エムシーピー株式会社

香港に本社を置く投資運用会社、MCPグループは外資系投資銀行出身の創業者が立ち上げた、アジアを拠点にグローバルにビジネスを展開する企業グループだ。その日本法人として、エムシーピー株式会社は同グループの顧客への各種レポーティング業務やサポート業務の提供を行っている。

同グループの収益の大半を占める投資運用業の顧客は、国内外の機関投資家という投資運用のプロフェッショナル達。そのプロフェッショナル達に対して投資先となる国内外のヘッジファンドの選定から運用商品の組成、運用内容についての分析やレポートを行い、様々な形の投資インフラを提供するという高度な仕事を行っている。

ヘッジファンドとは、銀行や保険会社、年金基金のような機関投資家や富裕層から資産を預かり、相場の下落局面などの市場環境に左右されない絶対収益を目指す私募ファンドのこと。一般の人々が手軽に買える投資信託等と異なり、ヘッジファンドは大半が海外籍であり、一般の証券会社等では気軽に購入することができないため、一般的にはほとんど知られていない会社がほとんどだ。また、運用商品の内容もより専門的となるため、投資家にも高度な金融知識や各種スキルが求められる。ファンドの数は数千にのぼり、定期的に届く報告書類はほぼすべてが英語、投資の手法や対象も極めて多岐にわたる。さらに、海外とやり取りするには時差の問題もある。そこに、同社のようなサービスの存在意義がある。

同社の特色について、エムシーピー株式会社の代表の田中氏は次のように説明する。
「当グループのような業態の独立系のヘッジファンド運用会社は欧米には多数ありますがアジアにはほかにほとんど見当たらないと考えております。他の会社が欧米を中心とする中で、弊社はアジアをベースとするところに大きな特色があります。日本やアジアの機関投資家に、日本流のキメ細かいサービスを提供することを強みとしています。アジア圏のヘッジファンドに関わる業界では、知られた存在であると自負しています」

同グループは国内に証券業免許を持つ会社を持つ一方、香港に香港金融当局にライセンス登録されている運用会社を持ち、米国シカゴにもリサーチ拠点となるグループ会社をおいている。また、グループ内には資産運用以外の事業として、リスク・マネジメントサービスを提供するグループ会社であるミレニアム・ファンド・サービシズ・ジャパン株式会社がある。

そんな同社は、社内システムの構築・運用を担うインハウスのエンジニアを求めている。その背景について、次のように説明する。
「投資運用に関わる業界は、近年、透明性を強めるために報告事項に関する規制が強化されています。さらに、様々な理由で変動の激しさが増すこともあり、投資家からは状況把握のスピードを速めたいという要望が出てきています。こうした課題をクリアしていくことが、我々が提供していくべき価値の一つです。そこに、各種のシステムインフラが極めて重要となる背景があります」
顧客の資産を預かっている同グループにおいては、たとえどの地域に大災害が起こっても事業を止めるわけにはいかないという責任がある。
「地域一帯が火災に遭い、オフィスが消失しても、必要な業務は遂行されなければなりません。また、止めないことも重要ですが、コストも重要です。できるだけ効率的にすべく、自動化できるところは徹底的に自動化させるなどの工夫が求められます。そこに、エンジニアの活躍が求められています」

インフラだけでなく、業務システムの高度化も重要なミッションだ。顧客のニーズに迅速に対応するには業務システムによるサポートは不可欠だからである。
同グループの主要な業務である投資運用や分析、または顧客へのレポーティングの拡充のため、投資に関連する数字を可能な限りデータベース化することは大きな課題のようだ。これまで行ってきたデータに加え、いままで入力してくることができなかったデータ収集を自動化、それをビッグデータ化して、データサイエンティストが分析できる基盤を構築することやデータ分析の精度を上げていくことも目標にあるようだ。

「インフラ・データ基盤の整備とも弊社の業務を支える重要な仕事です。変化の激しい時代に当グループが成長していくための大きな要素の一つがシステムだと私は認識しています。弊社では時に技術的に難易度の高いものや新しいものも積極的に導入しており、そういったことにやりがいを感じる方には楽しい仕事であると感じていただけると思います」とのことだ。

香港・アメリカを含めたグループ全体で、従業員は約100名という小数精鋭集団。同グループのスタッフは、以前、金融機関や証券会社で活躍したプロフェッショナルが多い。
「プロフェッショナルなサービスを顧客に提供するという創業者の価値観を共有するメンバーが集まっている」と田中氏は言う。一人ひとりがプロとして、各人がいかに働きやすい環境をつくるかというところにマネジメントの主軸が置かれているようだ。
「要は、どれだけお客様の役に立つ形で成果を上げるかが問われるわけですから、そのプロセスや時間などは基本的に自由かつ柔軟です。組織も数階層しかなく、極めてフラットといえます」（田中氏）

お互いのプライベートを尊重して強制的な飲み会などはないそうだ。その一方で、例えば子育て中の社員の時短勤務には協力的といった風土がある。女性比率は40％程度だそうだ。
「私をはじめ、他のスタッフも子育て中の世代です。その大変さをよく理解しているつもりなので、可能な限りのサポートをしています」（田中氏）

社内エンジニアは、ユーザーと同じ環境にあって、ユーザーの使い勝手や役立ち感を直接感じ取れる醍醐味が特長的だ。同社の場合は特に、システムの重要性が重要となっていくようだ。少数精鋭でビジネスがグローバルに広がるという特異性もある。手応えと深みのある仕事ができるに違いないだろう。