株式会社テクノア

業務用パッケージベンダーの株式会社テクノア。100%自社開発の国内No.1・世界Only1の製品を擁し、下請けや派遣は一切行わないのが特徴だ。創業以来赤字なしの無借金経営で、経常利益率13.5%（2023年度）という業績を誇る。同社は、岐阜県岐阜市の本社、東京本部、大阪支店、及び九州支店（福岡）の各拠点で働くエンジニアや営業、サポート、インストラクターを求めている。

同社の製品開発戦略の特色は、“ニッチトップ”にある。特定のマーケットに絞り込み、そのニーズに徹底的に寄り添うことで、結果的に類似製品を寄せ付けないというスタンスだ。製品ラインナップは次のとおり。

●生産管理システム『TECHS(テックス)』シリーズ
同社の売上の約70%を占める基幹製品。生産管理パッケージとして国内4,500社以上の導入実績を持ち、2022年度出荷本数No.1を誇る（富士キメラ総研調べ）。ユーザーのほとんどは、年商30億円以下の機械・装置メーカーや部品メーカーであり、その生産管理の適正化を通じてユーザーの収益力の向上に貢献している。

競合製品は、できるだけ多くのユーザーに対応できるよう汎用的なつくりとなっている。したがって、導入に際してはカスタマイズが求められる場合が大半だ。一方、『TECHS(テックス)』シリーズはユーザーを絞り込んでいるが故に、70～80%はノーカスタマイズで活用されているという特長もある。

●3Dシミュレーション『i-Designer(アイ･デザイナー)』シリーズ
洋服や靴、グッズ等のオリジナル商品の“3D”によるデザインを、Web上でシミュレーションできる、世界Only1の製品（同社調べ）。国内大手スポーツブランドによるオリジナルデザインのユニフォームのカラーオーダーシステムや、菓子メーカーの特別仕様パッケージのデザインオーダーシステムに導入されるという実績を誇る。

●総合健診支援システム『iD-Heart(アイディー･ハート)』
小規模クリニックにおける健診業務の予約受付から、健診結果報告書の作成、保険請求といった一連のフローを効率化。社会保障費削減という国策の下、クリニックの健診業務ニーズの広がりに応える。

●新製品・サービス（IoT・AI対応）
2022年9月には、中小製造業向けクラウド対応型生産管理システム『TECHS-S NOA』（テックス・エス・ノア）をリリース。さらに、IoTにも対応し、生産現場に行かなくても遠隔で機械の稼働状況を確認できるシステム等も手掛け、『TECHS(テックス)』シリーズのユーザーを中心に、その業務改善にさらなる貢献を目指している。
AIは、『i-Designer(アイ･デザイナー)』においてキーワード入力で数多くの色・柄からデザインパターンを作成・提案する仕組みに導入し、機能を向上させている。

同社の創業は1981（昭和56）年（会社設立は1985年）。大手システムベンダーで営業を手掛けていた大道等氏（故人）は、顧客の課題を解決するためにシステムを受注したものの、その思いが社内の開発部門に伝わらず、思ったようなソリューションに繋がらないことに不満を覚えていた。そこで、自らの全責任で当該業務が実現させられる環境をつくろうと、勤務地であった岐阜市で独立を果たす。大道氏は滋賀県出身。“売り手よし、買い手よし、世間よし”の“三方よし”の近江商人の精神を受け継ぐエピソードといえるだろう。

創業後、しばらくは受託開発に取り組んだが、1993年に第1号の独自開発パッケージとして、建築石材専用CAD『PIETRA(ピエトラ)』をリリースする。建築石材事業者のニーズを汲み取って開発された『PIETRA(ピエトラ)』は、先行して注文が入るなど、業界から絶大な支持を得た。

「お客様の中に入り込み、経営課題の解決に真摯に取り組む姿勢が高く評価されたのだと思います。その精神は現在まで強く引き継がれています」と代表取締役の山﨑耕治氏は言う。

その翌94年に『TECHS-S(テックス･エス)』、99年には『i-Designer(アイ･デザイナー)』をリリース。同社は創業以来100%自社開発で、下請けや派遣は一切行っていない。そして、顧客の課題解決にひたむきに取り組み続けてきたことが、国内シェアNo.1の実績にもつながっている。その背景について、山﨑氏は次のように説明する。

「大道は、下請けや派遣ではエンジニアの就労環境を高めることは難しいと考えていました。価格競争に陥り、納期に間に合わせるために、過酷な超過勤務に繋がりやすいためです。そんな就労環境で、お客様のニーズに応える仕事ができるとは思えません。そこで、エンジニアが健全な環境で働くことができ、お客様のニーズにも応えられる事業の道として、“ニッチトップ戦略”を指向するようになったのです」

同社が掲げている理念は、「縁があった企業や人々を幸せにする」だ。
「当社は、ITの力によるお客様の経営力向上や業務改善を通じて、企業体質の変革を支援し、豊かな未来を創造していただくことをミッションとしています。それを実現するのは、唯一の経営資源である社員。その一人ひとりがお客様に価値を提供できるよう、人間力を高めることに取り組むと共に、幸せに働ける環境づくりに努めています」と山﨑氏は力説する。

同社の強みの源泉は、『TECHS(テックス)』シリーズ等の製品の機能や技術力もさることながら、顧客の経営課題に徹底的に向かい合って改善を実現させたいという“想い”の強さにあるといえるだろう。

「当社は、ソフトウェア会社同士の競争に明け暮れるのではなく、ITを活用してお客様の企業体質を変える唯一無二の存在を目指す」と山﨑氏。そのために必要なのは、人間力や技術力を備えた“差別化された社員”だ。そのための人材育成や情報共有に徹底的にこだわっているという。

人材育成は、“掃除と挨拶”の徹底から。同社では毎朝、始業から朝礼までの15分間、役員や管理職を含めた全員で社屋や周囲の清掃活動を行うほか、年2回大掃除を行っている。挨拶は、朝礼等で全社員が訓練を実施。理念の浸透を図るため、チーム毎に創業者の考え方を学ぶ「フィロソフィー研修」を実施しているほか、新入社員を対象に近江商人の精神を学ぶ研修も。

情報共有としては、問題を先送りさせないための役員及びリーダー約20名による毎朝の会議や隔週の全社朝礼、「顧客の声」会議、「感謝の声」社内掲出、システム活用、そして全社総会等、多層的に実施。

山﨑氏は「当社はいわば“専門医”」と言う。特定業態の顧客の“原価が見えない”・“納期が遅れる”・“利益率が低い”といった病状を診断し、『TECHS(テックス)』シリーズ等を処方すると共に、回復期のリハビリを支援するのが仕事だ。このため、専門資格の取得を促進し、中小企業診断士保有者は月5万円の資格手当、ITコーディネータは約20万円の取得費用の全額を援助。そのほか、社内外の諸研修を充実させている。

就労環境充実や福利厚生の面では、残業はすべて承認制としており、月平均の残業時間は9.9時間（2023年度実績）と業界平均よりも少なくまた年々減少傾向にある。年間有休取得計画制度で、年1回は休祝日を合わせた1週間程度の長期休暇取得を奨励している。

「バースデイ会食」は、当該月に誕生日を迎える社員全員を、役員が高級レストランに招待。一流の接遇を体験する機会づくりも兼ねている。そのほか、決算賞与や目標達成インセンティブ、改善提案制度、勤続表彰制度、ギネス表彰制度等、社員が長く働けるための環境を整備している。

同社がここまで社員のための制度を用意している背景には、“税金のかからない資産の蓄積”という狙いがある。“税金のかからない資産”とは、社員に蓄積されたノウハウやスキル、知見にほかならない。

「社員が幸せに働ける環境をつくることで、長く働いてもらい、税金のかからない資産の蓄積によってお客様に良いサービスを提供し、お客様に感謝されて精神的に満足し、企業としても成長し経済的に豊かになり、社員に還元しさらに幸せになってもらう。この好循環を回していくことが、私の使命です」と山﨑氏は話す。

そんな同社は、①素直で、②人の役に立ちたいと考え、③継続的に学ぶ意欲を持つ人材を求めている。この募集は見逃せないだろう。

テクノアはこのたび、公益社団法人中小企業研究センターの主催する「第54回(2020年度) グッドカンパニー大賞」で「グランプリ」に選ばれました。
今後もソフトウェア開発、お客様へのサービス提供を通じ、地域社会および、日本の産業界に貢献できるよう尽力してまいります。

■グッドカンパニー大賞について
全国の中小企業の中から、経済的、社会的に優れた成果を挙げている企業を選んで贈られる、日本で最も歴史と実績のある中小企業のための賞です。中でも、今回、テクノアが受賞した「グランプリ」は経営の刷新、技術開発、市場開拓、流通改革の分野において、特に顕著な成果を挙げ、優れた内容を有する企業であって、最近3年間の業績推移が相当なものであり、今後も伸展が期待される、全国水準において優れた企業に送られる賞です。