アーチーズ株式会社

アーチーズ株式会社は、「知識の民主化」というミッションを掲げ、アジア最大級の“エキスパート・ナレッジシェアリング・サービス”を展開しているスタートアップ。“Share Knowledge, Empower Asia　知識のシェアリングを通じて、アジアの架け橋へ”というステートメントを標榜し、2024年6月現在、日本（東京）、中国（上海）、ベトナム（ホーチミン）、シンガポール、ウズベキスタン（タシュケント）の5拠点を展開、19か国からの131名の社員が活躍しているグローバル企業である。

いま、企業はグローバル化やDXなど様々な経営環境の変化に直面する中、難易度が高まる一方の課題に社員の知見だけでは対応しきれない状況がある。一方、日本でも副業や兼業が広がり、自らの知見をシェアして役立ててもらおうという人材が増えている。同社は、アジアというフィールドでこうした両者を結び付け、クライアントの課題解決に繋げるプラットフォームを運営している。

同社が提供しているサービスは、次のとおり。

●エキスパートマッチング
インドのIT企業CTO、日本の製造業のDX担当者、中国の政府系機関職員、インドネシアの小売業購買担当責任者、アメリカのヘルスケア研究者といった多地域・多領域のエキスパートを10万人以上ネットワークし、その知見を必要とするコンサルティング会社や投資会社、事業会社など250社以上のクライアントとマッチングする。知見のテーマとしては、サービス／プロダクトの評価、特定の地域における市場規模や成長性、競合の動向、規制・法律、最新技術・トレンド等、多種多様。
なお、同社ではクライアントが求めるエキスパートを、SNSや独自開発のスクレイピングツールを活用して探し出しアサインする100名以上のリクルーティングチームを配置している。

●エキスパートソリューション
エキスパートの知見を盛り込んだ調査レポートの作成や戦略アドバイス、エキスパートの助言や派遣を通じたプロジェクトの実行支援を行う。

●エキスパートナレッジバンク
エキスパートへのインタビューを基にした知見のテキスト化によるデータベース。エキスパートマッチングが“1対1”の関係性に閉じられた知見の提供であるのに対し、エキスパートナレッジバンクはクライアントがこうした知見を“1対多”で手軽に、かつ定額制で何度でも入手できるという特徴がある。

なお、同社では、以上のようなエキスパートの知見のテンポラリーな利用だけでなく、エキスパートそのものを雇用する人材紹介サービスも手掛けていく予定だ。
「エキスパートの知見に対するニーズにワンストップでお応えできるサービスをフルにラインナップしていきたいと考えています」と代表取締役CEOの加藤洋気氏は話す。

同社は、加藤氏と取締役の神原奨太氏が共同で2019年5月に創業した。

官僚の父親と商社勤務の母親の間に生まれた加藤氏は、「日本企業の海外進出はどうあるべきか」といった家庭での会話の中で育つ。東京大学経済学部時代はアジアに特化した戦略コンサルティング＆投資会社でのインターンシップや学生団体でも熱心に活動し、卒業後は「Made in Japanを世界へ！」という思いで大手総合商社に入社する。

エネルギー部門に配属されて新規事業開発案件を担当し、海外出張も頻繁にこなす。新たなビジネスの仕組みをつくってグローバルでたたかう面白さを味わう一方、大きな組織では自分が活躍して成果を出せる立場になるまで時間がかかり過ぎると感じた。そこで、3年後に退職し、学生時代にインターンをしたコンサル会社（現・東証グロース市場上場）に舞い戻る。
「インターン当時は5名でしたが、小さな組織を大きくする仕組みを学びたいと思っていた時に、社長から『戻ってこいよ』と声を掛けてもらえてラッキーでした」（加藤氏）。

転職前に旅行をした東南アジアに引かれていた加藤氏は、入社2年目にベトナムオフィスを立ち上げるとともに現地に移住する。
現地での2年間のビジネスで東南アジアマーケットの可能性を再認識する一方、正しい情報にアクセスしにくいという問題点も実感する。
「企業が海外進出を検討する際、本当の情報がわからず分析資料ができないといったことが日常茶飯事でした。そこで、情報収集の仕組みがあれば伸びるマーケットに進出する手助けができると確信し、そのままベトナムで起業することにしたのです」（加藤氏）

同社の起業には、「日本を誇れる国にしたい」との思いがあるという。
「海外進出を考えても、リスクを考えて足踏みしたり、ノウハウがない中でためらう企業が多いと思います。また、実際に進出しても失敗して撤収する企業も多いです。こうした中で、当社がサービスを通じてそういった企業の後押しをするだけでなく、当社自身が海外で成功しロールモデルとなって刺激を与えたい。そうして、日本の良さを世界に伝え、日本と世界を繋ぐ架け橋になりたいと思っています」と加藤氏は力を込める。
なお、同社はVCなどから累計6億4,000万円の投資を受け、2027～28年のIPOを計画している。

131名の社員の出身国は、日本以外にベトナムや中国、韓国、タイ、インド、イラン、イギリス、ドイツ等、19か国に及び、平均年齢は28歳と若い。そんな社内を束ねる基軸として、次のValueを掲げている。

・Own Grit
・Have Proud, Throw Pride
・Embrace Diversity

1つ目、“Grit”とは“Guts（根性）”“Resilience（回復力）”“Initiative（自発性）”“Tenacity（粘り強さ）”の頭文字を取った造語。KPIを重視するマネジメントにおいて、「コミットした業務目標の達成に自ら粘り強く取り組む」といった姿勢を表す。

2つ目、「仕事に誇りは持っても、余計なプライドは捨てて謙虚に取り組む」といった姿勢を表す。ハイレベルな人材が揃うクライアントに対して最適なサービスを心地よく提供するとともに、仕事を通じてスキルやノウハウを吸収し成長できるようにする狙いがある。

3つ目、社員はもちろん、クライアントやエキスパートも多国籍である中、「多様性を尊重・包容する」マインドを重視する。

マネジメントポリシーとしては、前述のとおりあらゆる職種において明確なKPIを設定し、その達成を重視する。KPIは全社の目標を各部門や個人にブレイクダウンされる。
「社内では“Strict but Caring”と言っていますが、KPI達成を厳しく求める一方、どうすれば実現できるかはしっかりサポートするという方針です。人材育成はOJTが基本ですが、個人が非常に成長できる環境があると自負しています」（加藤氏）。
人事考課は、KPIの達成度および行動内容で半期ごとに評価している。また、月次および半期ごとにMVPなどの表彰も行っている。

グローバルの各拠点に在籍するメンバーは普段はオンラインでやり取りしているが、密なコミュニケーションや一体感の醸成の上でリアルなコミュニケーションを重視。そこで、四半期ごとを基本に全員がベトナムに集って社内パーティーを開催している。そのほか、チームごとのディナーやチーム間交流ディナー、クリスマスやハロウィンなどの季節行事、社員旅行（不定期）も実施している。

そんな同社が求める人材像について、加藤氏は次のように期待を寄せる。
「まず、成長意欲が強いこと。会社を成長させたい、そのために自らが成長したいという気持ちをどれだけ強く持っているかが肝要だと思っています。会社の成長ペースより本人の成長ペースが遅ければ存在感はどんどん縮小してしまいます。ですから、会社が倍に伸びれば本人も倍に伸びる意欲を発揮してほしいです。
そして、素直で謙虚であること。“Throw Pride”とも共通しますが、余計なプライドがあると成長が阻害されてしまうからです。
さらに欲を言えば、好奇心があって多様性に寛容であるとなお、いいですね」

グローバル人材として成長したい人にとって、同社の募集は見逃せないだろう。