株式会社Arent

エンジニア視点の高解像度なコンサルティングで企業のDX推進をサポートし、急成長を続けている株式会社Arent。大手企業との協業でゼロから画期的なソフトを開発し、そのソフトを外販するジョイント・ベンチャー（以下JV）を、わずか2年で立ち上げた、今注目のスタートアップだ。

代表取締役の鴨林広軌氏は1982年生まれ。大学を卒業後、金融持株会社ファンドマネージャーとして株式・債券投資に従事。その後2012年に総合インターネット企業に転身し、BIシステム構築や新規ゲーム開発を担当したキャリアの持ち主。2015年に独立し、株式会社Arentの前身となる株式会社CFlatにジョインした。

「私は大学時代に投資ビジネスに興味を持ち、ゆくゆくは起業したいと考えました。そこで卒業後、金融持株会社で投資を実地で学びながら、起業に適した業界を探していたのです。そしてやはりIT系だと思いましたが、IT業界で起業するのなら、エンジニアリングがブラックボックスではまずい。そう考えて総合インターネット企業に転職し、BIシステム開発等に携わりエンジニアリングのスキルを磨きました。その後手掛けたゲームアプリが全世界で300万ダウンロードを記録し、これならやっていけると思い、起業したのです」（鴨林氏）。

ちなみに社名は、20世紀の卓越した思想家ハンナ・アーレント氏の名に由来する。「『労働』に塗りつぶされるな、人間の本質は創造的な『仕事』と『活動』にある」という、創造を重んじた彼女の主張に敬意を表して名付けた。

同社の特徴は、企業のDXに関するITコンサルティングから、その後のシステム開発、さらには新規事業の立ち上げ・事業化まで一気通貫に行っていることだ。

例えば2018年からプラント建設大手・千代田化工建設株式会社と協業を開始し、自動設計CADシステム『PlantStream』を開発。2020年7月には両社が折半出資でこのシステムを開発・販売する株式会社PlantStreamを設立した。

「業界のことを深く理解し、それをしっかりと仕組み化できるのが当社の強みです。優秀なエンジニアが揃っていて、しかも全員がまるでその業界の人かと思うぐらい業界のことをよく勉強しています。『PlantStream』は経験豊富なプラント設計者の暗黙知をアルゴリズム化することにより、従来数ヶ月がかりで行っていた大規模設計を数十秒に短縮することに成功しました。そして開発して終わりではなく、その後のビジネス化まで支援しているのも当社の特徴です。『PlantStream』は元々社内の生産性改善ツールとして開発したものですが、外部に販売することでマネタイズしていくべきだと考えました。そこで千代田化工建設さんに提案し、共同出資でJVを立ち上げたのです」（鴨林氏）。

『PlantStream』はその優れた機能が評価され、オイル・メジャー等、大手企業からの引き合いが相次いでいる。

Arentは『PlantStream』の他にも、着実に実績を重ねている。大手ゼネコン・清水建設株式会社と共同で複合商業施設内をスマートに移動するための専用ナビサービスを開発。また、イオングループのエンタテインメント企業・株式会社イオンファンタジーとコラボして開発したのが、本物のクレーンゲームをリモートで遊べるシステムだ。その他、ある企業とFinTechビジネスも推進している。

設立以来、売上は前年の2倍のペースで成長を続けており、2023年月には東証グロース市場に上場し、さらなる事業拡大に向けて準備を進めている。

同社の魅力は、我が国トップクラスのスキルを備えたエンジニアに囲まれてエキスパートへと成長できることだ。

「3D CAD、IoT、ビッグデータ、AI、3次元形状処理等、最先端のITスキルと知識を持つ、国内トップクラスのエンジニアが集まっています。物理・数学の専門知識を持ち、アカデミックな活動を行っているエンジニアも多く、彼らに触れてアカデミック領域の理解を深めることにより、エンジニアとしての幅を広げることができます」（鴨林氏）。

また、上流工程に携わりたい方やビジネスを手掛けたい方にも非常に魅力的な環境だ。

「コンサルティングから手掛けていますから、エンジニアからコンサルタント、エンジニアからPMというキャリアパスが豊富です。また子会社を次々と立ち上げているので、新会社のCEOや役員等、世の中にインパクトを与えるポジションで活躍するチャンスもあります。例えば株式会社PlantStreamの代表取締役 Co-CEOは当社の社員ですし、今度設立する新会社のCEOには20代の社員が就任する予定です」（鴨林氏）。

さらに、携わるのは大手企業から直接元受けとして受諾した案件なので、クライアントとの距離が近く、高いモチベーションで開発に取り組むことができる。

「クライアントと深く関わり、しっかりやり取りしながら開発を進めていますから、いわゆるクライアントワークのような、やらされている感はありません。また『PlantStream』は、元々はクライアントから受託して開発したシステムでしたが、今では半分自社プロダクトになっています。完全自社とは言えませんが、完全受託でもありません。SIerで受託開発に携わっていた方が、いきなり自社プロダクトを開発している会社に行くと、文化が違いすぎて馴染めないケースも多いと聞きます。しかし当社の場合、このような開発形態なのでSIerでの受託開発経験を生かして、活躍しやすい環境だと思います」（鴨林氏）。

現在Arentは、東京オフィス（本社・東京都中央区八丁堀）と浜松オフィス（静岡県浜松市）の2ヶ所を拠点で事業を展開している。年齢層は20代から50代まで幅広く、平均年齢は30代後半。企業カルチャーについて鴨林氏は次のように語る。

「とにかくアウトプットにはこだわっていますね。結果を出せるなら働く時間や場所は、個人の裁量に任せています。フルリモートで働くことも可能で、実際に出社は年数回のメンバーもいます。また、成果を生み出したメンバーは正当に評価し、しっかりと報いるのも当社の特徴です。例えばある社員は年俸500万円でしたが、担当したプロジェクトを成功に導いてくれたため、700万円のボーナスを支給しました。それも私の肌感や好き嫌いではなく、数式で公平性を持って評価した結果です」

また、メンバーにストックオプション（SO）を積極的に付与。信託型SO制度をいち早く導入し、挑戦と成果に応えるフェアな報酬設計を整備している。

そんな同社が求めるのは、素直に学ぶ姿勢があり、経験したことがないことにも積極的にチャレンジする人材だ。

「当社ではプラント、建築、FinTech等、様々な領域に入りDX推進をサポートします。その時にキャッチアップが早いのは素直に学ぶ姿勢のある方です。業界独特のやり方や風習を批判するのではなく『なるほど、この業界はこういうことをやられているのですね』と素直に受け止める。そして、それを良くしていくにはどうしたらいいかをエンジニアの視点で考えることができる方に来ていただきたいですね。また、やったことがないからと尻込みせず、『調べてやってみます』とチャレンジする方を歓迎します」（鴨林氏）。

今後のビジョンとしては、様々な分野で大企業と組んでDX推進をサポートしていきたい考えだ。

「日本の大企業には他国に比べて優れた技術を持っている会社が数多くあります。日本の技術でしかできないことがまだ沢山あるのに、そのオンリーワンの価値を上手にマネタイズできていない企業が多く、とてももったいないと感じています。『PlantStream』を皮切りに、今後様々な業界で日本の技術力のすごさをしっかりとソフトウエア化して世界に売っていきたいですね。そうすれば日本の成長にも寄与できると確信しています」（鴨林氏）。

DXのプロフェッショナル集団として果敢にチャレンジを続ける同社は、エンジニアとしてスキルを極めたい方はもちろん、コンサルティングやビジネスに携わってみたい方にもおすすめの環境だ。