードのメンバーに対しては、社長の手づくりによる講座があります」（高森氏）。

カリキュラムは内製を基本に、一部外部の研修サービスも活用。そのほか、600以上の講座があるe－ラーニングサービスも自由に利用できる。

さらに、資格取得も会社が奨励金を支給して支援。その対象資格は情報系に止まらず、簿記など広範に及ぶ。「社員が申請しお客様の役に立つものであれば基本的に適用される」と高森氏。
なお、年1回の成果発表会で活躍した社員やプロジェクトチームを表彰している。

また、同社は社員が株主となっており、年1回、「株主総会」的に決算報告会が行われている。そのほか、毎年秋のBBQ大会などの社内イベントもあり、普段顔を合わせることのない社員同士の親睦を図っている。

働き方としては、東京・丸の内に移転した新本社オフィスが広く快適な環境となり、「それまでの在宅ワークからオフィスワークに切り替えているエンジニアが増えており、社内コミュニケーションがより活性化している」と高森氏は話す。

そんな同社の求める人材像について、高森氏は次のように期待を寄せる。
「やはり技術が好きで、自発的に学ぶ成長意欲の高い人。そして、お客様に対応する上でコミュニケーション力もあるとなお良いですね。ぜひアクセスしてください！」

同じSESでも、ユーザーが見えない現場よりも、直取引の顧客の中に入り込み、顧客に喜ばれることがダイレクトに実感できる同社の現場は、やりがいが段違いに大きいと言えるだろう。