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PaMeLa株式会社

  • IT/Web・通信・インターネット系
  • 製造・メーカー系

脳波とAIで痛みを視覚化。世界の医療現場を革新するスタートアップ企業

自社サービス製品あり
残業少なめ
カジュアル面談歓迎

企業について

株式会社PaMeLaは、大阪府を拠点に“人工知能を用いてヒトの痛みの強さを数値化し、客観的評価を可能とする医療機器”の研究開発を行うスタートアップ企業だ。2021年に探索的治験を終え、現在は2025年夏の薬事承認を目指した検証的治験を開始したところだ。

従来、医療現場において痛みを把握するには、患者の自己申告に頼る方法しかなかった。10cmの矢印を引き、「右端を人生で感じた最も強い痛みとした場合、現在感じている痛みは何㎝か」を問うことで痛みを推定する。だが、その際に想像する「人生最大の痛み」は人によって変わる。また、同じ痛みがあったとしても、その感じ方や表現の仕方も一律ではない。そのため視力検査や聴力検査のように世界中の人を同じ物差しで判断することはできない。

痛みを一律な基準で評価できなければ、痛みに対する正しい医療処置ができない。本来、鎮痛剤を処方すべき度合いの痛みがあったとしても、患者自身が痛みを過小に評価したり申告したりすれば適切な投与は行えず、反対に処置の必要がない患者が、自身の痛みを過剰に申告すれば、無用な投薬が行われてしまう。

このように痛みを正確に把握できず、薬が適切に投与できないことで生じるのがQOL低下や医療費増大といった社会課題だ。代表取締役社長・後藤宏明氏が語る。

「鎮痛剤を過剰に処方してしまうと薬への耐性がついてしまったり、副作用が発生したりします。そうならないよう痛みの度合いに応じた正確な量を投与する必要があります。逆に痛みが過小に評価され必要な処方が行われない場合は、痛みが抑えられずに放置されることで慢性痛に繋がります。痛みが慢性化すると痛みの閾値が下がり、普段はさほど痛くないものが激しい痛みに感じられるようになります。痛みはゼロにしなければなりません」(後藤氏)。

慢性痛は日本だけでも2,000万人以上存在すると言われ、通院、治療薬に加え、労働力の損失など、国の経済的な損失は年間2兆円にも上ると試算されている。

こういった社会課題を背景に進められてきたのが、同社が研究開発をする『PMS-2』である。ヒト脳波データを教師データとして用いて“痛み推定アルゴリズム”を構築。患者の主観的感覚が入り込みにくい脳波に機械学習を用いることで、痛みの推定精度を向上させている。患者が何も言わなくても痛いかどうかがわかる機能を持つことから『痛みの自動判別システム』とも呼ぶ。脳波を用いた痛みの自動判別システムは世界初だ。

また、痛みの度合いを0から100の数値で表し、リアルタイムで表示させるとともに、時系列データも視覚で把握可能。鎮痛剤の種類に応じ、その場で痛みのコントロールができるようにするなど、臨床現場で使用しやすい工夫もしている。病室でも使いやすいよう、付け外しが簡単な小型脳波計などを参考に、コンパクトなハードウェアを設計し実現している。

同社の研究は、客観的な評価に基づいた精度の高いペインマネジメントを実現するものとして、医療現場からは大きな期待が寄せられている。2021年に終了した探索的治験では、臨床現場から好意的に受け止められた。さらに2023年12月にはアメリカの大手テクノロジーおよびITの専門誌「CIOReview」のAPAC版で、日本におけるペインマネジメントのトップ企業として同社の特集が組まれるなど、海外からも注目を浴びる。

「痛みの客観評価は世界的に求められていますが、痛みを客観的に測ることは技術的なハードルが高く、脳波を用いた痛みの数値化の方法は世の中には存在しません。そのため当社には大きなご期待を頂いています」(後藤氏)。

同社の強みはアルゴリズムの構築にある。痛みを持っていない被験者に擬似的な痛みを与え脳波のデータを収集し、あらゆるタイプの被験者データ(サブジェクト)をAIに学習させて、脳波の傾向と痛みのパターンを組み合わせたライブラリを作成。それぞれのライブラリをモデル化して、痛みの評価基準とする。

執行役員兼製品開発部部長・山本正人氏は、自社の強みを次のように語る。

「闇雲に大量のデータを集めるのではなく、例えば年齢や性別をスクリーニングしてデータを集めます。AIの領域はいかに統計的にデータを整理していくかがポイントです。その技術に長けていることが当社の強みです。特に生体情報というバラツキの大きなデータを扱っているところに当社の特殊性があります」(山本氏)。

現在進行中の治験は、手術後の疼痛管理の中で行われる痛みの診断に用いられている。手術による痛みの残り方は、術後24時間から48時間のペインマネジメントが適切に行われるか否かで極端に変わる。従来型の手法と同社が開発した『PMS-2』を使った判定結果を比較しながら、精度を検証しているところだ。

治験が終了し薬事承認が通ればいよいよ一般に広めていける段階へと入るが、これまでなかった新しい医療機器のため、一般家電のような広め方はできない。国と相談しながら事業戦略を練り、医療機関ごとに話し合いを重ねて導入を進めることになる。ただ、同社が研究・開発を進めるシステムは、痛みに起因するあらゆる問題の解決に対応できるため、スケールの大きなビジネスに発展する可能性を秘める。

「当社が開発する『PMS-2』は、術後疼痛だけではなく、腰痛や肩の痛みといった慢性疼痛や癌性疼痛、在宅医療、創薬支援(治験評価項目への追加等)等、幅広く活用できるシステムです。世の中には、痛みを正しく評価できないことで様々な問題が存在しています。当社が目指すのはそういった問題を全て解決するプラットフォーマーです」(後藤氏)。

薬事承認およびビジョンの実現に向け、同社が現在注力しているのは、『PMS-2』のコアテクノロジーであるアルゴリズムの強化だ。ペインマネジメントのあらゆるシーンに対応していくため、アルゴリズム開発の精度向上や拡充を推し進める。

同社は、大阪大学で長年取り組んできた“痛みを可視化・数値化”する研究の成果を実装するため、2016年2月に設立された会社だ。技術や製品の原理試作を終え、POC(Proof of Concept)が確認できた段階で体制を変え、製品化に向けた準備を進めているところだ。

現在、同社を指揮する後藤氏は、2021年に行ったシリーズCの資金調達時に投資家という経緯を持つ。2023年6月の就任以降、新たなフェーズに向けた体制作りを進めてきた。

「当社はあくまでも技術に特化したR&D型のスタートアップです。自社で量産したり売ったりする想定はありません。ある程度、技術のベースを構築した後は、大手企業との提携を考えています。組織作りの上でも、そのために研究、リサーチの拡充を中心に進めています」(後藤氏)。

現在、同社の従業員は約10名。ソフトウェアやハードウェアの開発を担う製品開発部、国との折衝や治験設計などを担う臨床開発部、そして管理部の3部門が足並みを揃え事業に取り組んでいる。自社の成長のため、アルゴリズムの高度化、洗練を推進するにはデータサイエンティストの補強が課題だ。

「多様なバックグラウンドや知識を持った技術者がいた方が開発は効率的に進みます。これまで、WEB系エンジニア、大学出身のアカデミアな人材、エジプト大学出身のAI技術者、システムからオールマイティにこなせるソフトウェアエンジニアなど、バランスを取りながら多様な人材を集めてきましたが、アルゴリズムを拡充するための人材が不足しています。そこで生体信号を理解し、過去にデータ解析や整備に関わったことがあるデータサイエンティストを求めています」(山本氏)。


R&D型の組織を運営する上で、後藤氏や山本氏が意識してきたのは、技術者が自由に働ける環境作りだ。スムーズに開発を進める上でコミュニケーションを重視するため、出社型の勤務を基本とするが、成果さえ出せればいつどこで仕事をしていても構わないという基本方針のもと、10時から15時までをコアタイムとするフレックスタイム制を導入、不意な事情で出勤できないことがあれば在宅での勤務も可能とする。福利厚生の一環で、ワンコインで昼食が摂れる社食制度やお茶やコーヒーの飲み放題など、出社しやすい環境を整えている。

同社が求めるのは、自分の業務範囲に限界を設けずに、積極的にキャパを広げていける人材だ。一人一人の担当領域が広いことは小規模のスタートアップ企業ならではの特徴であり、自身の可能性を追求したい技術者にとっては魅力の1つでもある。

「当社は世界で初めて痛みを数値化する技術製品のプラットフォーマーを志向している会社です。ここまで革新的なプロジェクトに参画するチャンスは貴重です。集まるメンバーも、サムシングニューや世界にインパクトを与える新しいものを作り、世の中に出したいという考えに共感する者ばかりです。会社は1つの船のようなもの。周りのメンバーと常にコミュニケーションを取り、是正し合ったり、助け合ったりして活躍していただける方のご応募をお待ちしています」(後藤氏)。

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インタビュー

PaMeLa株式会社のインタビュー写真
代表取締役・後藤 宏明氏(右) 執行役員兼製品開発部長・山本 正人氏(左) 代表取締役・後藤 宏明氏 国内飲料メーカーの研究職、コンサルティング会社を経て、大手樹脂加工メーカーの新事業開発・知財部マネージャー、素材化学特化のVCで国内外スタートアップ出資。2023年6月同社に参画。代表取締役就任。 執行役員兼製品開発部長・山本 正人氏 計測器を製造する日本の企業や外資系企業等を経て1997年に日本のオーディアビジュアル・無線機器メーカーに参画。OEM事業部企画部長、事業統括部長。2023年2月同社に参画。執行役員兼製品開発部長就任。

── PaMeLa社に参画した経緯をお話し下さい。

(山本氏)私は40年近く、オートモーティブのインフォティンメントの領域で仕事を行ってきました。JVC・ケンウッドを定年退職した後もイタリア、ドイツの企業で仕事をしていましたが、ドイツの企業との契約が切れたタイミングで、当時、当社の管理部で部門長を務めていた方からお声がけいただきました。医療機器を扱った経験はありませんが、技術的なところは分かっています。技術者としても非常に面白いと思いました。新しいことにトライしてみようという想いもあり、参画を決めました。

(後藤氏)私は大学院ではアルツハイマー病の創薬を研究し、飲料メーカーに就職してからは乳酸菌を使... 続きを読む

企業情報

会社名

PaMeLa株式会社

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > システムインテグレータ・ソフトハウス

製造・メーカー系 > 医薬品・医療機器

IT/Web・通信・インターネット系 > ソフトウェア/パッケージベンダ

企業の特徴
カジュアル面談歓迎、自社サービス製品あり、残業少なめ
資本金

9,568万円

設立年月

2016年02月

代表者氏名

後藤 宏明

事業内容

医療機器製造業
医療機器販売業

株式公開(証券取引所)

従業員数

9人

本社住所

大阪府豊中市新千里東町1丁目4番1号 阪急千里中央ビル6階

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