株式会社ブックスキャン

「本をたくさん買って読みたいが、置く場所がなくて困る」

このような悩みを持つ読書家は少なくないだろう。そんな読書家向けに、株式会社ブックスキャンによって2010年4月に提供を開始されたのが、世界初となる低価格蔵書電子書籍化+廃棄サービス『BOOKSCAN（ブックスキャン）』だ。1冊あたり100円という低価格で、書籍をスキャナーで読み取ってPDFデータ化し、端末に応じた形式で小さな画面でも文字が読みやすくなるよう無駄な余白を除去するとともに、画質を最適化し、ファイル容量を適切なサイズに変換してくれる。スキャンした後の原本は、不正に再流通することで著者や出版社の不利益になることを防ぐために廃棄処分（溶解処理）する。

現在、類似したサービスはいくつかあるが、このビジネスモデルに先鞭をつけたのが同社だ。サービス開始以来、当初ターゲットとしていた読書家にとどまらず、国内外の大学・医療機関、視覚障害者、出版社といった幅広い層に評価され、国内外多数のメディアで紹介されるなど、大変な注目を浴びてきた。2名でスタートした事業だが、現在では東京、大分、米国等に7拠点を構え、全従業員数300名を超える規模にまでに急成長を遂げている。

同社の強みは、電子書籍の提供方法として特許をした国内唯一の独自システム『BOOKSCANチューニングラボ（C）』だ。市販のスキャナーで電子化した場合、カラーPDFでは端末によって、ページめくりが重い、文字が読みづらい、文字の形がおかしい、表示が薄いなどの不具合が生じることがある。それに対して『BOOKSCAN』でデータ化したPDFは、『チューニングラボ』を使って端末に応じたPDFファイルに変換することによって快適に閲覧することが可能となる。『チューニングラボ』はSONY Reader、Kindle、iPhone、Android携帯（国内で販売されている合計130機種）などあらゆるデバイスに対応している。さらに専用のチューニングサーバーを使えば、納品後のPDFを任意の端末用に変換することも可能だ。これらのシステムは全て無料で、しかも納品後何度でも利用することが出来る。この『チューニングラボ』の存在が、類似サービスとの決定的な差を生んでいるのである。

『BOOKSCAN』のビジネスモデルは、創業者が、個人蔵書約2000冊の保管場所に困り、自らスキャンしてデータ化していたことがきっかけとなって生まれた。創業者自らの経験から、書籍の電子化サービスのニーズは見込まれたが、スキャンした後の蔵書の保管場所がネックとなった。自身の経験ではデータ化する以前は、読み終わった書籍を中古書店に宅配買い取りしてもらっていたが、古書流通は著者には全く還元がない。書籍の電子化サービスが広まれば、著者だけではなく、出版社、取次店、新刊書店、印刷会社、製紙会社などの出版ビジネスに影響が出ることが危惧された。そこで、データ化したあとの書籍そのものを廃棄処分（溶解処理）とする方法を思いつく。これによって、スキャンした後の書籍が合法的に再流通されることはなくなり、著者を含めた出版業界に影響を及ぼすことはない。

2010年4月中旬、サービスサイトの完成と同時にサービス開始をTwitter、プレスリリースなどで告知。家庭用スキャナー3台でのスタートする予定だったが、あまりの反響の大きさに、サービス開始と同時にスキャナーやPCなどの増設をしたばかりか、約1か月後には新作業スペースへの移転、スタッフ増員を余儀なくされた。同年5月下旬には、スタッフ約20名、家庭用スキャナーは49台、サーバー108台という体制となり、それでもなお作業待ち5か月という状態が発生していた。

爆発的な成長は、その後も続き、社内業務のシステム化や裁断機やスキャナーなどの独自仕様化などによる業務体制の強化を図るとともに、サポートセンターの開設や、ダウンローダー、チューニングラボ、『BOOKSCAN Reader』、『BOOKSCAN Checker』の提供開始によるサービスの拡充を進め現在に至っている。

2010年4月のサービス開始以来、急増するニーズに着実に応えながらサポート体制の整備、サービス拡充に努めてきた同社だがその勢いはまだまだ衰えそうにない。これまでに行ってきたサポート体制の整備やサービスの拡充の殆どは社内から上がった要望・アイデアなどを具現化したものであり、そのような新しいプロジェクトは、絶えることなく常に立ち上がっている。
それを可能とするのが同社の社風だ。設立間もないベンチャー企業らしく、少人数で風通しがよく、積極的な企画提案、アイデア出しなどは受け入れられやすい環境だ。2014年7月現在では約50のプロジェクトが進行中だが、今後はさらに100プロジェクトを目指す計画である。

同社では、個々に高い目標を持ちつつ、いかに楽しく、面白く仕事をするかを考える仲間たちが、志を共有し、充実感の中で仕事をしている。サービス開始以来全力で走り続け大きな転換期を迎えた同社が、ともに成長できる人材を募集中だ。

同社が求めるのは、若くグローバルマインドを持ち、自身の才能を存分に開花させたいと思考錯誤をしながら、会社に貢献することに限りない時間と能力を費やすことが出来る人材だ。

「あらゆる仕事はデザインに通じる」

それが同社の仕事に対する考え方だ。既存の制約の中で最適なオペレーションフローを設計することや、複雑なものに重み付けをして本質以外の無駄なものを省いて物事をシンプルにするなど、あらゆる物事の設計とWebなどのデザインは、設計という意味では共通点が多い。答えの無いゴールに向かって、試行錯誤をしながら最適解を見つける努力を怠らない。そんな人材の参画に大きな期待を寄せる。