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Auto-IDフロンティア株式会社

  • IT/Web・通信・インターネット系

世界的メーカーの受託案件で成長中。自動認識技術でイノベーション目指す

企業について

Auto-IDフロンティア株式会社は、滋賀県栗東市に拠点を置き、最先端領域でのシステム開発を行うベンチャー企業だ。コア技術は、Auto-ID(自動認識技術)とWEB開発。現在は受託開発を主要事業として、持続的な成長を遂げている。

現在、同社の開発チームは2つのセクションに分かれている。業務系システムを幅広く担うソリューションセクションと、物流システムの制御系システムを担う物流システムセクションである。人員、売上規模は半々だ。
 
ソリューションセクションが担う案件で最も多いのがWEB系システムの開発である。特にデータベース系やネットワーク構築など裏側のシステム開発を得意とする。代表取締役・杉江尋幸氏が「何でもやる」という通り、PCI-DSSに準拠した決済代行システム、WEB受験管理システム、宿泊施設予約サイト、音楽ダウンロード販売サイトなど、幅広い種類のシステム開発を担う。請け負う形態は、一次請け、二次請け、三次請けと様々で、エンドユーザーは中小企業が多いが、他社が嫌がる難しい案件の相談に乗ることが多く、仕様を固める段階や基本設計などの上流工程から入るプロジェクトも少なくない。

「今後はコンサルタントまで出来る実力を身につけたいと考えています。お客様の相談に乗りながら設計を進めるということに注力し、付加価値を上げているところです」(杉江氏)
 
一方の物流システムセクションが担うのは、物流システムの制御系および設計系のシステム開発である。エンドユーザーは工場の設計から工場全体の動きをコントロールするシステムを開発する世界規模のメーカーである。巨大な物流業界の中で二次請けのポジションで受注してはいるが、こちらもエンドユーザーとダイレクトにコミュニケーションを取り、物流業界の自動化システムの装置開発の設計、開発、テストを一貫して請負う。電子機器メーカーや半導体メーカー、流通業など、世界に名をはせる企業の案件ばかりのため、プログラムを組んで納品した後も、現地への実機導入の際も、テスト、調整のために開発担当者が同伴している。
 
「巨大なシステムなので全ては請け負えません。当社はお客様からの依頼を受けて担当しているところを一生懸命やっていくだけ。ただし、そこには物流の業務知識を含め、様々なノウハウの蓄積があります」(杉江氏)

世界の産業構造が激変する中、物流業界の動きも活発化。その余波を受ける形で同社におけるシェアも高まっている。その効果により会社全体の売上は、直近3年間で1.5倍と堅調に伸びている。引き合いはそれ以上に来ているが、社内リソースの関係上、受注し切れていないのが現状である。今後ますます増え続ける顧客ニーズに応えるためにも、プログラマーの採用を強化する考えだ。

幅広い分野の受託開発で持続的な成長を遂げるAuto-IDフロンティア社。一方では、設立以来、“新市場の創造と挑戦”を理念に掲げ、自社サービスにも果敢に挑戦してきた会社だ。近年は大学の研究機関と連携し、LPWA(Law Power Wide Aria)技術を使ったサービスの仕組みとして高齢者の生活を支援する『ライフサポートシステム』の開発に取り組んできた。今後に向けて注力しているのはIoT(Internet of Things)とロボティクスの領域である。
 
「時代は変わってきています。近年は第4次産業革命と言われますが、その中心にあるのがIoTやロボティクス、AI、クラウドといった技術です。当社は、これらに軸足を置いた動きを始めています。大学の研究機関とはアームロボットの制御に取り組む計画がスタートします」(杉江氏)

同社が設立されたのは2005年6月。創業者の杉江氏は起業前、バーコードやRFIDなどを扱うメーカーで、企画系の業務を担当していた。2000年代に入りADSLや定額制のインターネット接続サービスが普及し始め、SNSやWEBメールサービスなどの個人向けASPサービスが登場し始めると、杉江氏は、業務システムも今後ASP型に移行していくと考え始めた。WEB技術や通信技術にAUTO-ID技術を絡めたら面白いサービスが出来ると構想を温め、社内でディスカッションを重ねたが、条件が整わず実現には至らなかった。それが起業を決意するきっかけとなったのである。
 
開発者のコミュニティとネットワークを持っていた杉江氏が、そのネットワークを使って開発したのは、業務システムの中でも販売管理や在庫管理など、物の流れを管理するシステムである。創業と同時に基幹業務支援サービス『WebGoodJob』をリリースし、独自にはシステム開発が出来ない中小企業をターゲットとして提供し始めた。
 
だが時代が早すぎた。まだまだ「社内の情報は社内で管理する」のが常識とされた時代で、思ったようには広まらず、サービス自体は残したまま、会社の軸を受託事業へと移行し、堅実な経営で基盤を作ってきたのである。
 
「ただ全く違う領域に移ったとは思っていません。例えば工場内の物の動きを設計する技術や、物の流れを制御する技術は、我々が取り組もうとしている流れの中の1分野です。今後目指すIoTもAUTO-ID技術の延長線上にあります」(杉江氏)

IoTは全てのものがインターネットに繋がる技術だ。バーコードで読み取ったりセンサーで感知したりしたデータがWEB上のデータベースに置かれ、その集まったデータを用いて何かを動かす。それは同社がこれまでに積みかねてきた技術と重なる。
 
「設立とほぼ同時に受託に切り替えたことで、苦しみながら実力を蓄え、新しいことに挑戦出来る基盤は出来ました。今後の成長が楽しみという会社にはなってきたと考えています。ただ、IoTやロボティクスといっても幅広い。問われるのは実際に何をするかです。ここ数年、受託開発や大学との共同開発を通して、物を作り上げて行くノウハウを蓄積してきましたので、次のステップでは、アイデアを絞って世の中にない、世の中が欲するものを作り上げ、広めて行きたいと考えています」(杉江氏)

“新市場の創造と挑戦”という理念のもと、“一歩先行く 技術力、一つ高い 完成度、一つ抜き出た 満足感”という信条を掲げ、こつこつと技術とノウハウを積み上げてきた。だが、まだまだ体力をつけるべき時期だと杉江氏は語る。伸びている物流システムセクションの体制を強化するのはその一環だが、その体制を整えた先では、ソリューションセクション、営業セクションを強化し、理念の実現に挑む計画だ。
 
一方では組織のあり方としては、“お客様から確かな信頼とイノベーションを期待され続ける企業でありたい”という目標を掲げる同社が、社員に求めることは、プロフェッショナルであること。常に真摯な姿勢で仕事に取り組み、顧客から信用・信頼される。計画的で目標達成に向け「諦めない姿勢」と「熱い気持ちを持ち」続け、結果を残す。そして価値創造を目指しチャレンジし続ける。さらに、聡明かつ社会人として成熟した人物に成長出来る。
 
こういった目標を達成するため、近年は技術や業務の面だけではなく、社内の組織力強化にも取り組んできた。基本動作チーム、コミュニケーションチーム、モチベーションチームといった現場のスタッフのみで組織する3つの組織力強化を運営。自主的かつ計画的に取り組み、改善に取り組み、レベルを向上させている。
 
また、評価制度を2017年に刷新し、能力給から職能給へと移行した。社会人としての基本動作や技術、業務知識などの評価項目を設けた評価シートを個別に作成。目標とその目標を達成するための具体的な取り組み―資格取得など―を設定し、半期ごとに振り返っている。資格取得やスキルアップに必要な研修などには参加費用を負担するなどの支援も用意されている。資格取得者には資格手当もつく。
 
さらに、プロジェクトマネジメントにPMBOKを導入することで業務を可視化するなど、業務改善にも取り組む。これらの取り組み自体も会社全体のステージを押し上げてきたのである。
 
現在(2020年1月)、同社の社員数は15名。平均年齢は31歳。は全員が滋賀県の出身である。住み慣れた地域で先端領域に触れられることが同社の魅力だ。
 
2009年入社の物流システムセクション マネージャー・中村剛氏は、前職時代もメーカー系の開発会社で機械の設計から制御プログラムの開発などに関わってきた業界歴20年のベテラン技術者だ。その中村氏が語る。
 
「当社は、滋賀県栗東市という地域に拠点を置きながら、最先端領域の開発に携わっています。ソフトウェア開発の業界は、東京、大阪などの都会は仕事が多いため会社が集中しますが、業界の流れとしては地域に関係なく開発が出来るようになって来ました。リモートワークの環境も整備され、今後は地方の会社でも大きくなるところが出てくるでしょう」(中村氏)

ASP型業務システムやLPWA(Law Power Wide Aria)技術を使った高齢者の生活支援サービスなど、常に時代の先を見据えたチャレンジをしてきたAuto-IDフロンティア社。近い将来、社会の注目を浴びるようなイノベーティブなサービスを生み出す可能性は十分にある。東京、大阪からU/Iターンを考えているような技術者にとっても選択肢の1つになるだろう。

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企業情報

会社名

Auto-IDフロンティア株式会社

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > IoT・M2M・ロボット

IT/Web・通信・インターネット系 > システムインテグレータ・ソフトハウス

資本金

500万

設立年月

2005年11月

代表者氏名

代表取締役 杉江尋幸

事業内容

■Webシステム開発
■制御システム開発
■物流システム開発
■各種アプリケーション開発
■バーコードリーダー, ハンディターミナル販売

株式公開(証券取引所)

従業員数

15人

本社住所

滋賀県栗東市出庭2035番地

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