TRUSTART株式会社

TRUSTART（トラスタート）株式会社は、不動産データのデータベース化を推進する不動産TECHカンパニー。自社で構築したデータベースを活用し、不動産業界をはじめ、金融機関や投資家へ情報サービスを提供している。

土地や建物の不動産取引は、法律や権利関係等が複雑に絡み合っているもの。高額な金額が動くこともあり、不動産売買をする際は、事前に物件の細かい情報をくまなく調べる「不動産調査」を実施する。法務局で入手する不動産登記データだけでなく、土地や建物の現状、周辺環境等の現地調査を実施して正しい情報を得る。不動産取引に関係する法人や組織、あるいは個人も独自に「不動産調査」を行うが、アナログで煩雑な作業が沢山あり、実にコストが大きい。

そんな手間と時間がかかる「不動産調査」にフォーカスしたのが、同社が提供する不動産調査サービス『R.E.SEARCH（リサーチ）』。不動産の住所や座標と所有者を入力するだけで、不動産調査のデータが取得できるWebサービス。日本全国にネットワークを有し、あらゆる地域での不動産調査に対応する。

「自社開発の不動産データベースを活用することで、不動産調査業務にかかる時間・コストを大幅に削減します。データベースにない不動産は、迅速に不動産調査を実施してお客様へ納品する一方で、データベースをブラッシュアップします。データベースを常に最新の状態に保つべく、日々データ収集とデータベースのアップデートを続けています」（代表取締役社長 CEO・大江洋治郎氏）。

同社が提供するサービスは、不動産調査に止まらない。不動産ビッグデータ提供サービス『R.E. DATA（リデータ）』は、不動産事業以外のビジネスにおいて、不動産データをマーケティングに生かすソリューション。金融、リユース、士業等、幅広い業界をターゲットにサービス運営をしている。

「不動産を所有している人は、多くの悩みを抱えています。不動産を相続すると、空き家問題、生前整理・遺品整理、相続対策等、課題が満載です。当社が保有する不動産データを活用することで、そんな悩みを抱えた人達へ、リーチすることが可能となります。不動産データの提供だけでなく、ダイレクトメールやWeb広告等のマーケティング施策もサポート。データ分析に基づいた継続的な集客効果を提供します」(大江氏)。

直近で相続や差押え等で所有者の異動が発生した不動産に関する情報を毎月届ける定額サービスや、あらかじめ指定した不動産を毎月モニタリングして、所有者の異動情報を提供するサービス等、不動産データベースを活用した事業を展開している。

2020年5月に創業した同社。不動産調査の支援業務を通して、独自の不動産データベースの構築を進めてきた。創業者である大江氏は、信託銀行の出身。在職中に「出向起業」という制度を活用して、同社を立ち上げた。

設立から2年後の2022年には、親会社であった信託銀行から完全独立。そのタイミングでベンチャーキャピタルからの出資も受けた。信託銀行の傘下を離れたことで、地方銀行との提携もスタート。不動産業界以外の領域にサービス提供範囲を広げた。

そして、2023年に同社の事業は大きなステップアップを果たす。不動産ビッグデータを搭載したSaaSプロダクト『R.E.DATA Plus（リデータ プラス）』のリリースだ。

「当社が保有する不動産データベースの基礎情報を、ユーザー自らが検索して自由に閲覧することができるクラウドサービスです。不動産会社や金融機関の営業は、飛び込みやポスティングといったアナログな手法が依然として残っており、データを利活用したマーケティングに取り組む企業は未だ少ないのが現状。『R.E.DATA Plus』を活用すれば、様々な業界の営業活動がスマートに変化します」(大江氏)。

SaaSプロダクトの開発にあたり、同社は社内にエンジニアチームを組織。スキルの高い技術好きのエンジニアが集まり、不動産データベースを活用したサービスの開発を急ピッチで進めている。

「リリース済みの『R.E.DATA Plus』ですが、機能追加やブラッシュアップはこれから本格化します。不動産データベースとSaaSの開発、両方を進めていきます。当社のエンジニアは、フルスタックな技術を持ったメンバーが多く、開発でもフロントとバックで役割分担せずに、フルスタックとしてどちらも担当します。技術力を高め、市場価値の高いエンジニアを目指す人材には最適な環境が整っています」(大江氏)。

同社が進める不動産データベースの開発は、不動産会社の業務DXだけでなく、マーケティングやセールスにも活用できる。それだけでなく、地方の空き家や未使用の土地を可視化することで、地方活性化にも使える等、日本の社会全体に与えるインパクトは大きい。

「不動産会社の無駄を削減するために始めた事業ですが、実際にデータベースが出来てくると、いろんな可能性が生まれてきました。今後は、土地や建物だけでなく、太陽光発電の設備等もデータとして扱えば、そこに新たなビジネスの可能性が生まれます。単なるシステムやデータベースの開発ではなく、不動産ビッグデータでいろんな課題を解決するのがTRUSTART。人とデータで全てを可能にする会社です」(大江氏)。

2022年3月に信託銀行から独立した時、メンバー4人だった同社も、エンジニアをはじめ、各ポジションで人材採用を積極的に推し進めてきた。その結果、現在は約30名の正社員を中心に、業務委託やインターン生、パートタイム等も含め、全体で60名規模の組織となった。人材の積極採用は今後も引き続き進められ、早い段階で正社員だけで50名規模を目指している。

「エンジニアチームだけでなく、セールスやカスタマーサポート等、ビジネスサイドの人材も積極的に採用していきます。設立5年に満たないスタートアップですから、会社の規模や売上拡大に合わせて、ポジションが新設されます。現段階で入社してくれる社員には、コアメンバーとしての活躍を期待しています」(大江氏)。

組織拡大を目指して採用強化中の同社。2023年8月には、シリーズAラウンド4.5億円の資金調達を実施し、累計で6億円の資金を調達。その資金を使って、社員の働く環境整備や企業カルチャーの創出にも力を注いでいる。

オフィスをフリーアドレス化して、チャットツールのテキストコミュニケーションに頼り過ぎないカルチャーを作り、週に1度は集まって相互理解や現在の仕事の状況をシェア。コミュニケーションの活性化を図り、メンバーから出た提案を即実行に移す。マニュアル化、書類整理、スクリプトによる自動化等、生産性向上を実現する仕組み化にも余念はない。

「当社は、Trust・Agility・Challenge・Teamwork・Factの5つのバリューを掲げています。事実に基づいて物事を客観的に判断し、スピード感のある仕事を通してさらなる価値を生み出す。同じ目標を持つ仲間のために考えて行動し、未知の領域に挑み続ける。そして、何よりも『信頼から全てを始める』。人材採用の選考では、カルチャーマッチを重視しており、信頼して共に当社の未来を作れるメンバーを求めています！」(大江氏)。