株式会社ウイング

1994年11月に創立されたソフトウェア会社のウイングは、現在、主力のソフトウェア開発から、システム環境構築および整備までを幅広く手がける業界の旗手的存在だ。その底力の秘密は、現場レベルの経験を踏まえ、開発・運用でその価値が実感できるプログラムデザインをしっかり行うことこそが必要であるという考え方と、その実践によって支えられている。<br /><br />現在は、メーカー系システム、金融、パッケージ開発と、その範囲はさらに拡大中だ。また近年では、海外製を含むオブジェクトパッケージの統合、再整備も行っている。通常、中規模のソフトウェア開発会社は、多くがアウトソーシング体制を取っている。リスク分散という意味も含め、自社でまかないきれない技術や運用法を他社に任せるのだ。<br /><br />しかし、ウイングにその発想はない。末端まで自社の手にかけたソフトウェア開発と、その運用を手がけている。つまり、仕上がりまでイメージし、企業として責任を持ってクライアントにサービスを提供する。それゆえにこそ、クライアントの喜びがじかに実感でき、また自分たちの喜びへとつながると考えるからだ。

ウイングではチーム制で仕事に従事している。通常6-7割の仕事がクライアントのもとに出向するが、それも単身で出かけていくのではない。あくまでもソフトウェア会社というプライドを持ち、各ジャンルのプロが多角的にケアするという考えからである。その意味でも、ウイングには結束力があり、スタッフ同士仲が良く、また社内コミュニケーションもよく図られているようだ。<br /><br />現在、社員は２３名。うち２０名が中途採用者だ。一般の採用は少なく、口コミや紹介で入社したケースが多い。しかし、中途採用について、取締役でシステム開発部長の丸田氏はこう語る。<br /><br />「能力があるけれど伸び悩みがある人、自分のレベルよりこの会社の技術が高いのでは…と躊躇している人、そんな人は悩んでいないで、ぜひウイングに来いただきたいですね。今できなくても、潜在能力のある人は必ず伸びるし、実際、伸びています。また当社は、意識が高ければ伸びる環境が整っています。さらに、入社してから、こんな会社とは思わなかったとマイナスを感じないよう、入社前にできるだけ多くの社員と話をしていただくようにしています。良いところだけを話して入ってもらうのでなく、納得して入っていただきたいと思っているからです」。

「プログラムを作っていて何が楽しいか」。ウイングの社員が時に突き当たり、また質問される疑問だという。これに対し、システム開発部長の丸田氏は社員の気持ちを汲んでこう答える。<br /><br />「自分が作ったプログラムが動くとうれしいのは当たり前。でも、みんなでコミュニケーションを取って作ったものが動いた時は、ひとりで作った時よりもっとうれしい。そして、これがお客様に提案できる価値あるものとなればさらにうれしくなるんです」。<br /><br />技術は日々進歩していくもの。それを仲間と一緒に追いかけ、キャッチする。まさに、ウイングには「最初に技術者ありき」という言葉がぴったりなのだ。<br /><br />金融関係のシステムから携帯端末機用のシステムまで、止まる所を知らない底力は、その根底に次のような社風があるからに違いない。「とにかく、社員全員から『入社してよかった！』と言ってもらえる会社。それを、みんなで作るのが第一義だと考えています」丸田氏はインタビューをそう締めくくった。