株式会社カールビット

システム開発会社の、株式会社カールビット。通信ソリューション事業およびシステムソリューション事業、ならびに受託（持ち帰り）による社内開発事業を手掛けている。SES～派遣～請負など様々です。

売り上げの60%以上を占める主力の通信ソリューション事業では、主にモバイル通信キャリアのR&Dセンターに常駐し、モバイル通信システムの設計、外部ベンダーが構築したシステムの開発・品質管理を行うPMO、試験環境構築、技術支援や装置導入支援、自動化ツール開発といった多彩な業務を担っている。
「R&Dに取り組むお客様の拠点内部に入り込み、お客様の立場となって手掛ける業務です。高度な専門技術や知識が求められることもあり、当社が入っている現場では、当社同様の立場の協力企業はほかに数社しかありません。お客様からの信頼性の表れと自負しています」と取締役管理部部長の藤原文雄氏は胸を張る。

システムソリューション事業では、Web系、オープン系、汎用系、組み込み系と広範なシステム開発現場に常駐し、技術支援を手掛けている。また、件数は少ないがAWS等のクラウドやサーバー、ネットワークの構築・運用を担うといったインフラ系の現場もある。
「あらゆる開発言語に対応できるエンジニアが揃っています。得意分野を絞り込んではいませんが、今後はWeb系のフロントエンド領域に力を入れ、エンジニアを育成しつつ意識的に得意領域をつくっていく方向にあります」（藤原氏）。

社内開発事業としては、パッケージのカスタマイズ業務等、クライアントから切り出しやすい案件を受託。
「当社のペースやスタイルで手掛けていけるので、エンジニアを育成する環境がつくりやすいメリットがあります。4年ほど前から徐々に増やしてきましたが、今後さらに増やしていきたいと考えています」（藤原氏）。

なお、自社独自プロダクト開発も、人材育成の機会としてテーマを決めての試作という形でチャレンジしている。「いずれ、世の中にリリースできるものに結び付けたい」と藤原氏は意気込む。

同社の創業は、2006年7月。大手通信機器メーカー系企業の事業部長であった創業者が、退任後に1名のコンサルティング会社としてスタートさせた。現在のシステム開発会社に業態転換したのは、2009年2月のこと。前職企業の構造改革を機会に、志高い40名ほどのエンジニアが業務案件をセットで独立することによる。代表取締役社長も当該業務案件の責任者に交代し、現在の事業をスタートした。

脂が乗った活躍中のエンジニア集団として同一の業務を引き継いだため、事業はスムーズにスタートする。そして、今日の主力である通信ソリューション事業として成長を続けた。
一方、通信ソリューション事業だけではなくシステム開発会社として事業基盤を拡げる目標を掲げ、2013年からシステムソリューション事業に進出する。
「通信に強いという特色を維持しつつ、新たな領域にもアプローチして徐々にもう一つの経営の柱として育ててきました」（藤原氏）。

システムソリューション事業は、10年弱で40%近い売上比率を占めるまでになる。そして、2017年頃から、システムソリューション事業の開発業務から受託開発案件を切り出し、3本目の柱とすべく社内開発事業をスタートさせたところだ。

同社の経営理念は、次のとおり。
「社員の幸せと確かな技術を育み、ICTトータルソリューションでお客さまの新たな価値と未来を創造する企業を目指します。私たちは、“人”“社会”“技術”をつなぐ製品やサービスを提供し、やさしい情報社会を実現することに貢献します。」

2018年5月、4代目となる現在の中川豊氏が代表取締役社長に就任し、次の“2025年度までのビジョン”を掲げた。

1．売上20億円以上、黒字経営の継続、社員数150名以上を目指す
2．お客様を大切にしている
　1）常に先端技術をキャッチアップしている
　2）技術力と人間力を活かし、お客様のビジネスを支えている
　3）ICTトータルソリューションをお客様に提供している
3．社員を大切にしている
　1）ワークライフバランスを常に見直している
　2）時代に即した働きがいのある職場環境が整備されている

「急成長を目指しているわけではなく、社員が安心して仕事ができる環境をつくり、守っていくことを第一に目指しています。特にSESは人財の採用と業績の伸びがリンクするので、無理な採用をしがちです。当社は無理な採用等は行わず、着実・堅実に一歩一歩進む経営を心掛けています」

一方で、企業である限り、成長していくことも重要であり、そのために必要となるリーダーおよびリーダー候補を求めている。「まだまだ発展途上の会社。リーダーを増やし、組織を固めて成長の土台を築いていきたい」と藤原氏は期待を寄せる。

そんな同社のカルチャーについて、藤原氏は次のように説明する。
「社員と経営層や管理職との距離が非常に近く、社員は気軽に話せる雰囲気があります。よく現場が分かれる客先常駐では、会社の人と1年間話す機会がないといったことを聞きますが、当社ではそういったことは全くありません。できるだけ頻繁にコミュニケーションを取る機会をつくっています」

特に帰社日を設けるまでもなく、社員はいつでも会社に立ち寄ったり、管理職が開発現場に足を運ぶ。コロナで難しくなれば、Web会議システムやチャットツールを活用してコミュニケーションを取っている。

また、年に2回、会場を借りて全社員が集まる社員総会を開催し、経営状況の共有や懇親を図る機会としている（2020年度はコロナで中止）。

“技術力と人間力”を高める人財育成としては、目標管理制度を導入し、社員の志向やキャリアビジョンに基づいて成長を導く目標を設定し、一定期間後に評価。テクニカル面では、資格取得を受験料の全額補助や取得時の報奨金支給で支援している。また、テーマを決めての独自プロダクト開発も、技術力を磨く絶好の機会にしている。ヒューマン面では、社外研修費を会社が負担して受講を促進。それ以外にも、オンデマンドで受講できるe-ラーニングやセミナーを会社が契約しており、自由に受講可能だ。
「新入社員研修も社外に頼ってきましたが、徐々に内部で手づくりの研修も企画し、内容充実を進めています」（藤原氏）。

ワークライフバランスにおいては、年間休日124日を確保(年次有休休暇以外に設立記念日や特別休日もあり)。就労時間の顕著な増加が見られる場合は顧客に増員交渉を行う等、平準化に努め、月平均20時間程度に抑えている。
また、同社は女性エンジニアが25%を占めており、育児等への柔軟な対応等、長く働ける職場環境の整備も進めている。

同社が求める人財像について、藤原氏は次のように話す。
「まずは、リーダー候補のコア社員として必要なコミュニケーション力を備え、会社に対する自分なりのビジョンや意見を言えるような方だと望ましいです。一方、現場にこだわり色々な開発業務を手掛けたいというエンジニアも重要な存在。色々な現場があるので、柔軟に対応できる方だといいと思います」

安定した環境で安心して仕事をしたいという人には、マッチした会社といえるだろう。