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アレクシアフィンテック株式会社

  • IT/Web・通信・インターネット系

市場系統合管理システムを開発!ニッチな技術の汎用化に挑むシステム開発会社

自社サービス製品あり
残業少なめ

企業について

金融分野でニッチなプロダクトを開発しているシステム開発会社がある。市場系統合管理システム『ARECCIA(アレクシア)』を開発するアレクシアフィンテック(旧:山﨑情報設計)株式会社だ。

同社の主力製品『ARECCIA』は、銀行、証券会社等の金融機関向けに特化したパッケージ製品。複雑な仕組債の期日管理や、債券フロントシステム等、用途に応じて活用できる汎用性の高いソリューション。金融工学を駆使した金融商品を管理するためのシステムといえる。

「金融取引の将来的なリスクを予想するためのアプリケーションが『ARECCIA』です。先進国の金融機関は、予想最大損失を計算して公表する義務を負っていますが、『ARECCIA』は統計的な手法を使ってそれを算出します。そのほか、収益予測やリスクヘッジのシミュレーションもできます」(代表取締役・山崎裕氏)。

金融工学の分野で先端の研究成果を学び、それをソフトウェアに実装しているアレクシアフィンテック。市場系金融の世界は、商品の組成やリスク管理のために高度な数理が必要となるため、参入している会社は少なく、海外勢を含め競合する会社は数社しかない。M&Aで巨大化した海外勢に対して、同社が持つ強み。それは「一般化」だという。

「金融商品は無数にあります。特に金融工学を駆使した複雑な金融商品である「仕組債」だけでも3万種以上あるといわれています。愚直に作ると同じ数のプログラムが必要なのですが、それには莫大なコストがかかります。そこで通常は、商品種を大幅に絞って対応するところを、当社の『ARECCIA』は、1つのプログラムで様々な仕組債に対応しています。このように複雑・多様な仕組み(商品構造)に一つのプログラムで対応することを『一般化』と呼んでいます」(山崎氏)。

仕組債とは、伝統的な債券にオプションやスワップ等のデリバティブ(金融派生商品)を組み込むことで、通常の債券とは異なる性質を付与した債券。『ARECCIA』は、仕組債を管理するための専用画面を備えているのだ。

「金融機関のシステム開発プロジェクトは、情報技術(IT)と金融技術(FT)を必要とします。当社は、この二つの専門分野に跨る領域を「金融情報技術(FIT)」という新しい専門分野と認識し、その専門性を磨いてきました。移り変わりが激しいFITの世界で、多くのお客様に長くご利用いただくシステムには、設計の一般化が何よりも重要であるとの考えに至っています。業務の本質的要求を『情報を設計する』視点で見極め、一般化モデルを発見し、無駄のないシステムを作ることが当社の理念です」(山崎氏)。

金融情報技術(FIT)という専門性が求められる領域で技術的なチャレンジに取り組んできたアレクシアフィンテック。同社の設立者である山崎氏は、大学を卒業後、金融業界で働くため、まず国際ニュース通信社に入社。翌年には、銀行間市場の取引仲介業務を手掛ける会社に移籍。憧れのディーリングの世界に身を置くことになったが、研修に送り込まれたロンドンで、自分がディーラーに「向いていない」ことを確信。同時に、当時現地で始まっていたITによるディーリングの高度化を見て、「ディーリングを支える」情報システムの開発を決意した。

「銀行間市場取引の仲介業務では100億円の取引が一瞬で成立するディーリングに魅了されましたが、自分には向いていないことも痛感しました。日本に帰国して、ディーリング・サポートシステムの開発をやりたいと、会社に直訴。それが通って、会社の事業の一環でシステム開発を手掛けることになりました。この時に作ったのが『ARECCIA』の原型「Apreccia(アプレシア)]です」(山崎氏)。

社内用に開発した小さなアプリを金融機関向けに販売したところ、売れ行きは好調だった。しかし会社は本業の縮小を決定。システム開発事業もストップとなった。会社から開発したシステムを譲り受けて退職した山崎氏は、アメリカの銀行で開発を続けることになった。しかし、「新たに後ろ盾になってくれた米銀が買収され、再びシステム開発が頓挫。外資ではなく日本の資本で開発を続けようと、国内IT企業の傘下で再起。新製品は日の目を浴びましたが、好調を維持できずこれまたフェードアウト。そこで、一念発起して、2007年に事業を株式会社化しました」と山崎氏。

最初の10年間は、『Apreccia』の開発と販売に専念していたが、経営を安定させるために、SESとSalesforceの導入支援を事業ポートフォリオに追加。2019年には、『Apreccia』の販売代理店であったテクマトリックス株式会社と資本業務提携を結んだ。東証一部(現東証プライム)上場のテクマトリックスのグループに入り、アレクシアフィンテックの新章が始まった。

「2022年12月に創業以来の山﨑情報設計株式会社から『アレクシアフィンテック株式会社』へと社名を変更し、当社の主力製品『Apreccia』も『ARECCIA(アレクシア)』へ製品名を変えます。オフィスも品川シーズンテラスへの移転しました。テクマトリックス・グループは一カ所に結集し、グループシナジーを高めます。『ARECCIA』の様々な機能を汎用化したFintechビジネスサービスの展開も加速するはずです」(山崎氏)。

現在の山崎情報設計の売上は、パッケージ製品の販売とSES・Salesforceの導入支援が半々。利益の6割はパッケージ製品が叩き出している。利益率の高いパッケージ製品に注力するため、部門横断で進めているのが、SaaSの開発。金融機関向けの高度なシステムの機能を取り出して、一般企業で活用できるパッケージ製品に落とし込んで販売していく計画だ。

例えば、営業日指向のカレンダー・サービス『Bankers Calendar』は、『ARECCIA』に搭載されているカレンダー機能を汎用化した製品。営業日ベースで動いている金融業界の慣行を盛り込んだカレンダーアプリを一般企業でも使えるようにアレンジした。

「一般企業も金融業界と同じく営業日ベースで動いているのに、一般的なカレンダーアプリは、営業日に合わせた自動修正に対応していません。定例の繰返し予定を一括生成すると予定日が休日でも登録されてしまうため、ユーザーが手動で予定を修正しています。『Bankers Calendar』を使えば、スケジュール管理がもっと簡単になります」(山崎氏)。

そのほかにも、市場性ローン管理システム『Loan Keeper』や資金繰り管理システム『Cash Manager』といった金融業界で使われているシステムをサービス化。どれも金融のプロが使っていたアプリをベースにしているから高性能。『ARECCIA』の様々な機能を汎用化したクラウドサービスで勝負を懸ける。

「一般企業向けのSaaSを開発し始めたことで、幅広くエンジニアを採用できるようになりました。これまでは専門性を求められる仕事でしたが、これからは汎用化に携わるエンジニアも求められます。もちろん、業務を進める中で金融の知識も身に付けられます」(山崎氏)。

SI業界で金融機関向けのシステム開発をしているエンジニアなら、より深く高度な金融知識を身に付けられるチャンスといえる。サービス業からの未経験入社で『ARECCIA』の開発チームのエンジニアになった人材もいるという。

そんなアレクシアフィンテックは、ダイバーシティ経営を続けている。社員一人ひとりの個性を十分に理解した上で、それぞれの個性に合わせた多様性のある働き方を模索。コロナ禍までは外国人エンジニアを積極雇用。しかし、英語を社内公用語にせず、日本人エンジニアに簡単な日本語で話すように頼んだという。そこには、エンジニアの特性を理解したユニークな試みがあった。

「外国人エンジニアに『あなたは・これ・する・明日まで』と単語単位で伝えればコミュニケーションが取れます。当時、寡黙なプログラマが多く在籍していて、最小限の言葉でコミュニケーションできるようにすれば、仕事がはかどるかと考えました。技術力を持った寡黙なエンジニアに無理して雑談力を求めるのは酷だと思います。エンジニアの個性を大事にして、それぞれが自分の特性を活かして助け合うのが本当のダイバーシティだと思います。(山崎氏)。

また、同社には「勉強をしない権利」というユニークな取り組みもある。資格奨励制度等、社員の学習を奨励する制度がある一方で、それを一律に強制することはしない。勉強をしないからといって仕事がおろそかになるということもなく、むしろ自身のライフステージを考えて権利を行使した社員は清々しく働いているという。これも同社が考えるダイバーシティの一環なのだ。オフィスの集約でテクマトリックス・グループが集結し、このダイバーシティがどのように深化するのか注目したいところだ。

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企業情報

会社名

アレクシアフィンテック株式会社

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > システムインテグレータ・ソフトハウス

IT/Web・通信・インターネット系 > ソフトウェア/パッケージベンダ

IT/Web・通信・インターネット系 > ITコンサルティング

企業の特徴
自社サービス製品あり、残業少なめ
資本金

1億1000万円

設立年月

1999年12月

代表者氏名

代表取締役 山崎 裕

事業内容

パッケージ・ソリューション
カスタマー・ソリューション

株式公開(証券取引所)

主要株主

テクマトリックス株式会社(東証プライム上場)他 

主要取引先

銀行・証券・VC・商社・官公庁

従業員数

45人

平均年齢

41歳

本社住所

東京都港区港南一丁目2番70号 品川シーズンテラス24F 品川駅港南口から徒歩6分

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