EJCOMS株式会社

EJCOMS株式会社は、SI・ソフトウェア開発事業を主力に、パブリッシング事業、ゲーム攻略サイトの運営まで幅広く手掛けている。また、パソコン教室の運営やスマホ修理事業など多様な事業を展開していたこともある。その理由は、同社が社員の“やる気”や“思い”を大切にしているからこそ、なのだ。

「提案内容に筋が通っていれば、会社は応援してくれます。Webデザインなどを行っているパブリッシング事業やパソコン教室のFCもそうですし、最近はオンラインゲームサイトの運営をしている社員もいます」（志川氏）

多様さという点でいえば、主力であるSI事業の開発実績も実に幅広い。港湾情報システムやシリコンウェア加工ロボット、移動体通信システム、新世代電話交換機、POSシステムなど、名称を見るだけで、どのようなシステムなのか興味がわいてくる。

「最近は、テレビのテロップ表示システムやタブレット端末を利用したナースコールシステムといった案件も。これらの多くは、上流工程から携わったプロジェクトでもあります。当社の場合、全案件中、上流工程から受注するものが、８割以上を占めていますね」（営業企画部・山下氏）

案件の多様性や上流工程からの受注の多さは、技術者のスキルの幅広さを示すことにほかならない。では、それほどの人材が集まるのはなぜなのか？その理由もまた、同社の「技術者を大切にする」姿勢にあるようだ。

EJCOMS株式会社は2004年に設立され、社歴20年を迎えようとしている。ベテランエンジニアの定着率は高く、新卒採用を開始し若手の育成に力を入れ始めたとのこと。
社員定着のために、どのような取り組みがなされているのだろうか。

「当社では、日頃から営業担当が技術者とコミュニケーションを取り、仕事に対する希望を細かくヒアリングしています。どんな業界のどのような案件に携わりたいのか、伸ばしたいスキルは何なのかといったことから、通勤時間や勤務時間の希望について。さらには、勤務地はどこが希望か？テレワークの頻度はどのくらいがいいのか？繁華街がいいのか、通勤が楽になる下り方面がいいのかといったことまで丁寧に聞いて、その希望を可能な限り実現できる案件を複数探し、技術者自らに選んでもらうようにしています」（山下氏）

技術者から営業へ移った志川氏は、前職までの苦い経験から「エンジニアに優しい会社」というEJCOMSとしてのスタンスに共感できるという。
「技術者が実力を発揮するには、働く環境が大切だと思います。しかし、業界の現状は『行ってきなさい』と言われた案件に携わるケースがほとんどです。希望していない案件に無理やりアサインされたうえ、長時間勤務を強いられるというのでは、モチベーションなど上がるはずもなく、その会社に長く勤めようという気持ちも起こるはずがありません。そのことを知っているだけに、ウチの技術者の希望はなんとか叶えてあげたいと思うのです。また、ウチの技術者の力を信頼しているので、多少ワガママをいってもお客様の信頼は揺るがないという自信もあります」

案件にアサインするときだけでなく、常駐後も毎週『週報』で状況報告をしてもらい、現場に無理がないか、困っていることはないか、確認しながらフォローをしているという。このように可能な限り希望をかなえた案件を用意した上で、技術者自身に選んでもらうことには、別の効果もあると山下氏は続ける。
「『自分で選んだからには、最後までやりきろう』という思いが強くなるようです。引き受けた仕事に対する責任感が強くなるというのでしょうか。それだけに、若手を育てよう、プロジェクトを引っ張っていこうという気持ちも強くなり、それが結果的に、いい仕事を生み、お客様の信頼にもつながっています。この好循環があるから、お客様も『面白そうな仕事は、EJCOMSに依頼しよう』と声をかけてくれるのだと思います」（山下氏）

EJCOMS株式会社の社員は、現在36名。しかし、受けきれないほど依頼が来ているのが現状で、今後は、社員を50名にまで増やし、SI事業を中心に事業の拡大を図っていくという。
「これまでは、常駐先の若手エンジニアを当社の社員が育てていましたが、せっかくなら新たに入ってくるウチの若手を育成してほしい。そのため、まずは若手の希望を聞きながら、先輩が常駐している現場へ加わってもらうつもりです」（志川氏）

「近年では社内メンバーで開発チームを作りたいと社員が意欲的なため、常駐先案件の場合も多くがチーム体制をとっております。また、社内受託案件取得にも力を入れており、さらにチームメンバーを増やしていきたいと考えております。受託案件において、社員同士で切磋琢磨しながらシステムを作り上げていけたらと思います。」

人材育成は、OJTが基本だが、先輩に対しても意見を聞きやすい雰囲気があるので、不安を感じることはないと代表取締役社長の高橋 清美氏も語る。
「月に１回、月例会を開いて、近況を共有しているのですが、その会の後、久しぶりに顔を合わせた社員同士で技術談義に花を咲かせることがよくあります。現場で困っていることを先輩に聞いてアドバイスをもらったり、時流の新しい技術について、先輩が後輩に質問したりと、まるで勉強会のようになっています。また、年に２回、評価通知面談という面談の場を設けており、キャリアのこと、スキルアップのことなど、会社の上層部へ伝える機会もあるので、自分がどんな技術者に成長したいのか、積極的に教えていただきたいですね」

月例会では、月間MVPや年間MVPを発表し、自社サイトに掲載したりするなど、積極性ある社員ほど、やりがいを感じられる環境が整っている。ただし、その分、内にこもってしまう人や、「とりあえず働きたい」とか、「自分はこうなりたい」という気持ちが曖昧な人は、難しいかもしれないと志川氏は言う。


「私たち営業は、技術者の希望に添う形でいくつかの案件を提案、その中から選んでもらっています。そのため、自分が何を経験し、どのように成長していきたいのか、自分の中に“芯”のようなものがない人だと、結局、与えられた仕事をするのと同じことになり、満足感を得にくいと思うのです」

加えて、人間力も重要だと山下氏は締めくくった。
「当社の案件は常駐案件が多いです。それだけに技術力が重要なのは当然として、お客様に信頼されるコミュニケーション力や、プロジェクトメンバーをひっぱっていけるリーダーシップなども併せ持っていてもらえれば、と思います。そういう技術者と営業が協力しながら、今後さらに会社を盛り上げていけたら最高です。」