株式会社エイワンシステムズ

株式会社エイワンシステムズは、大きくインフラ系（サーバー、ネットワークおよびOS、ミドルウェア等の製品）と、アプリケーション系（エンドユーザーの業務システム）のそれぞれ設計・構築および運用支援を手がけるソフトウェア開発会社。前者は95％がIBMのメインフレーム機「System z」、5％がIBMのUNIXサーバーおよびワークステーションの「System p」による案件が占め、日本アイ・ビー・エムおよびエンドユーザーから高い信頼を得ている。後者もまた、エンドユーザーのシステム開発のいわばエージェントの立場で要件定義の作成から手がけることもあるなど、高く信頼されている。こうした「信頼性の高さ」が、同社の大きな特長といえよう。

同社が設立されたのは1986年。その直後から、大手銀行系システム開発会社からプログラミング業務を受託。徐々に実績を重ね、設立以来堅実な業務を通じて信頼関係を構築している。

現在、代表を務める市瀬貴之氏は、2011年10月に二代目の社長に就任したばかり。45歳と大幅に若返り、30年近く培ってきた風土を大切に継承しつつも、Webシステムなどこれまで手がけてこなかった新分野に積極的にチャレンジし業容の拡大に打って出る。

インフラ系の業務案件のエンドユーザーは、カード会社など金融系がメイン。したがって、何よりも安全確実なシステムの構築・運用が求められる。また、機密性も高く、同社メンバーはエンドユーザーもしくはパートナー会社の開発現場に出入りして業務を進める。そこまで内部に入り込んでの業務を依頼されるということが、何よりの信頼性の高さの証といえよう。なお、同社メンバーは数名がチームを組んで詰めることになり、基本的には同社チームリーダーからマネジメントやOJTを受けることになる。そして、インフラ基盤構築にかかわる業務を手がけることで、コンピュータシステムの根幹の理解を深めることもできる。これらのことは、エンジニアとして大きな魅力に違いない。

アプリケーション系の業務においては、大きく2つの立場に分かれる。1つは、ベンダーやSIerからの一般的なシステム開発業務の受託。そしてもう1つは、エンドユーザーのエージェント的立場としてのシステムコンサルテーション業務である。これは、エンドユーザーのシステム開発ニーズに対するコンサルテーションを行い、要件定義をまとめてベンダーやSIerに対してシステム開発を要請し開発プロセスをチェックするというもの。後者のほうがより上流工程に属し、付加価値の高い業務といえる。エンドユーザーの業務内容およびシステム開発に関する高いレベルの知識や理解力が問われる。こうした業務の獲得はハードルが高いが、同社は今後積極的に増やしていく方針だ。

そして、今後は手つかずであったオープン系、ネットワーク系の業務にも積極的にチャレンジする。特にWebの業務システム開発案件は主要なターゲットだ。

開発現場が分かれている同社においては、会社としての一体感を醸成することも怠りない。月に1回の全社ミーティングで15名の社員全員の業務状況を共有するほか、その後に行われる懇親会や年2～3回行われるレクリエーションなどで懇親を深めている。レクリエーションは、業績好調の場合は海外旅行にも出かけている。

そんな同社の風土について、取締役の安部貴志氏（39歳）は次のように言う。
「以前は大手ベンダーで働いていましたが、学歴や年功序列という壁があり、実力を正当に認めてもらえない環境を感じていました。当社は正反対に、自分の実力をストレートに評価してくれます。自分を必要とされていると感じられるので、モチベーションが高まりますね」

また、同じく取締役の宮澤幸一氏（49歳）は次のように言う。
「上下関係を気にしなくても済む、アットホームな自由さがあります。居心地がいい会社だと思いますね」

そうした企業風土は、創業期からのもの。市瀬社長は、風土作りについて次のように言う。
「メールのない時代から、社員同士がよく話し合い意思疎通を図っていいモノをつくってきました。そのような良好なコミュニケーションができる風土を基盤に、一人ひとりの考え方をきちんと汲み上げてビジネスを展開していく理想的な会社であることを維持していきたいと考えています」

そんな同社では、高い技術力よりも、やる気を持って堅実に仕事に取り組む人材を優先的に求めている。信頼されている環境で信頼される存在を目指すにはまたとない会社といえるだろう。