株式会社コメ兵

リユース業界で日本最大級の規模を誇るコメ兵。名古屋で人気の大須商店街に本拠を構え、地元名古屋での知名度は圧倒的。もちろん名古屋だけにとどまらず、東京・大阪など全国に34店舗を展開している。

リユース・リサイクル・中古販売の業態は「安く買って、高く売る」が基本のビジネスモデル。しかし、コメ兵はそんな業界の常識とは正反対の理念を持っている。

「コメ兵のビジネスは、モノを右から左へ流して、やみくもに利益を追求するだけではありません。『モノはヒトからヒトへ伝承（リレー）され、有効に活用（ユース）されてこそ、その使命を全うする』という企業理念を大切にし、お客様から買い取った商品をすべてコメ兵の中枢でもある『商品センター』へ送って、熟練した目利き力でさらに入念に検品し、メンテナンスしてから販売します」

高いメンテナンス力と全国34箇所の店舗とECサイトをはじめ多彩な販売チャネルを持つ販売力があるからこそ、「高く買って、安く売る」ことができるのだ。

「オリジナルオークションも買取品を最適値で販売できるルートの一つです。店頭では売れなかった品物もオークションでなら高値が付くこともしばしば。必ず売れる自信があるからコメ兵は、他よりも高く買い取れることができ、お客様満足に繋げられます」

顧客の満足を徹底的に追求する姿勢は、コメ兵が販売する商品のクオリティにも通じる。ブランド品の場合、偽物を買ってしまうリスクがあるが、コメ兵では商品センターを中心に「偽物シャットアウトプログラム」を徹底して「偽物は、仕入れない。絶対に店頭には並ばせない」を合言葉に、偽物と闘っている。

「お客様から品物をお預かりしたその瞬間から、次のお客様の手元に渡るまで、5重のチェックを張り巡らせて、つねに目を光らせています」

独自の研修カリキュラムで買取バイヤーの偽物察知力を強化。さらには、経験を積んだ熟練バイヤーが買取センターのバイヤーがチェックした品物も商品センターで再チェック。各店舗出荷時に、熟練度の高いスペシャリストが最終チェックするといった徹底した検品体制を敷いている。

信頼できる品物を高く買って安く売る。コメ兵の成長を支えてきたのは、この企業理念を徹底的に実践してきた、企業の姿勢と体制作りにあるといえる。

1947年（昭和22年）古着屋「米兵商店」を創業し、戦後の切実な衣料ニーズを満たして成長。さらに、日本人の生活水準が向上した高度成長期には、宝飾品、カメラ、時計、家電品などモノ全般を取り扱うようになった。広告活動にも積極的に取り組み、“いらんものは米兵へ売ろう”のキャッチフレーズを使用したラジオCM、TVスポットCMで、名古屋では誰もが知っている店となった。

「コメ兵は、時代のニーズを常に吸収して成長してきました。2000年5月にはインターネットによる通信販売を開始。その後も、ITテクノロジーを積極的に取り入れてきました。店舗とネットをうまく活用するために、エンジニアが社内のあらゆるニーズをヒアリングして、経営戦略と合わせて、コメ兵のIT化を推進しています」（システム責任者）

中古品通販サイト「KOMEHYOオンラインストア」は、コメ兵のオンライン戦略の中心となる存在。オンラインショッピングだけでなく、電話注文や店頭受取の窓口でもあり、気になる商品を近くの店舗に取り寄せるサービスもある。

「リユース品は実際に手に取ってから購入を決めたい、というお客様も少なくありません。そこで、KOMEHYOオンラインストアを通じて、気になった品物を選択してもらえれば、その品物をお客様の近くの店舗まで移動させるサービスを提供しています。ネットと店舗の両方を持つコメ兵の強みを生かせるシステムやサービスの開発に、今後も注力していきます」（システム責任者）

Android＆iOSに対応した「KOMEHYOアプリ」は、コメ兵が展開する3つの店舗ブランド「KOMEHYO」「LINKSMILE」「USEDMARKET」でメンバーズ会員証として利用できるだけでなく、カードレスで買い物ができ、ポイント数、買い物・買取履歴も確認できる。そのほか、LINEで買取査定するサービスもある。

「お客様にLINEで買取希望の品物の写真とブランド名、アイテム名・モデル名、購入時期、コンディションなど詳細な情報を送ってもらい、コメ兵での買取金額の目安を返信します。査定金額に納得すれば、買取センターや店舗に来店いただくか、無料宅配買取キットを取り寄せて買取希望の品物を送付してもらえれば買取がスムーズに進みます」（システム責任者）

時代の流れに合わせて常に進化してきたコメ兵の歩みは今後も止まらない。とりわけビジネスのIT化への取り組みには積極的な姿勢を示している。

「IT化には経営陣が理解を示し、大きな期待を寄せています。現場のデジタライズもまだまだ手付かずの部分が多々あり、エンジニアには積極的に活躍してほしいと願っています。現場の声を聞いて、コメ兵のビジネスを前進させてくれるアイデアは大歓迎。会社の未来を考えたとき、コメ兵でもデジタルトランスフォーメーションを推進していかなければなりません。AIを筆頭に最先端の技術で何ができるのか、一緒に考えてIT化を進められる人材を求めています」（システム責任者）

コメ兵のエンジニアは、ECサイトの保守・改良から新しいアプリの開発、さらに社内の業務システムまで、いろんな開発に携われる。システム開発会社での開発は、同じようなシステムを開発する毎日で、変化に乏しいことも。その点、コメ兵では幅広い開発案件を通じてスキルアップにもつなげられる。

「当社のエンジニアは、社内のあらゆるシステムの開発を手掛けています。実際にプログラムを書くよりも、ディレクションに近い業務が大半です。コメ兵のビジネスを成長させるために必要なシステムの開発を外部のパートナーと一緒に作り上げます。いわゆる『上流工程』にあたる部分。自社システムを開発するやりがいがある上、プログラマーからSEへのステップアップを目指す人にとっても、経験を積む絶好のチャンスになります」（システム責任者）

また同社では働く環境も整っている。残業時間が平均で月に10時間前後、みんなほぼ定時に退社するコメ兵。昔から残業をする文化がなく、社員はみんな規定の時間内で効率よく働いているという。チームを組んで複数のプロジェクトを同時進行するためチームワークが抜群で、離職するエンジニアもほぼゼロだという。

「手前味噌ですが、働く環境の整備も進んでいますし、コメ兵のデジタル化を推進するやりがいのある仕事でもあります。コメ兵のエンジニアは、社内のITリテラシーのアップを牽引する存在でもあり、エンジニア以外のメンバーを集めてITに関する社内勉強会を開き、新入社員の研修も担当しています。SIとは違って自社システムの開発ですからフィードバックも届きやすいのもやりがいにつながります」（システム責任者）

70年続いてきたコメ兵のビジネスをITの力で前進させる仕事。コメ兵には、経験を積んだエンジニアが活躍できるフィールドがあり、若いエンジニアが経験を積み重ねる環境もある。