株式会社P'Sネットワーク

株式会社P'Sネットワークは、水資源が豊富な「紙のまち富士市」に本社・工場を構え、インターネット通販により全国からノベルティグッズの製作を受注し、自社工場にて印刷・製造を行っている印刷会社。2003年の創業から、常に先端技術と仕組み化にこだわりを見せ、印刷業界の常識にとらわれることなく、「国内最安値」「国内最速発送」「国内最高品質」にチャレンジしてきた。

静岡県富士市にある本社工場には、世界的印刷機メーカーであるドイツのハイデルベルグ社製の最新印刷機「アニカラー」をはじめとする各種最先端の加工設備を持つ。プリプレスからプリンティング、ポストプレスまでの一連の流れを最先端のシステムで一元管理することによって各工程の無駄を極限まで省き、それぞれの設備のパフォーマンスを常に最大限発揮できる体制を整えている。

「創業時からインターネット通販をメインにして、新しい印刷会社の形を模索してきた会社です。クリアファイル・うちわ・卓上カレンダー等、商品を８アイテムに厳選することで仕様を絞り、製造工程を極限まで最適化。これにより、オフセット印刷では予算的に難しかった小ロットの製造でも、当社は低価格にて提供可能にしました」(事業部長・田中氏)。

同社が創業した当時は、インターネットが本格的に普及し始めた時代。業界に先駆けて、ノベルティグッズ製作をインターネットで受注する印刷会社を設立。その後もインターネット専業印刷会社として業界をリードしてきた。

「納期による異なる価格設定を導入したのは、おそらく業界初の試みです。従来であれば、急ぎの仕事は営業が見積もりに上乗せする形で利益を確保していました。そうすると、お客様とのやり取りが増え、受注までに時間がかかってしまいます。それなら、事前に価格を明示することで、短納期・高価格に了承したお客様からの注文に絞ることができます」(田中氏)。

同社は創業から20年以上が経った企業だが、業界内においては、まだまだベンチャーマインドを持って、印刷業界のビジネスモデルの変革にチャレンジしていく。

「印刷業界は、職人の世界でした。しかし、当社は先端テクノロジーを活用することで、作業を平準化し生産フローをシステム化することで、新しい印刷会社の経営に取り組んできました。今後も業界の常識にとらわれることなく生産性を高め、シュリンクしている印刷業界でシェア拡大を目指します」(田中氏)。

印刷業界は、かつての勢いを失いつつあるといっても、約5兆円の市場規模を持つ。長期的に市場が縮小するのは避けられないだろうが、業界内の再編は今後も加速が予想される。時代の流れに敏感に反応し、新しいスタイルを取り入れた会社だけが生き残る。これは印刷業界に限った話ではない。

「市場が縮小している印刷業界にあって、当社の事業は順調に成長しています。コロナ禍で一時売上は落ちましたが、現在は回復しています。今後も最安値・最速発送・最高品質にチャレンジし続け、シェア拡大を継続していく計画です。加えて、時代の流れに合わせた新しいニーズの掘り起こしにも積極的に取り組んでいきます」(田中氏)。

同社の主力商品は「クリアファイル」。創業当時、1,000枚が最小ロットとされていた。けれども、同社では100枚単位で受注可能な生産体制を構築し、これまでクリアファイルをノベルティとして作る予算がなかった企業をターゲットにすることに成功した。

「最低1,000枚は作らないと採算が取れなかったクリアファイルを、100枚単位で請けることができる体制を整えたことで、新たな市場を開拓しました。今後も技術や仕組み化を積極的に進めて、新しいニーズを発見し、それを育てていきたいと考えています」(田中氏)。

例えば、クリアファイルを100枚単位で発注できるなら、顧客ターゲットを企業に絞る必要はなくなる。イベント等に参加する個人がグッズを製作して、配布あるいは販売することも可能なのだ。

「世界的に有名な同人誌イベント“コミケ”に代表されるように、個人で創作活動をしている人は全国に大勢います。彼らを顧客ターゲットに据えることで、新しい市場を形成できます。“推し活”という言葉が市民権を得た現代では、個人がグッズを作る可能性も大いにあります。印刷会社が小ロットニーズに対応することで、ノベルティグッズの可能性も大きく広がります。そのために重要課題と位置付けているのが、Web人材の増員・強化です」(田中氏)。

既存事業の拡大だけでなく、新しい市場を開拓するには、ECサイトを新設したり、Webマーケティングを進めたりする人材が必要。P'Sネットワーク、そして印刷業界、ノベルティグッズの市場の成長を担う人材を同社は広く募っている。

「当社は印刷会社ですが、インターネット通販の会社でもあります。今後の成長には、ネット業務の強化がポイント。Web関連の業務は現状、3名で進めていますが、今後の成長を見据えて増員に踏み切りました。パート・アルバイトも含めて、５０名に満たない小さな組織ですが、１７億円以上の売上がある会社です」(田中氏)。

印刷業界において新しい試みを積極的に進めてきた同社。働き方に関しても業界のイメージを刷新するために努力を続けている。

印刷業界は「長時間労働」が常態化しているとイメージされるが、同社では業務効率化を推進することで、就業時間内に業務を終えられる仕組みづくりに注力してきた。

「多くの印刷会社では、業務フローの可視化ができておらず、どれぐらいの時間で仕事が終わるかが不明瞭で、それが長時間労働に繋がっていました。当社では、業務フローを徹底的に見える化し、生産性の高い働き方を推奨しています。どれだけ効率良く時間内に仕事を進めるかを各自が追求し、会社も生産性高く働く人材を評価する制度を整備しました」(田中氏)。

オフィス環境も素晴らしい。2014年にできた現在の社屋は、広々として快適に過ごすことができる。工場内も清潔に保たれており、室温も一定。昔の印刷工場が持つ“暗い”“汚い”イメージとはかけ離れている。

「技術や設備にこだわってきた会社なので、快適に働ける環境の整備にも力を入れてきました。Webチームでもスペックの高いマシンを用意する等、ストレスフリーで働ける環境整備に努めています。当社代表がロジカルな人物なので、現状の課題とそれに対する解決策、コストやリターンについて、事実に基づいた提案をすればたいていの場合、通ります」(田中氏)。

社員の健康を考慮し、本社社屋の2階には「GYMスペース」を設置。社員は誰でも無料でトレーニングマシンを使うことができる。3階にはキッチンを備えた広いダイニングスペースがあり、毎日、社長が自ら「スープ」を作って社員に提供している。これが「美味しい！」と社員からの評判が良いという。

「社長が毎日、日替わりでいろんな味のスープを作ってくれます。キッチンで毎日ご飯を炊いているので、社員はおかずだけ持参すれば、美味しいランチを安価で食べられます。社長のスープが驚くほどおいしくて、社員はみんな楽しみにしています。社員同士の仲が良い会社なので、みんな食堂に集まってランチを楽しんでいます。社内イベントも積極的に開催し、2年に1度の社員旅行は海外旅行がメイン。異国の文化に触れることで刺激を受け、良質のサービスを通じてサービス精神を養ってほしいという思いから、海外旅行にこだわっています」(田中氏)。