株式会社ヘルツテック

エンジニアの派遣・構内請負の形で、ハードウェア・ソフトウェアの設計・開発を手がけている、株式会社ヘルツテック。2012年3月に設立された新鋭会社であるが、エンジニア約50名を擁し、大手電機メーカーやSIerを中心に30社以上の顧客にサービスを提供している。

同社の企業理念・経営方針は、次の3項目。
1．安定した売上と利益を確保して安定成長し、社会に貢献し続けます。
2．顧客のニーズに応え、顧客に強く支持される企業であり続けます。
3．社員の技術スキルに合致した、働きやすく技術向上に取り組める環境を提供し続けます。

同社が目指すのは、“生涯エンジニア集団”。大手のメーカーやSIerでは、エンジニアでも社歴を積むと管理職となって開発現場から離れる場合が多い。派遣の場合も同様で、50歳を過ぎると、エンジニアとして働き続けることは難しくなるのが実情である。しかし、「ずっと現場で好きなものづくりに関わり続けたい」と思う人も多いはずだ。

「5年以内に、請け負った仕事を自社内で開発する体制を構築したいと考えています。なぜならば、当社のエンジニアの平均年齢は40歳ぐらいに達しており、“生涯エンジニア”として活躍し続けてもらうためには、その頃までに社内での開発体制を用意しておくことが必要だからです。一方、お客様のニーズにキャパシティが追いつかない活況にあり、若い力を中心に3年間で倍の100名体制まで拡大させたいと考えています」と代表取締役の鶴薗英久氏は意気込む。

鶴薗氏は以前、エンジニアの派遣会社で役員を務めていたが、その会社が経営危機に陥ったことで、2名の同僚とともにエンジニアの雇用と顧客の事業を守る責任からヘルツテックを設立した。設立3年で多くのエンジニアや顧客を有するのは、そんな鶴薗氏ら経営陣に対する信頼感の表れといえる。

「私は組込み系のエンジニア出身で、ものづくりの楽しさ、開発していく時のワクワク感をよく知っている人間です。そんな思いを、社員にも感じてほしいと願っています」と鶴薗氏は言う。

同社が手がけている業務分野は、次のとおり。

●ハードウェア
・システムLSIの設計・開発（フロント～バックエンド）
・デジタル・アナログ・高周波（ディスクリート）回路の設計・開発
・レイアウト設計／電源回路の設計・開発
・筐体・機構・構造の設計

●ソフトウェア
・通信・画像系の組込みソフトウェアの開発
・ファームウェアの開発
・各種ミドルウェアの開発
・オープン系（Java、PHPなど）の開発
・生損保向け汎用機システムの開発

≪主な対応職種≫
●ハードウェア系
カーエレクトロニクス用アナログ・デジタル回路設計／カスタム設計（Bip／CMOS）、 RTL、FPGA、LCDドライバー・コントローラ、デジタルオーディオ、
RF回路設計・レイアウト設計、電源マネジメント回路・レイアウト設計

●ソフトウェア・IT系
カーエレクトロニクス、デジタル複合機、デジタルカメラ、
医療機器、音響機器、エネルギーマネジメントシステム、モバイル開発、
スマートフォン搭載用ファームウェア／ドライバ・オープン系開発、
JAVA、PHP、C#による業務系システム開発（Webシステム）

「特に多いのは、スマートフォンや携帯音楽端末などのモバイル開発と、デジタル複合機、カーナビやカーオーディオと車載ＥＣＵ制御などのカーエレクトロニクス分野です」と鶴薗氏は説明する。世界的な有名メーカーとも直接の取引関係にあるなど、その技術力や就業姿勢に対する信頼性が大きな強みだ。
現在の50名のエンジニアの内訳は、次のとおりだ。

●ハードウェア系　20名
・情報家電やデジタル複合機などのシステムLSI設計／15名
・レイアウト設計／電源回路かどの基盤設計／5名

●ソフトウェア開発　30名
・組込み系ソフトウェア開発／25名
・オープン系その他のソフトウェア開発／5名

「構内請負の場合は、10人程度のチーム単位で客先に常駐します。若手は主にそういったチームに入れて先輩からのOJTが受けられるように配慮しています。一方、1～2名での派遣の場合は、ベテランに対応してもらっています」（鶴薗氏）

近年、東南アジアを中心に海外進出する日本のメーカーは増えており、それに伴ってエンジニアも海外で活躍する機会が増えている。
「当社としても、ゆくゆくは世界で通用する企業に育てていきたいと考えています」と鶴薗氏は力を込める。

鶴薗氏ら役員は、営業を兼ねてエンジニアの派遣先を巡回し、1～3カ月に1回は会食などをしながら一人ひとりとのフェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションを欠かさないという。

「文字での報告ではわからない部分もあるので、必ず顔を合わせて悩みごとなどを聞くようにしています。また、賞与や昇給の内容なども、会社の状況と合わせて直接説明しています」（鶴薗氏）

また、3～6カ月おきに派遣エリアごとに全員が集まってのミーティングを開いて状況報告などを行う一方、日常的なコミュニケーション促進のために現在、掲示板などのシステムを準備しているという。

人材育成の面では、ポイント制による研修制度を検討中だ。
「在籍月数に応じてポイントを供与し、たまったポイントに応じた研修が受けられるというイメージです。長く勤めてもらえばもらうほど、高度な教育が受けられるというメリットがあります」（鶴薗氏）

そんな同社が求める人材について、鶴薗氏は次のように言う。
「一般的かもしれませんが、“やる気”のある人ですね。それと、自ら進んで学ぼうとする向上心のある人です。生活のために仕事をするというよりも、『好きなものづくりがしたい』というモチベーションのあるですね」。

ものづくりが好きで、一生、現場でものづくりに携わっていきたいという人には、“エンジニア思い”の同社は見逃せないといえるだろう。