株式会社FPコンサルティング

株式会社FPコンサルティングは、日本では珍しい独立系のFP法人だ。証券仲介業や保険代理店業に付随するFPサービスと異なり、金融商品を販売することなく、純粋にFPのコンサルティングを行う。創業は2002年。生命保険会社でトップセールスを誇っていた代表取締役の岡崎謙二氏が、保険や金融を販売する以前にお金にまつわる相談や教育を提供したいと考え、同社を創業した。「FPサービスは、アメリカでは一家庭に一FPというくらいに知名度がありますが、日本では珍しい。弁護士さんのFP版のようなイメージです」こう説明するのはバックオフィス全般を担当するマネージャーの千田由希氏だ。

とはいえ、個人で決して安くはないコンサルティング料を払える人は多くない上に、BtoCのサービスではオペレーションも煩雑だ。そこで同社が着目したのはBtoB。企業や労働組合といった法人に対する顧問契約をメイン業務とする。法人が福利厚生の一環として導入し、従業員や組合員に対して無料の個人相談、セミナー、各種専門家の紹介等のサービスを提供するスキームだ。老後資金に数千万円が必要とも言われ、自己責任や金融リテラシー向上が求められる昨今のニーズに応えるサービスで、導入は順調に進んでいる。クライアントにはインフラ、自動車、商社、製薬、メーカー等の日本を代表する企業の労働組合等がズラリと並ぶ。

このように着実に実績を積み上げていたところ、金融リテラシー向上を目指し体験型投資学習アプリを展開するITベンチャー、グリーンモンスター株式会社の目に留まり、2022年12月にグループ入りした。決して飲み込まれたわけではない。FPコンサルティング側にとっては、飛躍に繋がるチャンスを手にした形だ。「グループ入りする前は良くも悪くも個人商店のようでした」と振り返るのは千田氏。IPOも実施したグリーンモンスターを一つのモデルに、そのリソースも活用することで業務効率化や事業拡大、顧客の利便性向上等を実現。グリーンモンスター側はFPの知見を得る。双方にとって強みを補完するWin-Winな協業だ。

既に成果も出ている。グリーンモンスターのノウハウを駆使して利用者向けアプリ『maneC（マネシー）』を開発し、顧問契約先の従業員がFP相談予約をアプリでできるようにした。小さな一歩ではあるが、個人商店的に展開していた頃にはできなかったDXが確実に進んでいる。今後はシミュレーション等の役立つメニューをどんどん拡充することで、提供価値は加速度的に上がっていくだろう。目に見えるグループ入りの効果であり、実際、グループ入り後の法人契約も伸びている。

主力事業の法人顧問契約は、非常に優れたビジネスモデルだ。一つはシンプルに、従業員・組合員にとってFP相談が福利厚生のメニューとして利用価値が高いこと。個人で相談するには敷居が高いが、ニーズは強い。福利厚生にあれば嬉しいだろう。もう一つは法人ごとに高度なカスタマイズが可能であること。個別相談やセミナーは、その会社の給与体系やほかの福利厚生メニューを熟知した上で、より実情に即した形で提供できる。例えば医療保険のアドバイスならば、会社の福利厚生で受けられるサービスをベースに、足りないものを民間のサービスで付加するといったアドバイスだ。

直接のクライアントである会社や労働組合にとっても、FP相談を通じてその会社でずっと働くことをイメージ付けできるほか、福利厚生メニューを周知し、会社の良さを再認識してもらう効果もある。従業員のエンゲージメントに直結する一石二鳥にも一石三鳥にもなるモデルなのだ。実際、FP相談は多く、満足度も高いという。加えてセールス面では、特に労働組合は横の繋がりが強いため、同業他社が導入するとほかも倣う傾向にある。このようにして順調に契約を伸ばしてきた。

現在は労働組合の法人契約が多いが、対企業の契約も徐々に増えてきており、これから本格的に展開していく考えだ。「組合様と比較すると、企業様はどう業績にいい影響があるかをよりシビアに問われるマーケットです。その点、今はウェルビーイングというワードが企業経営において注目を集めており、我々が提供する『ファイナンシャルウェルビーイング』は、健康、お金等、将来にわたって不安を払拭するもの。エンゲージメントに密接に関わり、企業業績にもいい影響があると考えています」と千田氏。

実際、管理職となって組合を抜けた後も個人的に有料でコンサルティングを受ける社員も多く、人材の定着に一役買うものとして手応えを感じているところだ。この法人顧問契約のモデルを企業へ、あるいは教職員組合等、自治体の組織へと横展開を進めていく。

先駆的なビジネスモデルだが、現状、競合はない。「確かに似たようなサービスを展開している会社はあり、注視はしていますが、大手企業の取り込み等において当社がだいぶ先を行っている状態です」と千田氏。優秀なFP達も、金融商品を売ることなく100%顧客の立場に立ってコンサルティングできることに魅力を感じ、続々と参集している。スケールする準備は十分にできている。

グリーンモンスターのグループに入り、スケールに向けてアクセルを踏んでいるFPコンサルティング。今は言わば第二創業期だ。グリーンモンスターは2024年3月、東証グロース市場に上場。さらに信用が増し、FPコンサルティングを強力に後押しする。

この転換期に改めてパーパスも策定した。「お金の不安がない社会の実現」だ。加えて行動指針として「Clear Forward」、「Thank Forward」、「Step Forward」の三つのワードを定めた。「Clear Forward」は、上司部下関係なく誰に対しても透明性のあるコミュニケーションを図りながら仕事をすること。「Thank Forward」は、関わる相手全てにリスペクトを持ち、感謝の言葉を口にすること。そして「Step Forward」は、リスペクトに相応しい人間になれるよう、結果にコミットしながら成長していくことを表現した。社員は常にこの言葉、このマインドを意識して仕事に邁進している。

評価制度も整備した。行動指針の遵守、タスク達成のスピードと質、自分自身の能力向上の3点を数値化して評価し、より多くの貢献をした人に還元する。公正な評価で、意欲高く結果を出している人に報いる。元々、創業者の岡崎氏をはじめ初期から会社を支えてきたメンバーは、バイタリティー溢れるプロフェッショナル達。そこにグリーンモンスターのガバナンスやITノウハウが加わり、より効率的に、より利用者の利便性を高めながら成果を上げていくスタイルにシフトしている。個の力の強さはそのままに、より増幅されていくイメージだ。

市場も大きく、やるべきことは沢山ある。千田氏は言う。「例えばウェルビーイングには、お金だけでなくキャリア、フィジカル等いろいろな領域が含まれます。それぞれのプロフェッショナルと提供し、当社がハブとなってアプリ一つで全方位的なコンテンツを提供できるようになれば、より利便性は向上します。そのようないろいろな可能性をゼロイチで考えられるような人材に、仲間になってほしいと思っています」

これから入る人達にも、既存のメンバーのようにやるべきことを自分でどんどん見つけ、市場を切り開いていってほしい。FPコンサルティングのパーパスや目指す世界観に共感し、カルチャーもフィットするならば、間違いなく刺激的で面白い環境だろう。社会に対して絶対的にいいことをしていると微塵の迷いもなく誇れる仕事でもある。実際、「ありがとう」と言われる場面も多い。「それを糧に頑張っていますね」と千田氏。そんなFPコンサルティングの第二創業期を支える人材を求めている。