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エイ・エス株式会社

  • IT/Web・通信・インターネット系

システム・NWインフラの常駐開発と、HP・ECサイトの直請け&内製の2軸を強みに

残業少なめ

企業について

各種システムの設計・開発・保守、インフラNWの設計・構築・保守を手掛けるエイ・エス株式会社。同社の取引先は、金融(生保・損保・銀行・証券・ノンバンク)、通信、流通、公共、運輸、SIer(メーカー系・ユーザー系・独立系)、建設、重機等と幅広い。当然、開発を手掛けるシステムも、契約管理システム(金融)、在庫管理システム(公共)、個人情報収集運用システム(通信)、海外貿易システム(流通)、国内旅客収入管理システム(運輸)…というように多岐にわたっている。2021年4月には、ヘルプデスクやキッティング等の案件をメインに手掛けるグループ会社、エイ・エスサポート株式会社を設立している。

エイ・エス株式会社は2024年に設立50周年を迎える、長い歴史を持つ会社だ。実は設立当初、同社は神戸で貿易業を営んでいた。社名の“エイ・エス”はAsia Saudaraの頭文字を取ったもの。Saudara(サウダラ)はインドネシア語で「兄弟」を意味する。IT会社に勤めていた初代社長が貿易業に転身、アジアとの交流を広げるために設立した会社だったのである。その後1980年に東京に進出してからは、元々実績も人脈もあるIT事業で再スタートし、現在に至っている。

現在代表取締役を務める吉村高志氏は、同社の経営者としては5代目に当たる。吉村氏は中途入社。前職でITエンジニアとしてあるプロジェクトに参画中、エイ・エス株式会社の当時の社長と知り合い、その後同社に転職した。中途入社した社員が代表取締役に就任したのは、吉村氏が初めてだそうだ。

「課長時代から、会社を良くするために様々な提案をしてきました。でも、なかなか受け入れてもらえず『もう辞めてしまおうか』と悩んでいた時、当時の社長から『じゃあ自分で経営をやってみたらどうだ』と声を掛けられたのです」(吉村氏)。

思い切った判断である。もっとも、吉村氏によれば、歴代の代表取締役は「常にスパッと身を引いてきた」とのこと。

「潔いですよね。親類縁者を経営層に入れて会社を私物化する、という発想は一切なし。株も丸ごと次の社長に譲渡するという伝統があります。それは『会社は社員のためにある』と考えているからですし、私も全く同意見です」(吉村氏)。

しかし、折からのコロナ禍によって顧客の要望が変質し、特にローキャリアのエンジニアをアサインしにくい状況が続いている。そこで吉村氏は次の一手を考えた。次項で紹介しよう。

次の一手として吉村氏が打ち出したのが、「SS事業部」が行う新事業である。具体的には、個人・企業を問わず様々な業態・規模の顧客から、HPの作成やECサイトの構築等の案件を「直請け」し、「完全内製化」でニーズに応えるというものだ。「直請け」「完全内製化」は、今まで同社が実績を積み重ねてきた領域とは真逆のスタイル。しかし、だからこそ取り組む価値があると吉村氏は考えている。

2020年から始まったコロナ禍により、各社が採用を手控える中、同社は人材採用を継続していた。リモート面接で日本全国の応募者とのコンタクトが可能になり、同社への転職者は増加。アパレル、不動産、教育、飲食等、様々な業界から集まった。いずれも開発や構築の実務経験はないが、ポテンシャルはとても高い人達ばかりだそうだ。

そんな彼らの可能性をつぶすわけにはいかない。一方で、これまでのような常駐案件には、顧客の都合でアサインが難しい。そこで3ヶ月間の外部研修に送り出し、頭を「プログラミングモード」に切り替えてもらった上で、SS事業部に配属。飲食・販売事業や工業製品メーカーのコーポレートサイト、個人めがね販売店や個人ベーカリーのHP、決済機能を持たせたECサイト等の作成、NAS(Network Attached Storage)の設置で、新しい技術を吸収しながら実務経験を積んでもらっている。

SS事業部を推進するために、吉村氏は学生時代からの友人で、IT業界約20年の経験を持つ高畑宣昌氏(ITソリューション事業部3課 サブマネージャー)を招へい。ローキャリアのエンジニアの育成に当たってもらっている。

ポイントは、顧客が必要とするスキルを持ったエンジニアを送り込むシステム・インフラNW設計と、新しい時代に必要とされるスキルを柔軟に吸収しアウトプットするSS事業が、同社の二枚看板になること。そのために、SS事業で若手を育てるという新しい取り組みが、既存の事業に携わる社員の背中を押すことだと、高畑氏は語る。

「当社の根幹の事業を支えてきたエンジニアは、物理的に外で仕事をしていたため、社内の変化に携わるチャンスが少なかったはずです。でもSS事業部を推進することで、『自分達も新しいことを提案したり、実行したりしていいんだ!』と思ってもらえたら、社員全員で化学反応が起こせます。SS事業単体ではなく全社を挙げての化学反応こそが、生き残るためには不可欠です」(高畑氏)。

前々項で紹介したように、エイ・エス株式会社は「会社は社員のためにある」という姿勢を貫いてきた。歴代の代表取締役は10年前後で“スパッと”退き、コロナ禍で採用した人材が活躍する場としてSS事業部を立ち上げ、既存事業を支える社員とのシナジーを図っている。また冒頭で触れたグループ会社、エイ・エスサポート株式会社を設立したのも、「顧客の要望するスキル以外の能力を持っている社員に活躍の場を提供し、雇用を守りたい」との思いからだ。

実は代表取締役の吉村氏は、前職を体調不良で退職している。療養中の吉村氏にコンタクトを取り続け、「復帰したらウチに来ないか」と誘ったのが当時の社長だった。その声掛けがあって現在に至っている吉村氏には、同社の社員に「定年まで、心身共に健康に働き続けてほしい」と考えている。

そこで、同社の規模では必須でないにも関わらず、産業医と契約。また、復職支援や職場復帰支援等、リワークプログラムのノウハウを持つ団体から情報を収集し、マネジメントに活かしている。

仕事面でも、評価基準が不透明な年功序列を止めて業績重視の改革を行った。PG・SE・リーダー等の等級を設定、各等級の獲得に必要なスキルも明確に定めた等級制度によって、一人ひとりが明確な目標に向かってスキルアップできる環境を整備。等級制度とのセットで、評価制度も明確にした。「規律や勤務態度:成果=6:4」という評価比率を公表し、半期ごとに評価結果をフィードバック。何を評価されたか、何が足りないかを社員自身が理解し、次の目標に向かいやすくしている。

このような取り組みは、吉村氏に近い場所で働く社員にも好影響を与えている。
「社長は常にアイデアを持っていて、立ち話レベルで『こういう制度はどうかな』と発信してくれます。そして実行する時は『失敗したらどうしよう?』とためらったりしません。ですから、私達社員もどんどん提案できるし、失敗を恐れずチャレンジできます」(総務部サブマネージャー 石坂鮎美氏)。

「有期雇用は、『いざとなったら…』という予断を許すという意味で、経営者を甘やかす制度だと考えています。それよりも、無期雇用の正社員として採用した人達を、定年まで元気に頑張ってもらえるように色々工夫する方が、経営者の手腕を問われますよね」(吉村氏)。

そして吉村氏は最後に、野心がある人には是非応募してほしいし、場合によってはその人に経営者のポジションを譲る可能性もある、と語った。

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企業情報

会社名

エイ・エス株式会社

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > システムインテグレータ・ソフトハウス

IT/Web・通信・インターネット系 > ITコンサルティング

企業の特徴
残業少なめ
資本金

1000万円

設立年月

1975年06月

代表者氏名

代表取締役 吉村 高志

事業内容

ソフトウェアの設計・開発・保守業務
ネットワークの構築・運用・保守業務
技術者の派遣業務

株式公開(証券取引所)

従業員数

50人

平均年齢

35歳

本社住所

東京都千代田区岩本町1-2-13 渡東ビルディング4F

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