株式会社ugo

ネットで上質な印刷物を手頃な価格でオーダーできる総合印刷サイト「Suprint（スプリント）」を運営している、株式会社ugo（ユーゴ）。「明日までに販促用のチラシを1000枚準備したい」といったニーズに、一般的な印刷会社に発注した場合の3分の1～8分の1程度（5日後出荷の場合）といった低価格で応え、業績を伸ばしている。

そんな同社は多彩なWebサービスを開発しており、このほど仙台に開発拠点を設けるに当たり、エンジニアを募集している。

同社が設立されたのは2007年。企画・デザインから画像処理、印刷まで手がける総合印刷会社の株式会社帆風（Vanfu）の社内ベンチャーとしてであった。「Suprint（スプリント）」を構築し、創業直後から“印刷のネットショップ”市場の発展の波に乗る。

「一般的な印刷市場が縮小を続ける中、4年間は倍々で成長し、以降は安定的に成長を続けています」と創業を手がけた代表取締役の渡部玲児氏は言う。

同社が目指すのは、印刷物がコモディティ化する中、専門的な印刷知識がなくても誰でもいつでも簡単にオーダーでき、あたかも“家庭のプリンター”のように使ってもらえる最も使いやすい印刷サービス。

「例えば、Wordで簡易に作成された画像つきの原稿を受け取って、美しくデザインされた販促チラシ1枚から低価格で納品する。（同社のデザイン代行サービス）あるいは、お客様の既存サービスと連携をして印刷をサービスに組み込む。そんなことも、ITや既存インフラの活用で可能です。こうした利便性を突き詰めて、印刷市場の残存者利益を獲得していきたいと考えています」と渡部氏は言う。

「Suprint（スプリント）」が圧倒的な低価格で印刷物を提供できるのは、日本全国からサイズと紙質を統一したオーダーを集め、コストのかかる版の作成を一つに集約し、印刷後に分割して納品するから。これが可能になったのは、「ブロードバンド回線の整備が進んで重いデータもハイスピードで送れるようになったから」（渡部氏）だ。そして、東京23区内ならば最短で当日納品も可能にしているのは、都心部に2,400坪の印刷工場を擁し、24時間体制で稼働しているからだ。

さらに、“誰でもいつでも簡単に”オーダーできるように、同社は青森県八戸市に専用のカスタマーセンターを設けて、早朝の7時から深夜24時まで顧客の問い合わせに対応している。
「当社ならば、“電話がつながらなくて困った”という事態にならずに済むと自負しています」と渡部氏は胸を張る。

他社にはないこうしたインフラの上で、次のような多彩なWebサービスを展開している。

●面倒なダイレクトメールの発送作業まで一括発注できるDM印刷サイト「DMサービス」
●Web画面上でノベルティなどのオリジナルグッズが簡単に作製できる「のべプリ」
●デザイン作成から丸ごと任せられる「スタジオ スプリント」
●デザインを選んで文字入力するだけの簡単年賀状サービス「年賀状 スプリント」
●印刷仕様のPDF規格「PDF/X-1a」のデータ入稿専門サイト「Pit-in（ピットイン）」

さらに、若くITに詳しいメンバーが集まった同社は、企業などの既存の受発注システムと連携させることで、「注文のたびにCSVデータにして依頼をするといった面倒な作業が不要にし、あたかも自社の印刷設備を利用するような感覚で、人手を介さず簡便に印刷物を手配できる環境を構築できることが強み」と渡部氏は補足する。

同社の社員は35人で、うち25人は八戸のカスタマーセンターに所属する。営業や開発に携わる東京本社の10人は、平均年齢32～33歳。代表の渡部氏も33歳という若さだ。

「そのせいか、私はあまり社長扱いしてもらえず、社内はとてもフラットな雰囲気です（笑）。社内いろんなタイプがいますね。そのほうが、会社全体として環境変化に対応しやすいという強みがあると思っています」と渡部氏は言う。

そんな渡部氏は、「“しくみ”と“チーム”で動けているか？」という行動指針を基本にマネジメントを心がけている。
「放っておくと組織は属人的になりやすく、一人の社員の頑張りで状況を打破できる場合がありますが、それでは組織として強くなれません。“個の力”をいかにチームに広げ、会社としてうまく回るようにしていくかについて心を砕いています」。

そのために、月1回のテレビ会議システムを活用しての全社ミーティングや、年1回の八戸市での全社集合研修などのほか、「ChatWork」や「Backlog」などのコミュニケーションやプロジェクト管理ツールを活用。八戸も含め全社の充実したコミュニケーション環境を構築している。ちなみに、飲み会などは自主性に任せ、「会社として場の強制はしないカルチャー」（渡部氏）があるという。

人材育成面では、社外セミナー受講や技術書購入などの経費を負担して支援している。

同社が開発拠点を仙台市に設ける理由について、渡部氏は次のように説明する。
「仙台は八戸と東京の中間地点で、かつ当社には東北出身者が比較的多く行き来に好都合なこと、そして人材が集めやすいことが挙げられます。また、ツール活用によるコミュニケーション環境がうまく整っている自信もあります。仙台での勤務希望者のエンジニアにぜひご応募いただきたいと思っています」。

同社が求める人材は、前職の受け売りである“同魂異才”。ugo / ユーゴの“魂”とは、“誰でもいつでも簡単にオーダーできて便利な印刷サービス”を突き詰めていくことだ。

「そのアプローチは、違う才能によって行われるほうが、刺激があっていいと思います。ですから、好奇心旺盛で、いろいろなことに興味のある方だとなおいいですね」と渡部氏は呼びかける。