株式会社キャブステーション

株式会社キャブステーションは、旅行・運輸業界のシステムやサービスを、数多く提供している。まずは、その一部を紹介したい。

『たびの足』は、貸切バスやレンタルバスの検索・予約サイト。予算や人数、用途に合わせて、見積依頼やチャーターの予約が簡単にできるWebサービスだ。2002年のサービス開始以来、長年にわたり旅行のプロ（旅行会社）と共に歩んで積み上げた信頼と実績を武器に、業界最大級のネットワークを生かして、ユーザーに満足してもらえるチャーターのサービスとプランを提供している。

社員旅行の一括見積りサイト『団体旅行の窓口』は、情報を1回入力するだけで、複数の旅行会社・旅行代理店に一括で見積り依頼ができるサービス『旅館ホテルズ.com』は、日本全国の温泉旅館・ホテルを英語で見積り・予約できるサイト。英語で日本全国のタクシー・ハイヤー・バスを予約できるサイト『Charter Bus & Limousine Japan』も運営している。

旅行サービスの中でもユニークなのが『屋形船の窓口』。豊富な検索項目よりユーザーの希望に沿った最適な条件でプランの屋形船を選んで予約できる。

このように、旅行関連のWebサービスをいくつも提供しているキャブステーション。それもそのはず、同社のメイン事業は、旅行会社向け車両手配のアウトソーシング。旅行業登録をしている、旅行会社なのだ。

「当社は1987年に創業した旅行会社です。ただし、一般のユーザーと直接やり取りをするのではなく、旅行代理店から依頼を受けてタクシー・バスを手配しています。当社では全国約2,000社のタクシー・バス会社と提携し、大規模なネットワークを構築。大型バスやタクシーから高級車、福祉車両まで多様な車種を全国どこでも手配可能です。旅行以外にも、冠婚葬祭やビジネス等あらゆるシーンに応じた車両を、円滑・迅速に手配しています」（オオゾノ氏・トヨシマ氏）。

旅行会社のノウハウを生かして、数々のWebサービスを提供しているキャブステーションでは、JALとANAと提携してタクシーに乗車するたびにマイルが貯まるサービスも提供している。

「観光タクシーのランドオペレーターとして創業し、貸切バスランドオペレーターに事業を拡げ、その後、タクシーやバスの中古車売買サービスを提供していきました。2002年にJALとANAと提携したマイレージタクシー事業をスタートさせ、『たびの足』の提供でWebサービス事業に進出しました。それから、旅行会社のノウハウを生かして、業界内のニーズに合わせたサービスを次々と生み出してきました」（トヨシマ氏）。

旅行会社向けにタクシー・ハイヤー・バス等の車両手配を手掛けながら、業界知識を生かして次々と旅行業界向けのサービスをリリースしてきたキャブステーション。旅行業界だけでなく、タクシーやバスの中古車売買サービス等、隣接する運輸業界へも進出してきた。

キャブステーションは、タクシー業界最大手のネットワークを誇り、日本全国に事業パートナーであるタクシー会社が存在している。そのネットワークを最大限に生かして、中古タクシーの購入･売却ができるサイト『中古タクシードットコム』も運営している。

そして、運輸業界向けの開発でいえば、2013年にリリースした、クラウド型貸切バス運行管理システム『バスキング』。貸切バスを運行するバス会社向けの管理システムで、バスの予約管理から車両配車管理、運送申込書、運行指示書・点呼記録・請求書の作成等を、インターネットで簡単にどこからでも管理できるシステム。配車状況がリアルタイム且つ、一目で把握できる。

「バス会社は許認可制事業で、年に一回、国交省に運行実績を提出する必要があります。適正な運賃で運行しているか、ドライバーが過重労働になっていないか、安全運行の妨げはないかをチェックされます。そのために運行管理を徹底しなければなりません。『バスキング』は、運行台帳の組み換え、行程表の入力、労務管理、スタッフ管理、請求管理、入金管理はもちろん、監督官庁への提出書類が簡単に発行できる等、バス会社の運行管理に必要な機能がオールインワンで備わっています」（トヨシマ氏）。

2020年には、『バスキング』の機能をトラック会社向けにアレンジした『トラックキング』をリリース。旅行業界だけでなく運輸業界へと、確実に事業ドメインを広げている。

「2019年以降のパンデミックで旅行業界が大打撃を受ける中、当社は運輸業界向けのシステムの開発・提供に活路を見出しました。従来のメイン事業である旅行会社向けの車両手配は、少なからぬ影響はありましたが、各種運行管理システムの取引があったおかげで、会社として大きなピンチには事態には陥りませんでした」（トヨシマ氏）。

2019年には、ドライバー向けEラーニングサービス『グッドラーニング！』の提供を開始する等、運輸業界向けのサービスは同社の今後を支えるもう一つの柱へと成長が見込まれている。今後も様々な形で運輸業界向けのサービスの開発・提供していく予定だ。

2013年にリリースした、クラウド型貸切バス運行管理システム『バスキング』が、偶然とはいえコロナ禍でのキャブステーションの経営に大きな影響を与えた。その背景には、同社の企業文化「Something New」がある。

「当社には、新しい物事に積極的にチャレンジする風土が根付いています。とにかくアイデアをカタチにする会社で、新しい取り組みをすることが社員に求められます。メンバー（社員）が前年と同じことをしていたら、会社は成長しないということ。時代の流れを鑑みれば、成長しないのは後退しているのも同じ。いつか会社の存続が危ぶまれる事態になります。だからこそ、昔から積極的に色んなことにチャレンジしてきました」（トヨシマ氏）。

ここまで紹介してきた数々のサービスを見れば、同社が掲げる「Something New」が机上の空論でないのは明らかだろう。もちろん、成功するサービスの影に、失敗した数々のサービスもある。大切なのは失敗を恐れずにチャレンジを続けていることだ。

数々のWebサービスを提供している社員数50名規模の会社なのに、実は社内エンジニアがゼロ。新たにエンジニアリング部門の立ち上げが決まり、今回の採用はそのスタートアップメンバーを集めるのが目的だという。

「当社は旅行会社ですから、Webサービスは委託で開発してきました。しかし、今後の事業ポートフォリオを考えた時、経営の力点をWebサービス開発にシフトさせてきました。2021年春にWebマーケティングのチームを社内に発足させ、Web広告の運用を内製化しました。続いてサービス開発のエンジニアチームを作って、開発も内製化していきます。外注で開発すると開発費はコストにしかなりませんが、自社開発に切り替えればノウハウとして社内に蓄積することができます」（トヨシマ氏）。

同社にジョインすれば、旅行・運輸業界のDXに関するサービスを作ることができ、さらには同社の「Something New」の精神に則って、新しい分野へのチャレンジもできる。既に、クラウドソーシングサービス『_ist』や副業のお役立ちサイト『い・ろ・は』、女性の独立・起業を応援するサイト『wo.sta』等、旅行・運輸業界以外でのサービス開発でも実績がある。

「徹底したボトムアップの会社です。これまでにも、社員の提案で数々のサービスを世に送り出してきました。これから入社するエンジニアには、エンジニアならでは視点で新しいサービスやアイデアをどんどん出してもらいたいです。他社で培った経験で新しい技術を当社に持ち込んでくれるエンジニアを大歓迎します！」（トヨシマ氏）。