デロイト トーマツ smooth株式会社

中小企業を中心とした企業に対し、ビジネスの成長支援を目的とした事業を展開するデロイト トーマツ smooth株式会社。クラウド会計ソフトウェア『freee』の認定代理店である同社は、その導入や運用のサポートを行う公式のコンサルティングパートナーとしての立場にもあり、2017年の設立以来、業績を拡大し続けている。

同社のCEOである中野祐希氏は、自社の事業を“ICTコンサルティング”と位置付けている。通信技術を活用したコミュニケーションを重視した事業支援により、クライアント企業の業務効率化、業績向上を目指す取り組みのパートナーとなる、というのがその意味するところだ。

「当社の事業内容は、顧客企業がクラウドを中心としたITツールを使うための支援を行い、その結果としてそのツールを根付かせることを目的としています。近年、各種のクラウドツールは安価で利用できる状況になってきていますが、それを企業が本当に活用できるようにサポートする、ツールの機能をその企業の業務に落とし込む、そしてしっかりと根付かせるための支援が、私達のミッションということになります」（中野氏）。

過去には人材教育等の業務領域にも対応し、社名に表れているような企業の“スムーズ”な成長を助けるためのあらゆる取り組みを行ってきた同社。最近ではIT分野の支援に特化するようになっているが、設立時から一貫して取り扱っているのが会計ソフト『freee』である。その事実が示すように、会計領域に軸足を置いたビジネスコンサルティングを展開している点が、同社の最大の特徴になっている。

「企業活動の要素には、会計や人事の領域であるバックオフィスと、営業や生産に関する領域であるフロントオフィスという二つのものがあります。当社が得意としてるのは、そのバックオフィスとフロントオフィスの情報を連携させ、企業における情報の流れを一貫させるための支援を行うことだ、と私は考えています。私の前職は銀行員だったのですが、当時から中小企業の課題は“人”と“IT”にあると感じていて、その二つの課題を解決する企業として当社を設立しました。その実感が、ITツールの導入や運用、投資を加速させ、その活用を担う人材をサポートするという当社の事業へと繋がったということです」（中野氏）。

設立当初はわずか3名のコンサルタントが在籍する企業であった同社だが、5年目に入った2021年にはコンサルタント数は3倍に増員し、システムのカスタマイズや構築を担当するエンジニアも9名が在籍する状況となっている。そして、中野氏はそのエンジニア達を「喋れるエンジニア」と評しているが、同社では技術担当者にもコンサルタント的な役割を与え、要件定義から運用サポートまでを担える体制としている。その結果、顧客から厚い信頼を得ることに成功している点も、同社の大きな特徴となっているのである。

同社の最大の特徴である「会計領域に軸足を置いた導入・運用コンサルティング」は、他社との差別化を図る上でも重要なポイントとなっている。

「企業が決算を行う際には、決算書に必要な情報とそうではない情報があるにも関わらず、一般的なITベンダーは持っている情報の全てを管理ツールに流し込むことを考えがちです。その結果として、非効率な業務負担を生むこともあり、スピーディーに情報が動き続けている現代のビジネスにおいてはデメリットが発生し、また効果的な運用を阻害する要因にもなってしまいます。それに比べ、当社によるサポートがあれば、会計領域の観点から逆算してシステムの構築や運用ができるため、無駄な作業や手戻りを発生させずに会計ツールを活用することが可能。そこが当社の強みと私は思っています」（中野氏）。

他のアプリケーションとの連携機能が豊富な『freee』の運用企業からも、既存ベンダーに対する会計業務に関するコンサルテーションを依頼されることがある、と中野氏は語る。実際に同社でも、業務アプリケーションプラットフォームである『kintone』や『Salesforce』との連携を図りながら、企業活動を最適化させるためのコンサルティングを積極的に行っている。そのツールの導入と連携に際し、会計領域に関する知識やノウハウを生かすことで、トータルな意味でのツール活用が実現するというのが中野氏の考えなのである。

「企業活動には、ヒト・モノ・カネ・情報という四つの切り口があると思いますが、その中でもモノと情報の一貫した管理が重視され始めています。モノの動きプラス社内の営業情報・受発注情報があり、一方に人とカネ、つまり会計があるわけですが、それぞれが分断されることなく一括して管理できることで、企業活動を充実させたい。その管理をトータルで実現するツールの活用をサポートしたいというのが、当社の考えなのです」（中野氏）。

その考えから、今後は『Power Apps』等、より幅広い業務管理ツールとの連携への対応も行っていく、と中野氏は語っている。その取り組みによって、自社の強みをさらに発展させながらより強固な企業体制を構築できるというのも、中野氏の考えだそうだ。

「営業を始めとするフロントオフィスの情報には様々なものがあり、企業によってもその重要度や扱い方も違ってきますので、より幅広い情報管理ツールへの対応力を高めていきたいと思っています。会計領域のスキルを持つ人材を、フロント領域のツール関連業務に取り組ませることで、当社にしかないスキルをさらに強化することができる。会計を理解したシステム担当者がコンサルティングを行うという意味では、既存のベンダーにはない新しいジャンルのビジネスモデルにチャレンジできるのではないかと思っています」

そんなビジネス展開に取り組む同社の業務を担当する上では、会計領域での業務経験やスキル保有が必須条件になるのではないか。そんな疑問をぶつけてみたところ、中野氏からは次のような回答を得た。

「会計の知識やスキルはあればありがたいですが、もしなくても簿記の資格取得を通して業務に必要なものは身に付けていただけるはずです。そして、徹底してやっていただくのは『freee』というプロダクトを理解すること。製品知識を深めながら特徴を理解し、その結果として他のツールとの相乗効果を生むことができれば、他のベンダーでは実現できない価値をクライアントに提供できると思っています」

また、サポートを必要とするメンバーに対してのフォローについても、同社ならではのユニークな方法で行っているという。基本的な勤務形態をリモートワークとしている同社では、オンライン上にフリーのスペースを用意し、希望者が自由に参加できるミーティングルームとして活用しているそうだ。そこでは業務に関する会話はもちろん、雑談を交わしながら意思疎通を図り、業務的なチームワークの強化とメンバー同士の親交を深めることに成功しているという。こうした取り組みは、「雑談の中から情報が回り、次のアクションが生まれる」という持論を大切にする中野氏の思いを形にしたものだ。このコミュニケーション手法によって、社員の連携はもちろん、不安を持つメンバーのバックアップも可能にしているのも、同社の特徴的な文化であるということができる。

「新しい環境や経験したことがない領域での業務に対して、不安や迷いを覚える転職希望者も多いかと思います。しかし、当社であれば意欲さえあれば力を十分に発揮できるはずです。一度きりの人生、少しでも思いがあるのであれば新しい一歩を是非踏み出してほしいですね。今、背負っているものが大きいほど、次のステップは燃えるはず。意欲ある方には是非当社の業務にチャレンジしていただき、一緒に目標を見据えながら、いい人生を送るために輝きながら活躍してほしいと思います」（中野氏）。