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株式会社Stroly

  • IT/Web・通信・インターネット系

どこにもない地図サービス『Stroly』。世界に通用するプラットフォームへ

上場を目指す
自社サービス製品あり
グローバルに活動
残業少なめ

企業について

株式会社Strolyは世界に類例のないWeb地図サービスを提供するスタートアップ企業だ。京都に拠点を置き、グローバルにスケールする可能性を持ったプラットフォーム事業を展開する企業として、Webサービス業界やメディア、学術研究機関など、多方面から注目を集め始めている。

同社が開発するWeb地図サービス『Stroly』は、ユーザーが独自に作った手書きのイラストマップなどをスマートフォンで取り込むなど画像データ化し、サイト上で登録・公開できるサービスだ。アプリではなくブラウザで動作する。『Stroly』上に登録した地図にはユニークなURLが付与され、マップURLをシェアしたり、iframeでWebサイトに埋め込んだりすることも可能だ。

最大の特徴は、縮尺や方位などが正確でない古地図やイラストマップでも、GPSと連動させ、現在地や地図上のポイントを表示することができる点にある。これまでは困難だったエクスペリエンスを、4つの特許技術を含む独自の技術で実現した。

同サービスの活用方法としてStroly社が推すのがエリアブランディングにおける活用だ。地域には自然、歴史、文化、産業など複合的な要素があり、切り取り方次第で様々な表情が現れる。例えば京都は、古都の情緒あふれる街として人気のある観光都市だが、ある人にとっては学術文化の街でもあり、ある人にとってはスイーツの街でもある。数多くのベンチャー企業を排出した街というイメージを持つ人もいるだろう。精緻な測量技術をもとに、方角や距離感、地形などを正確に表現することを目的として作成された地図では、そのような立体的な魅力は伝わりにくい。既存の地図アプリも同様。しかし感覚的に手書きされたイラスト地図は、方角や距離感などは不正確ではあるが、作成者が独自の視点で切り取った魅力を浮き立たせる。

「特定の性質やテーマが浮き出た表現と場所を重ね合わせて見ることで、そのエリアに対する新しい見方や発見が生まれます。企業や自治体が行うエリアブランディングとして、例えば江戸時代の町並みを復元する手法もありますが、巨額な費用をかけなくても、本来こう見せたいというあり方を考えて地図に表現することで、効果的なブランディングが可能です」(代表取締役社長 共同CEO・高橋真知氏)

2017年以来、公共交通機関や旅行代理店、土地開発会社、不動産会社、出版社など、エリアブランディングの主体となる企業や自治体との協業を進めて来た。ユーザーが地図を見ながら移動した記録はデータ化されるが、あるテーマで切り取られた地図がコンテキストとなり、高い精度でスクリーニングされたデータが採取できる。これまで各業界、自治体の課題抽出を行ってきたが、現在は本格的に『Stroly』を導入するフェーズを迎えている。そこで集めたデータをもとに、地域の導線をいかにデザインしていくかなど課題解決のサポートを行う考えだ。

企業や自治体との連携でマネタイズを図る一方、2018年春からは一般ユーザーが自由に登録して投稿できるCGMとしての展開をスタートさせた。ユーザーやクリエーターとオフラインで交流する『地図カフェ』というイベントを定期的に開催するとともに、英語やフランス語、中国語、韓国語などの多言語化を進め、世界のアーティストに声をかけて投稿を促すなどして、まずは1万枚の地図を揃える計画である。文章や動画、画像などを投稿する行動様式がじわじわと時間をかけて広まり定着してきたように、時間をかけて“地図を投稿する文化”を創っていく構想を掲げる。

Stroly社は2005年、もともとは関西文化学術研究都市で情報通信に関する基礎的・先駆的研究開発に取り組む民間研究機関・株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)100%出資の社内ベンチャーとしてスタートしている。国立民族博物館など博物館向けのPDAガイドシステムなどを開発し、グッドデザイン賞も受賞した。Web地図サービスの着想は2009年、太秦映画村の屋外向けガイドシステムの開発に携わったことがきっかけで生まれた。

高橋真知氏とともに設立時から在籍していた取締役会長 共同CEO・高橋徹氏が『Stroly』の発案者だ。情報デザインの研究者として人工知能や認知科学の研究開発に従事してきた工学博士である。
 
「WindowsのPocket PCを使って太秦映画村の中でインバウンド向けのガイドをするというプロジェクトでした。その中で出てきたのが太秦映画村のイラスト地図を使うアイデアです。当初は普通のマップサービスを使うアイデアでしたがそれでは独自性がない。ちょうどイラストマップがあったので、その上で現在地を表示させて案内することになりました。完成してみると思ったよりも使える。これならどんなイラストマップでも古地図でも使えると発展性を感じたことが現在のサービスにつながっています」(高橋徹氏)

タイミングとしては国内でもiPhoneが発売され、スマートフォンの進化が加速した時期だ。その中でアイデアが具体化し、2012年、地図アプリ『ちずぶらり』をリリース。自治体を対象とした制作受託業務で40自治体と契約し50アプリを制作した実績を築いた。

その過程でより軽く、より自由に世界中とつながりたいという方向性が明確になり、ウェブブラウザでのプラットフォーム事業へと発展。グローバルに展開するプラットフォーム事業へとスケールさせるために、リソースを同サービスに集約するとともに、MBOを果たした。

「とにかくオリジナル性にこだわり、社名も他で使われていない言葉にしたいと考えました。『Stroly』のユーザーが増えて“Strolerと呼ばれるような状況になれば嬉しいですね。“stroll”と“story”の造語ですが、世界でも通用するよう英語のネイティブスピーカーにもチェックしてもらいました。世界中で、その時にいる地域で面白いものを見つけようと思ったら当たり前のように『Stroly』にアクセスして検索するような状況になるのが理想です」(高橋 真知氏)

『Stroly』は、世界のどこにもない、文化とテクノロジーが融合する新しいWebサービスだ。AIやIoTといった大げさなキーワードはないが、コンピュータサイエンスが追い求めてきた理想形に大きく近づいたサービスとも言えそうだ。

「とにかく一度使っていただければ、極めて高い没入感に浸れるはず。世界と自分をつなぐインターフェイスとして、新しくて面白いものだなと感じたからこそ、そこに絞って事業を起こし継続してきました」(高橋 真知氏)

IT関連のコミュニティや、地図のコミュニティなど、様々な場でピッチを重ねて来たが、「こういうものがあれば良いのにと思っていた」など、どんなところでも反応は良い。多くの人々が既存のマップサービスで充足しているわけではないという実感も得た。

同時にグローバルでスケールさせるためにアメリカでの人脈作りにも積極的に取り組んでいる。本格的なWebプラットフォームで成功している企業の数は国内の比ではない。世界に冠たるWebサービスを生み出した起業家や投資家らのアドバイスを受けながらノウハウを吸収し今後に備える。2019年にはアメリカオースティンで開催されたSXSWでのピッチコンテストにも登壇し世界でも注目を浴びつつある。

2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人の数は間違いなく増え続ける。同社にとってはサービスを拡大する絶好の機会だ。MBO後の2年間は、CTOやCSO(Strategy)、CFOなど、経営陣を揃え経営基盤を整えてきた。同時にサービスを通じて様々な人々と交流する中で、事業の方向性や課題が明確になってきた。ここからはエンジニアやデータサイエンティスト、クリエイティブディレクターなど、幅広い人材を採用し、ビジョンの実現を目指していく考えだ。

同社がチームを作る上で特に意識して来たことは多様性だ。グローバルIT企業の出身者や、有名小売りチェーンで店長を務めていた人材、外国出身者など、様々なバックボーンを持つ社員が在籍している。共通するのは地図とデータに対する興味だ。

「ビジョンが明確になったタイミングで、事業に興味を持っている方を採用し、立ち上げから一緒に関わっていただきたいと考えています。地図とデータに対する興味があれば、過去の経験を生かせる機会はあるはずです。やりたいことがある人にとっては、それをシェアして一緒にかなえることができます。反対に現時点でやりたいことがない人にとっては、やりたいことが見つかるでしょう。弊社は大企業や個人のユーザー、クリエーターなど様々な人々と関わり、様々な切り口の仕事が体験できます。そこから自分の目標を見つけていただきたい」(高橋 真知氏)

また、経験そのものは浅くても実力があれば責任あるポジションを任せる。年功序列の文化とは無縁の会社だ。フレックスタイムやリモートワークといった仕組みも取り入れ、各自に合わせた柔軟な働き方を可能としている。その分どんな組織よりも主体性は求められるが、グローバルに活躍できる、または革新的なサービスに携われる環境を探している人材には魅力が尽きない会社だろう。

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インタビュー

株式会社Strolyのインタビュー写真
代表取締役社長 共同CEO・高橋 真知氏 大阪府出身。米国Carleton College美術学部卒。ITベンチャーの社長室にて事業立ち上げや上場を経験。1999年、国際電気通信基礎技術研究所入所し、社内ベンチャーで新規事業立ち上げに参画。2007年、ATR-Robotics(後にATR Creativeへ社名変更)代表取締役社長に就任。2016年、ATR CreativeをMBOし、2017年2月株式会社Strolyへ社名変更。第4回京都女性起業家賞(アントレプレナー賞)「近畿経済産業局長賞」受賞。ODI日本代表兼務。

── 米国の大学で美術を学ばれた後、就職はITベンチャーというご経歴をもたれていますね。

美術史を学び、シカゴ美術館でインターンを経験しました。その後、ジャストシステムに入社しました。ちょうど始まったばかりのインターネット事業に興味を持って入社しました。

美術史をやっていた時の興味は、作品性ではなく、“メディアとしての美術の歴史”にありました。版画も油絵も彫刻も、常に宗教の布教に利用されてきた歴史があります。その背景には技術の革新というものがあり、最新の技術をいかに利用していたかということが面白くて勉強していました。

卒業後は美術館やギャラリーなどで働こうと思い、インターンも経験して卒業後は正式に採用される予定でしたが、今の時代に... 続きを読む

企業情報

会社名

株式会社Stroly

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > インターネット/Webサービス・ASP

企業の特徴
上場を目指す、自社サービス製品あり、グローバルに活動、残業少なめ
代表者氏名

高橋 真知

事業内容

■ オンライン地図プラットフォーム Stroly(ストローリー/旧名称:ちずぶらり)の企画・開発・運用

株式公開(証券取引所)

従業員数

21人

本社住所

京都府京都市下京区猪熊通塩小路上ル金換町109-1

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