株式会社CBIT

不動産業界のビジネスソリューションを中心に、ITコンサルティングとシステム開発を手掛ける株式会社CBIT（シービット）。有限会社システムアプリケーションプランニングという社名で1991年に設立された同社の事業は、技術者派遣ビジネスに始まり、2010年代から自社でのシステム開発事業や、ITコンサルティング事業も展開。現在の社名へと変更した2016年に、クラウドサービスの事業をスタートさせた。

現在同社は、不動産物件管理ツールをクラウド上で展開する『ビズアナ』シリーズの提供、そして自社サービスであるFAQシステム『ナレッジリング』の運営という二つの事業を柱としている。その柱の一つである『ビズアナ』シリーズについて、同社取締役・ITコンサルタントの庄山幸一氏にその特徴を聞いた。

「『ビズアナ』は、マンションやアパート等の不動産物件に関するデータを分析・管理するクラウドサービスです。当社は代表取締役の大竹（浩氏）が、創業時からデベロッパーや不動産管理会社を顧客としていましたので、その流れから、不動産業界にフォーカスしたサービスになりました。いわゆるBI（Business Intelligence＝ビジネスインテリジェンス）ツールと言われるデータ分析ソリューションや、パッケージシステムは数多く存在しますが、特定業界専門のデータ分析サービスは非常に珍しいと思います」（庄山氏）

『ビズアナ』シリーズは、賃貸物件を管理する管理会社が対象の『ビズアナ賃貸』、マンション管理運営を支援する『ビズアナマンション管理』という法人向けのサービスに加え、個人の不動産オーナーをターゲットとする『ビズアナオーナーLite』というラインナップとなっている。2019年7月にリリースされた『ビズアナオーナーLite』は、業界誌等でも高い評価を受け、その充実したサービス内容からユーザー数を増やし続けている。

「このサービスは、管理戸数が20戸までは月額利用料が無料となっています。また、不動産物件オーナー様は、複数の管理会社から紙資料やPDFという形で届く収支報告書をアップロードするだけで当社がその内容をデータ化。この簡潔な手順とクラウド上に集積され、可視化されたデータを、スマートフォンからでも確認できる利便性により、導入するオーナー様に喜んでいただける状況となっています」（庄山氏）

『ビズアナオーナーLite』に関しては、今後は市場分析や賃料査定、リフォーム対策検討を可能にするコンテンツを加え、オーナー自身が希望するサービスを自由にオーダーできる仕組みへと改善することを目指す。また同社では、自社で構築するこのシステムの展開だけではなく、その後により深いレベルでのオーナー支援事業を実現したいと考えているという。同社のITソリューション部マーケティング課マネージャーの宮澤聡氏に、今後の展開について語ってもらった。

「リフォーム業者や電力会社等、プラスアルファのオプションサービスも選択できるポータルサイトと連携させることで、オーナー様により高い価値をご提供できると考えています。また、そうしたご要望に対応するコンサルティングにも力を入れたいというのが私達の考えです。これまでは、ある意味で管理会社の提案に従うだけだったオーナー様も、当社のサービスを活用いただくことでご自身の物件の状況を把握しながら、より満足のできる管理が可能になるはずです」（宮澤氏）

現状のサービスを進化させ、不動産オーナーというユーザーへの支援をより充実させる。こうした姿勢は、もう一つの事業の柱である『ナレッジリング』の展開でも見られる同社の特徴である。『ナレッジリング』は『ビズアナ』シリーズとは対照的に、ターゲットとする業界・業種を限定せず、幅広いサービス領域で導入事例を増やしている。シンプルな構造で低価格、そして高い検索性と操作性を備えることで、導入のしやすさを実現した『ナレッジリング』は、大手企業での活用事例も多いツールとなっている。

「情報共有サービスとしての機能を重視しているのが『ナレッジリング』の最大の特徴です。グループウェアとして使いたい、チャットツールやスケジュール管理機能もほしい、といったニーズもあるかと思いますが、あえて情報共有に特化している点で、多くのお客様の支持をいただいていると思っています」（宮澤氏）

この『ナレッジリング』では、チャットボットであるコグニティブ・コンピューティング・システムを採用しているが、ユーザー企業からはシステムのフロントにおけるチャットボットとの連携等、より深いレベルでのニーズも寄せられているという。『ビズアナ』同様、こうしたサービスの進化に取り組むのが、同社の今後に向けた事業展開のコンセプトになるということだ。

「AIや自然言語分類に関するAPIの導入等、企業様ごとに様々なニーズをいただいています。そうした個別のオーダーに対応しながら、次のビジネス展開に生かしていきたいというのが、私達の考えです」（庄山氏）

ここ数年の売上高に関しては、2017年度が3.2億円、2018年度が3.3億円、2019年度の見込みが3.9億円となっている同社。3期連続で10～15%の伸びを見せる経営基盤の安定性に加え、社員達が働きやすい制度が整っているのも同社の魅力と言える。人事総務部で採用担当マネージャーとしての役割も担う宮澤氏に、“CBITとはどんな企業か”と質問してみた。

「当社の社風は、一言で言ってアットホーム。いい意味で“ユルい”雰囲気の中で、数字ばかりを追うのではなく、お客様の満足を社内のメンバー全員で追求していくのが、当社の環境にある特徴だと思います。また、社員の状況に合わせて、テレワーク等を選ぶこともできます。穏やかな社風の会社で、自分らしく働くことができる。そんな環境が当社の魅力の1つだと思います」（宮澤氏）

また、仕事の対象の中心となる不動産業界についても、庄山氏は大きな魅力を感じられるはずだと語っている。これまで同社では、2013年と2016年の2回にわたり、不動産管理会社におけるIT活用の実態を報告する「ICT白書」を発表。単純に自社システムやサービス拡販に注力するだけではなく、不動産業界のIT活用推進に寄与しながら、業界全体の利益底上げを目指したいという思いからだ。

「エンジニアとしてスペシャリストを目指す道、マネジメント等を担当しながらゼネラリストを目指す道等、入社後のキャリアにも様々な選択肢があると思います。そんな環境の中で、今後さらに高次元でのIT化が進む不動産業界に関わりながら、この世界で何らかのビジネスを生み出す人財になっていただきたい。ニッチな業界かもしれませんが、必要とされている業界に、必要とされているサービスを創り出す喜びを感じていただきたいのです。これから入社する方には、そんな言葉をかけたいと思っています」（庄山氏）

新しい技術に触れられる環境で、新しいアイデアを形にしながら、新しいサービスを創造する。会社の成長を牽引する仲間を求めているため、自らアイデアを発信する人も大歓迎だ。興味がある人はぜひ話を聞いてみることをおすすめする。