株式会社フルエナジー

“顧客に寄り添うマルチクラウドインテグレータ”を標榜する、株式会社フルエナジー。同社は、Oracle Cloud Infrastructure（OCI）を中心に、AWSやAzure等によるマルチクラウドを取り扱い、その移行および周辺サービスを提供している。

その特長は、顧客に徹底的に寄り添う姿勢にある。
「一般的なSIerは『当社の業務はここまで』と線を引くものですが、当社はお客様が『これでプロジェクト完了』と言うまで、お客様と一緒に汗を流すスタンスをモットーにしています」と専務取締役COOの松本昭史氏は言う。

顧客のためだけではない。設立以来“エンジニアのための会社”を経営方針に掲げる同社として、利益よりもエンジニアのチャレンジ機会を重視し、そんなエンジニアに賭けてくれる顧客が同社を選んでくれているという側面もある。
「その結果、技術力がアップし、お客様にもいいサービスが提供でき、双方の満足に繋がるという大きなメリットを感じています」（松本氏）。

同社のクラウドインテグレータとしての大きな特徴としては、2017年にOCIがリリースされた時点からオラクル社のパートナーとしてOCIの設計・構築・運用を手掛け、その実績や公開事例が多い点にある。

その実績を積み重ねてきたエンジニアは今も成長を続けていて、技術者としての総合力を評価するKPIを着々と達成していっている。同社は、日本オラクル社からの紹介案件が多く、難易度が高いプロジェクトでも果敢に挑戦している点を評価されている。成功事例及び技術者KPI達成状況を定期的に日本オラクル社に共有することで、並外れて技術力が高いフルエナジーというポジショニングを常に維持しようとしている。

さらに、同社が主導してOCIのユーザーグループ「OCIjp」を他のオラクルパートナーと共に結成し、これまで56回の月次セミナーを開催、延べ3,000名以上が参加するというムーブメントも起こしている。

なお、OCIの特徴は、後発のパブリッククラウドとして、先行するAWSやAzureの欠点を当初からクリアしたプラットフォーム設計を行っている点が大きな強み。特に、高度なパフォーマンスとセキュリティ機能を標準装備し、非常に安価で利用できる点は大きな強みだ。
こうした点が評価され、現在OCIユーザーが急伸している状況にある。それに伴いOCIを扱い始めるクラウドインテグレータが続出しているが、当初からOCIを手掛けている同社は希少な存在だ。

周辺サービスとしては、オラクルのローコードアプリケーション開発プラットフォームであるOracle APEXの技術支援、Fastly CDN/WAFを活用したWEB系サービスの導入支援、大規模データを安全に安価にストアするWasabiストレージサービスの導入支援、統合監視基盤のZabbix Serverの構築およびサポートサービス等を提供している。

現在の顧客としては、OCI、AWS、Azureの取扱実績として、延べ63社にサービスを提供。客層も中小企業から売上高数兆円規模の大手まで幅広い。その95%がプライムでの取引である点も特徴的だ。

同社の設立は2007年9月。外資系ITベンダーのエンジニアを経てフリーランスのインフラエンジニアとして活動していた松本氏が、2004年に司法書士の山川高志氏と出会ったことが契機となった。
「お互いに意気投合し、親しくなったのです。その後、松本が忙しくなってフリーランスでは限界となり、会社設立を考え始めました。私は司法書士として会社設立登記のプロでもありますが、相談を受ける中で一緒に会社をつくればシナジーを発揮できて面白いんじゃないかと感じたのです」と代表取締役の山川高志氏は説明する。

「山川は信頼できる誠実な人間なので、自分はエンジニアとして現場を見るから、ぜひ代表として経営に専念してほしいと頼みました。その役割分担は今まで続いており、非常に上手くいっています」と松本氏は補足する。

前述のとおり、設立時から“エンジニアのための会社”を経営方針に掲げ、クラウドアーキテクトやデータベースエンジニア、ネットワークエンジニア等“インフラエンジニアリングのスペシャリスト集団”を形成してきた。その同社の最初の顧客が、幸運にも日本オラクル社だった。会社を立ち上げた当時は、チームとして常駐するスタイルで業務を行い、当時広がり始めていたサーバーの仮想化を手掛ける。
「役務の提供だけでなく、同社に常駐してITサービスはどうあるべきといったことも学びながら技術力を吸収していきました」（松本氏）。

「その後、クラウドコンピューティングの台頭により、エンジニアが活躍できる範囲を広げることができ、常駐型の仕事スタイルをやめ、お客様と直接対話をしながらクラウド案件をやり遂げてきました。そして、いつの間にか、95%がプライム案件として直接取引できるようになっていました。」（松本氏）。

現在、同社が掲げているPurposeは次のとおり。

Your Energy × Technology × Fullenergy =「　　　」
あなたと共に、技術で挑戦する

「　　　」の中の空白は、“あなた”によって様々な未来や価値が生まれることをイメージしてもらう狙いがある。
「“あなた”とは、採用における求職者であり、サービスを共に構築するパートナーであり、サービスを提供するお客様でもあります。このメッセージは、“あなた”と当社が掛け合わさることでどんなことを生み出せるかをイメージしてもらい、ワクワクしてもらえれば嬉しいといった気持ちで考えました」（松本氏）。

今後も、“エンジニアのための会社”の方針をぶらすことなく取り組んでいく構えだ。

2024年11月現在、同社の社員数は20名。クラウドアーキテクト、データベースエンジニア、ネットワークエンジニア、プリセールス・カスタマーサクセス、およびPMOの領域別チームに分かれている。プロジェクトごとに各チームからメンバーがアサインされて業務に当たるという、マトリクス組織体制だ。

働き方はリモートワークが主体であるが、各チーム週1回はオフィスに出社してミーティングを行うほか、隔月でオンラインによる全体ミーティングを開催して必要な情報共有やディスカッションを行っている。

そうした場で、経営層等がメンバーに要望し浸透を図っている、次の「フルエナジーバリュー」がある。

00 / Together　仲間を大切に：
フルエナジーは人が中心の会社（根幹）
01 / Professional Team　技術のプロフェッショナルチームである：
お客様の課題解決に向けて、最善の提案をし、ともに汗を流す。一人一人がプロフェッショナルとしての自負を常に持ち続ける。
02 / Changing, Challenging　変わり続けられる、挑戦し続けられる：
技術は常に進歩を続けている。既存の枠組みや常識に捉われることなく、変わり挑戦し続ける。仲間の挑戦を後押し。
03 / Be Honesty　相手にも、自分にも、誠実でいられる：
目先の利益追求ではなく、心から信じられる価値提供を頑張る仲間に賞賛を送り、支え合う。正しい報酬を。
04 / Your Own Way　自分らしく働く：
自分の理想の姿に近づくための働き方を自ら作り出し、支援する。ワークライフバランス重視型、成長型、稼ぎたい型など・・・ 個々の成長を後押し。

“エンジニアのための会社”の最たる施策が、「収益は最大限にエンジニアに還元・投資する」ポリシーにある。
「みんなで稼いだ利益はみんなのために使うという方針を徹底し、エンジニアのスキルアップや端末等の業務環境向上、そして“Pay Advance型”の評価・報酬制度に還元しています」と山川氏は話す。
“Pay Advance型”の評価・報酬制度とは、“Pay Now型”の成果主義でも“Pay Later型”の年功序列でもない、「個人が持つポテンシャルに先行投資する」という同社独自の考え方。この結果、管理職よりもエンジニアの報酬の方が高くなる傾向がある。

評価は、①担当した案件による粗利額、②技術力の伸び、③技術面や営業面、社内への貢献度の三つの角度から、年1回実施。②は、前述のオラクル社施策の評価KPIを活用、③は自己申告および他己評価を基にしている。
「“フルエナジーバリュー”を実践すれば、結果的に評価に繋がっています」と松本氏。

そんな同社が求める人材像は、プライベートでも触るほど技術が好きで、誠実かつ素直であること。

OCIに強いマルチクラウドインテグレータとして稀有な存在であるとともに、エンジニアファーストの同社。やりがいの大きい環境があると言えるだろう。