ピセ株式会社

総合的なITコンサルティングを始め、システム開発やスマホアプリ開発、Web制作、サーバ・ネットワークのインフラ構築、クラウド環境構築、セキュリティ構築、教育ソリューションなど、IT領域において幅広い事業を展開しているピセ株式会社。

1992年にオープン系システム開発会社として設立して以来、システム開発における企画立案、設計、開発、運用、アフターサポートまで、一貫した業務をワンストップで提供できるIT企業となった。当初は大手通信キャリアや大手メーカー系のプロジェクトが多かったが、徐々に拡大。現在は幅広い業種の取引先を持つ。

「設立の頃から、幅広い業界のお客様との取引を増やして、ビジネスチャンスを広げようという経営方針がありました。そのため、現在では特定の業界の不況に左右されることなく、安定した業績を築いているのが当社の強みになっています」（執行役員）

通信、ITベンダー、建設、文教、製造、医療、旅行、フィットネスなど幅広い業界と取引しているため、多種多様なプロジェクトを経験できるのが同社の特徴のひとつ。また、同社は「プライム案件」と「受託開発」にもこだわっており、プロジェクトの7割がプライム案件、社内で開発を行うプロジェクトも7～8割を占めている。

同社は東京に本社を置いているが、札幌や仙台、名古屋、大阪に支社を持ち、計130名の従業員がいる。また、グループ会社や協業している関連会社も10社ほどあり、それらの人員を合わせると、全体で300名ほどの規模になる。

「現在の売上高は35億円ほどで安定した経営が実現できていますが、5年後には現在の2倍ほどの人員規模にしたいですね。仕事は豊富にあるので、いい人がいれば人数を決めずに採用していきたいと考えています」（執行役員）

幅広い業界との取引と、ワンストップでサービスを提供する体制で安定した経営基盤を築き上げ、業績も好調だ。

安定した経営を続けている同社だが、独自のユニークな取り組みも行っている。それが異業種とのコラボレーションだ。例えば、「小売×IT」を筆頭として、「医療×IT」、「農業×IT」といった分野にも積極的に取り組んでいる。

例えば医療については、医療系の国家プロジェクトのシステム開発経験からビジネス展開していったが、驚くことに自社でクリニックの運営まで始めたという。また医療法人のITコンサルティングから、ドクターや看護師などの人材採用、医療機器や検査システムのネットワーク構築などにも取り組んでいる。

農業は札幌支社を中心にしたプロジェクトで、実際に農地を自社保有して運営。自然栽培に特化した農法にこだわり、自然栽培についての著作もある著名な生産者と協力しながら進めている。栽培中の作物の生育状況などをデータ化して、全国の自然栽培に取り組んでいる農家への情報共有を行い、また実際に収穫した作物をWebや店舗で販売しているとのこと。

このように、医療や農業といった全くの異業種を自社に取り込むことによって、本業であるITビジネスの可能性を模索している。まだ新しい技術やサービスの具現化には至っていないが、どう化けるか分からないところには積極的に飛び込んでいくのが同社のスタンスだ。

「当社の代表が新しい技術やコンテンツを見出すために、積極的に海外を飛び回っています。農業についていえば、アメリカでオーガニックがブームになっていることから、自然栽培に目をつけてスタートしたというところもあります。ほかにも、海外で何か展開できることがないかを模索しています」（人事）

常に世界中にアンテナを張って、チャンスがあればまずやってみる。こうした新しいことに積極的に挑戦していこうというベンチャー気質があるのも特徴だろう。今後迎え入れる人材にも、こうした新しい風を運んでくることに期待しているという。そのため、意見や提案はどんどん発信できる環境がある。

ベンチャー気質が高い社風であるだけでなく、仕事ができる人材は評価され、出世スピードも速い。例えば、24歳でキャリア入社して8年後に執行役員にまでなった人材もいるとのこと。

「プログラマー歴2年でキャリア入社した方が、3年後にはチーフに昇格してPLになりました。その2年後にはマネージャーに昇格して、PMの他に組織管理や営業支援にも着手。さらにその3年後の32歳の時には執行役員に昇格。現在は当社の技術を統括し、組織編制や事業企画なども行っています」（人事）

常に新しいビジネスモデルの開発に力を入れている同社では、外部からの刺激には敏感に反応するところがある。そのため、キャリア入社する人材への期待値も高く、新たに迎え入れた人がきっかけで新しいビジネスがスタートすればそれだけ評価も高くなっていくという。

執行役員にまで昇格していくのは特例のようにも思えるが、同社では年齢や社歴に関わらず、適正や能力、成果が伴えばスピーディーにキャリアアップしている事例は豊富にある。

また、社員同士の一体感を醸成するための取り組みにも力を入れているそうだ。アンチ・セクショナリズムで、最小限の役職体制を取り、闊達に意見が言いやすい環境を作っている。

定期的な勉強会も開催していて、各拠点や部署ごとに取り組んでいる仕事や、部署ごとの独自テーマの情報共有なども行っている。こうした取り組みにより、拠点や部署の垣根をなくし、コミュニケーションが取りやすい体制を築いている。

また、技術力向上のために資格取得の支援も手厚く行っている。受験料や教材の費用を負担することはもちろん、試験を突破した際には合格祝い金も支給している。社内の勉強会や外部のセミナー参加にも積極的だ。残業は月平均20時間程度に抑える仕組みを導入しており、業務過多になりそうになれば休日を取ることも推奨し、働きやすい環境づくりにも力を入れている。

大手の開発会社とは異なり、堅苦しいセクションの垣根もない。プロジェクトの一部だけを担当するといったこともない。実力があれば、自分の興味があるプロジェクトに取り組むことができる。できる人にはどんどん仕事が任される環境がある。貪欲に技術を習得できる人には、やりがいのある環境だろう。