トーア再保険株式会社

1940年に国内損害保険会社各社の出資により設立されたトーア再保険株式会社は、日本で唯一の総合再保険専門会社だ。<br />当時、日本の保険会社の再保険を主に引受けていたのはヨーロッパを中心とした海外の再保険会社であったが、国際情勢の変化を受け、再保険を国内で消化することが求められた結果、同社が設立された。以来、日本を基盤とする再保険専門会社である点を活かし、国内のマーケットで確固たる地位を築いている。<br /><br />同社の正味収入保険料（売上）は、損害保険が半数以上を占め、その中でも火災保険の比率が高いことが特徴である。再保険と聞いて直ぐにイメージするのは1件あたりの引受金額が大きいものであるが、それ以外にも1件あたりの金額はそれほど大きくないが、多数の保険契約において支払いが生じることで保険会社の経営に影響を及ぼすことを回避するための再保険もある。例えば、全国的に被害をもたらす規模の台風による家屋や自動車などの損害は、時には数千億円に上ることもある。<br /><br />再保険は国境のないビジネスとして自由に世界中で取引をすることが可能なため、同社はグローバルにビジネスを展開している。現在、同社が世界の中でも特に重点をおいているのは東アジア地域であり、シンガポール、クアラルンプール、ホンコンに支店を持ち、現地における再保険事業拡大に力を注いでいる。また、東欧を始めとしたこれまでは取引があまりなかった地域の新規顧客開拓にも意欲的に取り組み、より広いマーケットで実績を積んでいる。

年々着実に業績を伸ばし続ける同社だが、社内は落ち着いた雰囲気が漂っている。再保険というビジネスの性質上、単に収入保険料を伸ばすのではなく、収益とリスクのバランスを見極める「アンダーライティング能力」が重視される。そのため、収益を犠牲にしてまで収入保険料を伸ばすことはしない。また、再保険の営業は、常にチームを組んで行われるものであり、チームワークが最も重要な要素となる。「当社の雰囲気は、家庭的だとよく言われています。これだけの人数ですから、しばらくいればほとんどの社員の顔と名前が一致します。社員同士も仲が良いですね。」と中山氏は言う。<br /><br />社員の年齢層では、20代、30代が多く、平均年齢は38.2歳（2007年3月現在）だ。社員が自主的に勉強会を開催するなどプロフェッショナルとしての意識も高く、社員間での交流も盛んだ。また、同社社員の定着率は高く、「再保険は奥が深く、常に学ぶ姿勢が求められることから、長く腰を据えて働いてもらいたい。」と中山氏は言う。<br /><br />2007年現在では全社員に占める中途採用者の割合が1/4近くに上るなど、積極的に中途採用を行っている。中途採用の場合は保険業界からの転職者が多く、同社が求めているスキルにマッチし、即戦力となるかが重視されるが、面接では同社に合っているか、会社の雰囲気に馴染めるかなどといった点も大切なポイントとなる。入社前には仕事の特性や会社のカルチャーを応募者に丁寧に伝え、納得してから意思を固め入社してもらうことに努めている。入社後も落ち着いた雰囲気の中「再保険マン」としてキャリアを積める場が整っている。

同社の特筆すべき点は285名（2007年3月現在）の社員で1,000億円以上の正味収入保険料（売上）を得ていることにある。長い歴史の中で培われた独自のノウハウを軸に、社員一人ひとりが専門性の高いプロフェッショナルとして活躍しているのである。<br /><br />中途入社者からは、「規模に対して社員数が少なくいろいろな仕事に携わることができ、仕事の幅が広がった。」という声をよく耳にする。同社でキャリアを積む魅力であろう。<br />中山氏は「少数精鋭で行っており、個々が担う役割は様々ですが、会社の歯車としての働き方ではありません。一人ひとりがプロフェッショナルだという自覚をもって働いています。」と、同社の魅力を表現する。<br /><br />海外には複数の拠点持つ同社だが、国内における拠点は東京（御茶ノ水）のみである。これは再保険ビジネスの特性によるものであり、全国的に拠点を設けることなく事業を行うことができるのである。よって、保険会社では当たり前のようにある転勤がないのも魅力であろう。<br />職場においては堅実にキャリアを積み、私生活においても安定した環境を保つことができる。再保険のプロフェッショナルを志したい人にとっては特に魅力的な環境だといえよう。