有限会社クワーク

金融機関から官公庁、メーカーにいたるさまざまな開発プロジェクトに参加し、堅実な経営を続けてきたクワーク。1997年に設立した開発会社であるが、もともとは代表を務める石川康弘氏を中心とするサークルのような集まりがルーツだという。

「高校卒業後に同級生だった私と、代表の幼馴染に代表が声をかけて集まったのがそもそものはじまり。大学生だった私たちは栃木県足利市にオフィスを構え、学生ベンチャーのような形でゲーム制作からスタート。その後、さまざまな開発業務を行っていきました」（専務取締役・小林淳郎氏）

地元の案件に携わり、着実に実績を上げてきたクワークだったが、代表の石川氏ら創業メンバーは大学を卒業後、大手SIerへ入社。これは現在も現役エンジニアとして活躍する石川氏をはじめ、全員が社会人としての成長を図るだけではなく、クワークを会社組織として発展を目指すための社会勉強を兼ねていたのだという。ここでの社会経験が、後のクワークの経営に大きな影響を与えるのであった。

そんなクワークの経営は、極めて堅実的だ。案件のほとんどが官公庁などの公共機関や金融・医療機関などの社会インフラに関係するもの。ニーズがなくなるどころか継続的な運用が期待され、信頼関係を築くことで新たな案件獲得も実現させている。こうした活動のベースとなっているのが、創業時からクワークが大切にしていた人と人との出会いにあるという。

「私たちが学生時代にお世話になった教授がいるのですが、その方からとある取引先を紹介していただいたのが現在の成長につながる基礎となりました。その取引先との仕事を通じて人脈を形成できただけではなく、会社経営のノウハウも学べたことで私たちも成長できた。こうした人と人との関わりを大切にすることは、今もエンジニア一人ひとりが自分らしく働ける環境づくりにも活かされています」（小林専務）

クワークの堅実性を表すもう一つの例として、1999年に東京進出・2009年に東京事業所が開設。リーマンショックでビルに空室が目立った時期でもあり、通常期よりも低いコストでオフィスを借りることができたという。新しい挑戦はするが決して無茶をしない姿勢が、今日までの安定した成長を支えているのだろう。

クワークは請負によるシステム開発やインフラ構築を行う会社であるが、職場環境について実際に働くエンジニアに話を聞いてみると「自由度が高い」という答えが返ってくる。たとえば自分が得意とする分野へのアサインはもちろん、経験が浅くても挑戦したい意欲が強ければプロジェクトを紹介してもらえることも頻繁にあるという。しかもスケジュールをしっかりコントロールできるのであれば、休み希望も可能な限り受け付けるなどの対応も行うという。中には次のプロジェクトがはじまるまでの1ヶ月間すべて、休暇に充てたというエンジニアもいる。

「当社では納期など最低限のことが守られていれば、エンジニアが自由に活動できるよう、あらゆる希望を受け入れています。彼らが頑張ってくれているから会社が存続できているし、私も営業活動を積極的に行うこともできる。これは代表が今でも現役として、現場に出て活躍していることが大きいと思います。経営がエンジニア目線に立っているからこそ、真のエンジニアファーストが実現できているのでしょう」（小林専務）

新型コロナウィルスの感染予防対策として、多くの企業がテレワークやオンラインミーティングなどを行う会社が増えたのは、おそらく多くのエンジニアが直面した現実ではないだろうか。採用活動においてもオンライン面接を行う会社は珍しくなくなったが、クワークでは現在も必ず1回は対面面接を行う方針であるという。「面接は2回を予定しているのですが、少なくても二次面接は必ず当社にお越しいただいての対面面接を行います。オンライン面接も可能なのですが、求職者が何を考えているか、どのようなコミュニケーションをはかる人なのか、具体的に知るには直接お会いした方がはるかにわかりやすい。当社はエンジニア一人ひとりの個性を尊重する会社ですから、面接からその人柄をじっかり見ていきたいと考えています。今回の採用においても、ぜひ直接お話をして、お互いのことを理解していきたいと思います」（小林専務）