株式会社ネオ

1991年、システム開発エンジニアの派遣事業として名古屋の地で産声を上げた株式会社ネオ。「派遣」「受注」「請負」等の枠にとらわれない事業形態で、多数の業種・業界での開発プロジェクトに参加している。得意とするFA機器の組み込み開発をはじめ、生産管理システム、IoT等のWebシステム開発の分野等、実績は実に豊富だ。こういった「ソフトウェア開発事業」を中心にしつつ、近年では車載用ECUの開発をサポートする「車両開発支援」、そして開発済の製品ソフトウェアの評価を行う「第三者検証評価」といったシステム開発以外の分野にも進出する等、業界内で存在感を高め、「ものづくり王国・愛知」をバックグラウンドで支えている。「創業40年で培った技術や経験を基に、常に新しいチャレンジを行っています」と、取締役社長の三浦裕介氏は語る。その姿勢は、社名の由来でもある「New Engineering Office」そのものだ。

アグレッシブな姿勢を示す一方、同社は「堅実経営・長期安定成長」の企業としても知られている。その実績は、数字を見れば一目瞭然だ。創業当時はわずか数人だった社員数は、一貫して右肩上がりを続け、現在では270人の社員を擁しており、グループ企業の株式会社TMソリューションを合わせ、400人近い社員規模を誇っている。「私はリーマン・ショック後の2012年に入社しました。当時の社員数は100人ほどでしたが、その危機的な社会状況を乗り越えた後は、順調に成長していることを実感しています」と、三浦氏は語る。業績もそれに比例し、2013年には9.2億円だった売上高が、現在では20億円を突破している。コロナ禍をものともせず、10年近く連続増益を達成しているのは、会社としての「自力の強さ」に他ならない。

堅実経営の一端を物語るのが、名だたる取引先だ。同社公式サイトの「主要取引先」欄を見ると、トヨタ自動車をはじめ、日立グループや三菱グループ、日本ユニシス、パナソニック、ジェイアール東海、NEC等そうそうたる企業が名を連ねている。三浦氏によると「取引先は8割が大手企業です。業界内では『FA、IoTならネオ』という評価をいただき、競合優位性には自信を持っています」と、安定性も抜群だ。そして近年では、名古屋本社のみならず、関西・東京支店も事業拡大に存在感を発揮している。「名古屋オフィスは大手自動車メーカーのFA関連が中心。それに対して、大阪は住宅メーカーのCADシステム開発、東京はAIや音声認識に特化したベンチャー企業と、幅広い業種の企業から業務を受託しています」と、三浦氏。3都市に根を下ろし、それぞれの特長を生かしながらビジネスの裾野を広げている。

ちなみに東京支店は「今はまだ小さなオフィスですが、東京は魅力的なビジネスチャンスが多い。今後は、東京でのお仕事に力を入れていきたいですね」と三浦氏は語る。希望すれば東京でもバリバリと働け、安定の中でキャリアアップを目指せる環境は、技術者には非常に魅力的といえるだろう。

システム開発会社は、ともすれば各開発パートだけを依頼される「派遣会社」というイメージが強い。「ただ部分的に業務を受注し、完成したらそれでおしまい。そんな仕事が、派遣会社の典型的なパターンです。しかし、それでは一過性のお付き合いしかできません」と、三浦氏は業界の実情を語る。そんな仕事の連続では、社員のモチベーションは上がらず、経営はいつまでも安定しない。同社がそんなジレンマからの脱却を目指し、提唱したビジネスモデルが「ワンストップITソリューション」だ。

「当社では、事業で長年培ったスキルをいかした『コンサルティング』の分野でもノウハウが豊富です。そんな『システム開発』『検証・運用』『コンサルティング』という会社の総合力を生かし、一貫体制（ワンストップ）で開発をお手伝いできることが、当社の強みです」（三浦氏）。

一つのプロジェクトに多数の業者が入り乱れて参画すると、タイムロスや行き違いといったトラブルのリスクが高まる。しかし窓口を「ネオに一本化」することで、それらの懸念が払拭される。仕事のクオリティーはより高まり、納期の短縮やコスト削減といったメリットにも繋がる。

「ワンストップITソリューション」によって享受できるメリットのその先にあるものは、「派遣会社からパートナー企業へ、ということです」と、三浦氏は語る。その変化は、言葉以上に大きい。なぜなら、「ワンストップで業務を受託することで、より先を目指したシステムソリューションを取引先に提案でき、次のステップにもシームレスに参画できるようになるからです」（三浦氏）。

それだけではない。「当社の取引先は、大手企業が非常に多い。そんな企業とのパートナーとして認識されるということは、自分達が発案したり提案したりしたことが世の中に発信され、目に見える形で社会の役に立つということを意味します。時には人の命を守り、感謝されることもあるでしょう。ただ与えられた業務をこなすだけの仕事とは、自ずとモチベーションも違ってきます。これこそ、エンジニアという仕事の醍醐味でしょう」と、三浦氏は語る。

その成果は既に業績にも表れている。パートナー関係で培った信頼関係は、構築したシステムの運用保守等のアフターフォロー業務に結び付き、安定して継続できるビジネスモデルにも結び付いている。

コロナ禍を契機に、あらゆるビジネスシーンでIT化の機運が高まり、そのスピードはさらに加速するだろう。「現在、多くの企業がDX化を推進しています。弊社も今までの繋がりを活かし、積極的にお手伝いをしていきたい」と、三浦氏。また自動車業界でいえば、自動車の電動化やエンジンの更なる効率化、モビリティサービスの構築等、業界全体が激変の最中だ。「その流れの中で、どんな業界の、どんな業種に乗るか。そのトレンドをしっかりと補足することで、当社の将来も大きく変わります。積極的、かつ柔軟に捉え、ビジネスチャンスに繋げていきたい」と、三浦氏は今後の展望を語る。

IT業界の現場では、待遇面での不満から転職を繰り返すエンジニアが絶えないのが実情だ。しかし株式会社ネオでは、過去5年間の離職率は７%以下に留まる。それはなぜなのか。

「当社の強さの秘密の一つは、チーム制にあります。取引先に社員が常駐する場合は、5人〜30人単位のチームとなります。１人だけの作業は、どうしても孤独感があり、モチベーションも上がりません。しかし複数人で仕事をすると、チームとしての一体感と団結力が生まれます。その中で多くの意見やアイデアが出るようになり、業務の高評価にも結びついています」と、三浦氏は言う。自分の意見が採用され、やりたいことがやれる。それは、エンジニアにといってかけがえのない喜びだ。また、チーム制にすることで、先輩が後輩に技術を教えることができる等、社内での資産の蓄積にも繋がっているという。

さらに三浦氏は「自分の生活が満足していないのに、相手を満足させる仕事はできません。常に社員、そしてそのご家族を大切にすることが第一だと考えています」と語る。同社では、2005年頃から「名古屋で一番働きやすいシステム開発会社」を目指し、社員の待遇改善に努めてきた。中でも光るのは、福利厚生の充実ぶりだ。各種手当は家族手当や住宅手当、Uターン・Iターン手当他、奨学金の補助制度等、豊富に用意されている。資格取得手当の受給者率は、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験を合わせ、全社員の4割に上る。エンジニアのスキルアップを、会社として支援する姿勢がある。

残業時間の削減にも取り組んでおり、平均残業時間は2016年には22時間だったが、2020年には14時間まで減少した。有休消化率は8割を超え、社員は社交ダンスや登山等、様々な趣味を楽しんでいる。こうした業務外でのリフレッシュや経験が、良い形で仕事にフィードバックされていることは想像に難くない。また、女性の社会参加にも積極的で、エンジニアの女性社員の比率は20代で実に4割を数える。女性社員の産休・育休取得率は100パーセント、そして育休後の復職率も100%を誇る。出産・育児に専念できる環境は、女性にとって心強いといえるだろう。

「当社の平均年齢は33歳。若いスタッフが多いので、社内に活気があります」と、三浦氏はほほ笑む。
ベンチャーで生まれた会社だけあり、社員の間に上下関係の壁がなく、聞きたいことがスムーズに聞ける、風通しの良い社風も魅力だ。「今後の成長のためにも、優秀なITエンジニアを多く迎え入れたいと思っています。転職を考えるなら、是非ご検討ください」と、三浦氏は広く呼び掛けている。