i Nations株式会社

i Nations株式会社は、40代前半の元エンジニア・永田大輔氏（代表取締役）を代表とするシステム・アプリの開発会社である。

永田氏はIT企業で大手メーカーの開発プロジェクトに参画。その後フリーランスに転身し、大手メーカー案件やベンチャー案件、アメリカでAndroid開発を経験するなど、開発エンジニアとして豊富な実績を積んできた。約9年間にわたってフリーランスを経験してきた永田氏は、フリーランスとして活動する中で「エンジニアにとってどんな環境が必要か？」を自問したという。考え抜いた結果、法人としてエンジニアをチーム化する考えに行きついた。一人ひとりが開発力と同時に、チームの底上げを担うマネジメント力を身に付けることが、長く活躍できる環境づくりにつながると考えたのである。

2014年9月に数名で設立した同社は、会社員時代・フリーランス時代からの人脈をベースに順調なスタートを切り、設立1年目から業績・組織ともに着実に伸ばしてきた。現在、同社はプロパー社員32名、フリーランス30名、パートナー40名の人員構成で開発業務を行っている。

同社が手掛けている領域は、RubyのフレームワークであるRuby on Railsや、Pythonなど使ったWeb開発、Android・iOSを使った一般向け・業務向けスマートフォンアプリ開発などが全体の7割。残りの3割はインフラ構築・運用、テスト領域などが占めている。主要取引先は、携帯キャリアやSIer、ソーシャルゲーム会社など、大手企業を中心に200社ほどの取引実績があり、常時50社ほどの案件が稼働している。全体の8割くらいが直接取引となっており、受託開発案件も多い。

同社が最も得意とするのはRuby on Railsを使った開発だ。社内にはRuby on Railsの分野に豊富な人脈を持つエンジニアが在籍しており、定期的に大手ゲーム会社からエンジニアを招いてRuby on Railsの講習会を開いている。こうした人脈もあって社内には一流の知識・ノウハウが蓄積しており、実際の開発にも大いに活かされているのである。アジャイルな環境で自由度の高い開発＆修正・仕様変更の素早いPDCAが顧客から高い評価を獲得している。

同社は今後のビジョンとして、Ruby on Railsを使った開発のさらなる強化を掲げている。
「大手企業がWebサービスを立ち上げる際に、私たちがいなければ実現できないと言われるくらいの存在になりたいと思っています。そうなるために、現在も勉強会を開いたり、社外のカンファレンスに参加したりするなど、最新技術を常にキャッチアップするようにしています」。（永田氏）

さらに永田氏は、少数精鋭による組織運営も掲げている。
「売上拡大のために、やみくもに人を増やすつもりはありません。あくまで少数精鋭で、自分たちにしか持ちえない圧倒的な技術力を磨くのが今後の目標です」。（永田氏）

技術力のボトムアップを図るためには、個の力に加えてチームの力が欠かせない。経験豊かなエンジニアが若手エンジニアの成長意欲を引き出し、若手エンジニアがいつでも知りたいことを聞ける職場づくりも目指している。
「現在の社内は、10年以上の中堅・ベテラン層が20名ほど、残りの10名ほどは2年目未満のローキャリア層という人員構成になっています。ただ、経験豊富なメンバーのほとんどは顧客先に常駐している関係で、日中は本社オフィスにいることがほとんどありません。一方、ローキャリア層のメンバーの多くは本社オフィスに勤務し、Ruby on Railsの勉強や、Webサイトの簡単な改修などを行っています。つまり、ローキャリア層のメンバーが分からないことをいつでも聞ける存在がおらず、技術力・組織のボトムアップにつながるコミュニケーション環境が不足しているのです」。（永田氏）

このような課題を抱える同社は、求める人物像として“社内の課題を解決し、エンジニアの育成・ボトムアップで力を発揮できる人材”を掲げている。
「リモートワークも認めている当社は、開発環境が非常に自由なのが特徴です。ただ、特に若手エンジニアの多くは、自由な環境をパフォーマンスUPにつなげる方法論を知りません。リモートワークのデメリット・メリットをしっかりと理解した上で、若手エンジニアの育成にコミットできるタイプの方が仲間になってくれるとうれしいですね」。（永田氏）

エンジニアのみで構成されている同社は、エンジニアが余計なしがらみがない環境で、自由にチャレンジできる環境づくりに力を入れている。

無駄に帰社日をつくらない、社内勉強会はあくまで自主参加、リモートワークOK、Mac／Windowsは自由に選択OKなど、数々の取り組みによって非常に風通しの良いカルチャーが醸成されている。また、メンバー同士は堅苦しい上下関係もなく、非常に仲が良いとのこと。永田氏が食事に誘うと、大体すぐに7～8人は集まるという。日中は顧客先で勤務しているメンバーたちは、あえて帰社日を設けなくても自分から進んで本社オフィスに顔を出すとのこと。設立6年間で離職者が2人に留まっていることも、同社がいかに働きやすいかを如実に物語っている。

これからエンジニアにとって、どのような会社にしていきたいのか。永田氏はひと言、「やりたいことを実現できる場所」という。
「私は会社の一方的な都合でエンジニアをモノ扱いし、エンジニア一人ひとりの可能性の芽をつみたくありません。育成・マネジメントで力を発揮したい、自分の得意技術を伸ばしたい、自社プロダクトをつくってみたい、新しい技術分野にチャレンジしたいなど、エンジニアの希望は十人十色です。一人ひとりの夢にしっかりと耳を傾け、夢を実現するための環境を提供していきたいですね。私個人としても、AI・機械学習・ドローンといった新分野の勉強がしたいと思っています。」

得意技術を持つエンジニアには、強みを最大限に発揮できるポジション・業務を用意するのが永田氏の考え方だ。例えば、テスト・評価の経験が豊富なエンジニアには、品質管理部というセクションを新たに設置し、テスト・評価を切り口とした技術のボトムアップを任せているという。

設立6年目の同社は、事業・組織ともにまだまだ発展の途上にある段階。働きやすさにこだわり、一人ひとりの夢をバックアップする環境のもと、自分が理想とするエンジニア像を追い求めたい方には、ぜひお勧めしたい会社である。