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株式会社エラン

  • サービス系

CSセット(入院セット)を軸に医療・介護の現場に貢献。業界シェアトップのパイオニア

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企業について

国際的に先例のない速度で進行する高齢化に伴い、日本の医療・介護分野は多くの課題を抱えている。家族が遠方に暮らしている、または身寄りがない高齢者の入院中の生活のケアもその一例だ。入院患者のパジャマや下着、タオル等の洗濯、歯ブラシや歯磨き粉・ティッシュ等、日用消耗品の補充は、本来、看護業務には含まれないものの、家族や近親者のケアが受けられない患者は実在しており、そういった患者に対しては、看護師が対応せざるを得ない状況である。高齢者が増え、入院日数が長期化する中、このような業務が増えることで、多くの病院では、看護師が本来の看護業務に集中できないといった問題が生じている。病院のみならず、介護施設も同様の問題を抱えている。

こういった医療・介護の現場における悩みを解消するため、“CSセット(入院セット)”というサービスモデルを考案したのが、長野県松本市に本社を置く株式会社エランである。2003年に『CSセット』サービスを開始し、ゼロから市場を開拓。2021年6月末時点では、導入施設数は1,945施設に達している。

『CSセット』は、病院の患者や介護施設の入居者が、入院・入居中の生活で必要となる衣類・タオル・紙おむつ等の日常生活用品を日額定額制でレンタルできるサービスである。患者や入所者は「手ぶらで入院・入所」「手ぶらで退院・退所」ができるため、不安やストレスの解消に繋がり、家族も「手ぶらで面会」することができるため、看護や介護に係る手間や労力が軽減されるというサービスとなっている。

同サービスは、エラン社と患者・入居者が直接契約を結び提供されるものである。患者・入居者がエラン社に直接申し込み、料金を支払う。ただし、サービスの提供に関わるのはエラン社だけではない。エラン社は、病院や介護施設および、各病院・施設に出入りするリネンサプライ業者と業務提携を結び、サービスを提供する。

エラン社が病院や介護施設にヒアリングを行い、個々の条件やニーズに合わせた『CSセット』を組み、リネンサプライ業者を通して納品。納品された物品は病院・施設が管理し、患者・入居者へ供給される。使用済みの衣類やタオル等は、リネンサプライ業者が回収して洗濯して病院・施設に納品するというサイクルとなっている。

病院・施設では同サービス導入により、衣類やタオルの洗濯や乾燥、セッティングといった作業負担を軽減することに繋がり、看護や介護といった病院や施設の本来業務に集中することができる上に、無償提供していた物品類のコストを削減し、業務提携による手数料という収入源も増えることで、経営の安定化にも繋がるのである。

メリットがあるのは病院・施設だけではない。リネンサプライ業者にとっても、従来のシーツやカーテンといったリネン類以外に、取り扱う商材が増えることで売上拡大へと繋がる。

以上、サービス受益者や業務提携先とWin-Win-Winの関係を築くことで、サービススタート以来、一貫して右肩上がりの成長を遂げている同社。2014年11月にはマザーズ上場を果たし、翌年の2015年11月には東証一部へ上場市場を変更している。2022年4月の市場改編時には東証プライムに移行し、今のところ業界唯一の東証プライム上場企業だ。2020年は特にコロナ禍の影響で、病院や施設への出入りが制限され、さらにニーズが高まり、利用者数、導入施設数共に飛躍的に増加している。また、後発の競合サービスも多数登場してはいるものの、現在まで業界シェア率トップを維持。しかも業界2位との差は約2倍と圧倒している。

同社の強みは、未開拓市場でゼロから構築したサービス運用力にある。CSセット(入院セット)というサービスは、一見、参入障壁が低そうに見えるが、実際にやってみると、顧客からの問い合わせから請求に至るまで細かい業務が多く、運用に行き詰まる企業が少なくない。特にユーザーからの料金回収が難しく、未収率が高くなってしまう。それに対して、エラン社のサービス運用力は群を抜いて高く、コールセンター業務から請求、債権回収まで、競合他社に向けたサービスの運用代行サービスを提供するほどである。

同社の設立は1995年。寝具の訪問販売からスタートし、寝具リフォーム事業へと業容を拡大。その過程で病院との接点が生まれたことが現在の事業に繋がっている。病院のニーズをヒアリングする中で気付いたのが、入院患者の衣類やタオル、日用消耗品の供給や補充に課題を抱える病院が多いことだった。既に存在していた市場ではないため、病院からの認知を得るための苦労はあったが、潜在的ニーズはあったため理解されれば話は早い。病院やそこに出入りするリネンサプライ業者と業務提携を結び、それぞれに利益が上乗せされるビジネスモデルも功を奏した。

また、単一のパッケージを提供するのではなく、病院ごとの特性に合わせてセットをカスタマイズすることで、患者にとっても利用がしやすいサービスを実現していることも重要な要素だ。例えば生活保護世帯の患者が多い病院では、その地域の自治体が定める保護費の範囲内で支払いができる金額のセットを提案する。

経営企画課 人事担当・柴野知恵子氏が、サービス理念を説明する。

「誰かにしわ寄せがいくようなビジネスモデルは長続きがしません。価格を安くすれば、リネンサプライ業者の利益が薄くなるので、適正価格を守ることが重要です。弊社自体、利益を取り過ぎないよう、価格の算定基準を定めています」(柴野氏)。

サービス開始から約20年。現在は衣類やタオル、生活消耗品といった基本セットに加え、未払いの入院・入所費用の債務保証を付帯した『CSセットR』、入院・入所中のトラブルやけがを保証する『CSセットLC入院保証』等へとサービスの幅を広げ、さらに新規事業にも注力中だ。

「『CSセット』は“入院をされている方の困った”を解決するサービス。しかし逆に言えば、入院中の困ったしか解決ができません。新規事業では、入院前や退院後の看護や介護までサポートできるビジネスを作っていきます。既に『キクミミ』という退院後の生活に関して、誰に相談して良いか分からない悩みを無料でご相談いただけるサービスを提供中です」(柴野氏)。

経営企画課マネージャー・濵野瑞恵氏が続ける。

「エランで対応しきれない領域は、弁護士等の士業の方に橋渡しをさせていただきます。情報社会が進んでネットを検索すれば様々な情報が出てきますが、何を信じて良いか分からないことも沢山あります。その時に『CSセット』を思い出してご相談くださる方が大勢いらっしゃいます。そういった信頼を強みに、退院後も繋がり続けることで、患者様、入所者様のライフステージに応じた様々な“困った”を解決するサポートをしていきたいと考えています」(濱野氏)。

『CSセット』を軸にビジネスを拡大する中、同社は人材の確保にも注力している。2021年度は50名弱の新卒採用を行った。その一方では、サービスを裏側で支える業務システムの開発や運用保守を担う社内SEの増員も重要課題の一つとなっている。

社内SEが勤務するのは名古屋支店の情報システム課だ。名古屋支店の情報システム課は、社内の業務システムに加え、業務提携先である病院・施設やリネンサプライ業者が『CSセット』の関連業務で使用するシステム、または患者・入所者向けシステムの開発・運用・保守・機能追加、さらにWebサイトの制作を担っている。加えて同時進行で新規事業関連の開発も進めている。現在、これらの業務に携わるのは6名のエンジニア。今後、さらに増員を図り、よりスピード感を持って各プロジェクトを進めていきたい考えである。

同社がシステムの完全内製化に着手したのはごく最近のことである。サービス規模が緩やかに拡大する中で、必要に応じて外部に委託して作っていたものを、2018年、名古屋情報システム課マネージャー・小林大佑氏の入社をきっかけに、Webベースのシステムに統合して現在に至っている。名古屋情報システム課自体も、小林氏が入社した後に組織された部署だ。

「弊社は事業会社です。技術の向上だけではなく、ビジネスの成長にも関心を持つエンジニアを求めています」(小林氏)。

小林氏自身、大学で学んだ情報工学の知識を活かすべく、新卒で就職したのが大手小売チェーンだった。自分の仕事の成果が目に見えることに魅力を感じ、事業会社を選んだ。エラン社の仕事には、前職時代とはまた違った魅力があると話す。

「前職はBtoCの会社でした。お客様との接点は前職時代の方がありますが、エランは患者・入居者、病院・施設、リネンサプライ業者、さらに社内と様々な方面から感謝される仕事です。そういう意味では、より大きなやりがいを感じます」(小林氏)。

名古屋情報システム課は、立ち上がったばかりで、なおかつ少人数の部署であるため、個人個人が主体的に働けることも魅力の一つだ。会社として掲げる理念や行動指針はあるものの、エンジニアの特性を考慮し、情報システム課としては、多様性を重んじた組織作りをしていく方針である。

「エンジニアリングの組織は似通った性格の人ばかりでは良くないと思っています。ああしろ、こうしろとは言わないので、のびのび仕事をしていただきたいと考えています」(小林氏)。

エラン社自体が大切にしているテーマは“笑顔”。“入院中の「困った」を笑顔に”から始まり、現在は“入院前後の「困った」を笑顔にする”というフェーズに取り組んでいる最中だ。最終的には“世の中のあらゆる人を笑顔にし、笑顔の総量を増やす”ことをビジョンに掲げる。そのためにも同社の社員自身が楽しく仕事をすることが重要であるとして、ボトムアップ型の企業文化を定着させている。

「エランの魅力はWin-Win-Winを実現するビジネスそのもの。どの部署であろうと自分の仕事に誇りを持って取り組むことができます。その中で情報システム課は、重要かつチャレンジングな仕事に取り組める部署の一つです」(濱野氏)。

「関心を持っていただいた方は、是非お話しをしに来てください。そこでご自身の想いと少しでも合致する部分を見つけていただければ嬉しいです」(柴野氏)。

会社全体の平均年齢は30代前半、名古屋情報システム課も30代半ばと若い社員が活躍する会社である。また性別も関係なく頑張った人が評価される。エラン社には、世の中に貢献できる技術者を目指し、集中して取り組める環境が整っている。

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インタビュー

株式会社エランのインタビュー写真
名古屋情報システム課マネージャー・小林 大佑氏 1986年生まれ。岐阜県出身。大学では情報工学を学ぶ。2008年4月、新卒で全国1,600店舗以上を展開する大手小売業へ就職。社内SEとして10年間勤務。店舗のPOSシステム、物流システム、オンラインショップ、勘定系といったシステム全般の開発・保守、およびインフラ全般の構築等を経験。マネージャーを務め退社。2018年、株式会社エラン入社し現職。『CSセット』のシステム全般をリプレイス。現在は新規事業の開発案件にも携わる。

── 前職からの転職理由とエラン社へ入社した経緯をお話し下さい。

転職のきっかけは、在籍していた会社の社内SEとして一通りやりきった実感が持てたことでした。新しいことに挑戦してみたいという想いがあり転職を決めました。元々事業会社の業務システムの開発・運用に、社内の一員として関わるという領域が好きでしたので、業界を変えて転職先を探し始めました。エランに入社したのは、前職の上司から誘われたことがきっかけです。

それまで『CSセット』の提携先に提供していたシステムは、外部の開発会社に委託して開発していました。その外注コントロールと社内システムの保守を担当していたのが、元上司です。しかし事業が拡大して、開発スピードが追い... 続きを読む

企業情報

会社名

株式会社エラン

業界

サービス系 > 医療・福祉・介護サービス

サービス系 > 医療・福祉・介護サービス

サービス系 > 医療・福祉・介護サービス

企業の特徴
上場、シェアトップクラス
資本金

5億7349万6250円

設立年月

1995年02月

代表者氏名

代表取締役社長 峯崎 友宏

事業内容

介護医療関連事業
「CSセット」サービス
・「CSセットR」サービス
・「CSセットLC入院保証」サービス
・「キクミミ」サービス

株式公開(証券取引所)

東証プライム

従業員数

502人

平均年齢

33.4歳

本社住所

長野県松本市出川町15-12

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