株式会社&ath

アスリートが、輝きを放つのは一瞬である。栄光をつかんでも、届かなくても、その後のセカンドキャリアについては、何の保証もない。まして、スポーツだけに全てを注ぎ込んできた彼らが、それがなくなった時に、自分に何が残るのか、将来にどのような可能性があるのかを知るすべは、ほとんどないのが現状と言える。株式会社& athは、元・アメフト選手の代表・三保将司氏が、自身や周囲の仲間達が直面してきた厳しい現実を打開するため、アスリートや人のバリューアップを目指して設立した。

事業としては、二つの方向性がある。一つは、アマチュア競技者やプロアスリートのセカンドキャリア支援である。一般に、スポーツ経験者は目的遂行力やストレス耐性が高いという漠然とした“イメージ”で、企業から重宝される傾向にある。しかし、あくまでも“イメージ”のため、現場の業務や社風にマッチせずに良い結果に結び付かなかった、というケースも少なくない。アスリート側も、スポーツで培った自分の能力はどのようなもので、それがどう社会に活用できるか、アピールする手立てがほとんどない。

その両すくみな状態に、同社は科学的なアプローチでの支援を目指す。具体的には、アスリートのEQ（心の知能指数）を測定し、ビジネスパーソンのEQと比較して接点創出していくサービスの提供を予定している。EQとは、他者の感情を感じ取る力、自身の感情をコントロールする力を示すもの。トップの実力を持つビジネス・パーソンのEQのデータと親しければ、そのポテンシャルに期待できる。ビジネス・パーソンのEQデータについては、約25年のデータの蓄積があるジャパンラーニング株式会社と連携。保険会社のトップセールス、コールセンターの敏腕マネージャー等、様々な業界で活躍するビジネス・パーソンの定性的なEQデータをもとに、アスリートと企業の適切な接点創出を実施予定。

事業の方向性のもう一つは、SESに取り組むITソリューション事業がある。これは、アスリートのセカンドキャリア支援というチャレンジング事業を、安定的に支える経営基盤となっている。コンサルファームでITコンサルタントとしてトップの成績を収めていた代表の豊富な経験とノウハウをもとに、ハイスペックなIT人材を、大手コンサルファームやそのグループ会社のビッグプロジェクトに提供。着々と業績を伸ばし、急成長を続けている。

IT業界におけるハイスペック人材のニーズは高まる一方で、それに応えるためITソリューション事業では、組織の拡大を急ピッチで進めている。優良顧客とハイスペック人材のリソースがあるため、SES経験者であれば、スケールの大きな仕事で活躍の幅を一気に広げられるチャンスがある。その一方で、未経験者で、新たな可能性を切り開きたいという意欲のある人も求めている。実際、同社には美容師から転職し、前職で培った細やかな気遣いを生かして活躍している社員もいる。もちろん、スキルアップに関しては、会社が全面的にバックアップする。「人が好きで、人と人とを繋ぐことに喜びを覚える人なら、活躍のベースが整っている」と三保氏は語る。

また、同社はベンチャーのため、「何か新しいことをやりたい」という起業家精神が大いに発揮できる環境である。三保氏いわく「トップダウンは1、後の9は任せるスタイル」とのこと。裁量が大きいため、その分キャリアとしてのリターンも大きい。トップセールスだった三保氏との距離も近く、フランクに何でも質問できる社風のため、自分の目標を実現に向けて、いくらでもアドバイスを求め、吸収できる。

さらに、会社の組織としても成長段階のため、積極的にアイデアを出して会社づくりにも関わるチャンスもある。「今はベースづくりの時期。みんなが楽しく頑張る環境をつくるためにも、まずは一緒に稼ごうというスタンス。それに賛同する方を望んでいる」と三保氏は新たな仲間に期待する。

ITソリューション事業は、売上1.2億円だった第2期から、第3期は3倍以上の5億円を目標に掲げ、組織拡大を目指している。案件の引き合いが多いため、人材さえ確保できれば達成できるとのこと。入社すれば、すぐにも活躍できるチャンスが待っていると言えよう。

また、ITの人材ビジネスのスキルは、将来にわたってニーズがあると、三保氏は言う。「要は、“食いっぱぐれのない”スキル。このキャリアを、20代前半で積むことができれば、若くしてマネージャー職を務めるチャンスがあり、結果を出せば取締役へとさらなるキャリアアップの道も開ける。努力次第で自分の価値をいかようにも上げられる」と可能性を語る。同社では、社員のキャリア形成のため、コンサル塾も実施している。「バリューアップ」を目指したい人は、大きな飛躍を目指せる環境と言えよう。

アスリートのセカンドキャリア支援について、EQによる接点創出を行う予定の同社だが、実はそれは施策の一部に過ぎない。元々アスリートが持っている能力を「見える化」するのが、第1のフェーズだとしたら、その能力にスキルという武器をプラスするのが第2フェーズとなる。元・アスリートと親和性が高い企業は、コンサルファームが多い。そのため、自社で培ったITコンサルティングのノウハウをもとに、セカンドキャリアを求めるアスリートを育成し、その後に接点創出するサービスを構想している。

「コンサルティング業界は、人材の流動が激しい。資質があるが未経験の人材をせっかく育て上げても、活躍する頃には転職してしまうということもザラにある。それならば、育成の部分を当社で肩代わりしよう、と考えている」と三保氏。既に、お客様へのプレゼンは進んでおり、実現に向けて着々と準備を整えてる段階とのこと。ビジネスとしての成功に大いに期待が寄せられる。

そして、同社の構想には、壮大な第3フェーズがある。自社でのスタジアム経営である。そこで、アメフトのプロチームの運営、リーグの経営を手掛けるというのが、三保氏の夢である。「アスリートを左から右に流すだけでなく、自社で雇用を生んでこそ、直接的にセカンドキャリアを支援できる。実態を伴ったサービスを、ゆくゆくは提供したい」と思いは熱い。

アスリートで成功する人は、一握りしかいない。しかも、世界と比較すれば、日本のアスリートが華やかに活躍できる競技は一部に限られている。その中で比較的活躍のチャンスが多い野球でも、厳しい現実がある。高校までエースだった野球少年が、プロ野球には届かなかったものの、地元リーグに入った。しかし、そこはチーム運営のため、ファンサービスに注力しなくてはならず、自らの人生を野球に費やすことができなかった。そして、その後のキャリアを描く時、何のサポートもない。いや、チームもサポートしたくても、体力がなくてできないのだ。これが、三保氏が実際に目にしているアスリートの取り巻く現状である。これを変えていこうという、同社の覚悟は大きい。