有限会社ジェイズシステムズ

システム開発会社の有限会社ジェイズシステムズ。滋賀県を中心に、関西圏を活動エリアとして、客先常駐の形でサービスを提供している。“プロフェッショナリズム”を最重視し、取引先から高い信頼性を勝ち取っているところが特長的だ。

同社が主に手掛けているのは、Web系・オープン系システムや周辺機器の開発。これまでの主な実績は、次のとおりだ。
・医薬品メーカーの物流管理システム
・試験薬品メーカーの在庫管理システム
・食品メーカーの総合物流システム
・食品メーカーのマテハン機器の制御システム
・半導体メーカーの生産ロボット制御システム
・通信販売会社の在庫管理システム
・通信販売会社の運用提案
・各種ハンディーターミナル機器の開発
・ネットワークＢＣＲの開発
・アパレルメーカーの業務管理システム
・鉄道会社向け基幹システムの構築
・印刷工場向け物流管理システム
・製薬工場向け生産管理システム

大手医薬品メーカーの物流管理システムにおいては、製品特性上厳密に管理する必要があり、製造ロットや製造日時など膨大な管理項目を設け、一定の品質基準を外れた製品を処分する仕組みなどを開発。
大手食品メーカーの総合物流システムでは、従来は工場ごとに管理していた在庫情報を、全国の自社工場だけでなく取引先も繋いで集約し、「出荷元」「届け先」「商品」を瞬時に組み合わせる食品業界初の「クロスドッキング機能」の開発を手掛けた。
半導体メーカーの生産ロボット制御システムにおいては、多品種少量生産に対応して変更するロボットの動きを瞬時に制御するシステムを開発。

同社の強みは、大手ベンダーの関西地区におけるファミリー企業として、関西地区を本拠地とする様々な大手企業のシステム開発が手掛けられる事業基盤にある。

「このファミリー企業には、業務品質や納期管理など厳しい基準が設けられています。その結束は強固で、SIer含め全体でターゲット業界や企業に食い込む戦略立案や提案活動に取り組み、高い成果を挙げています」と代表取締役の山田宗徳氏は胸を張る。

同社の創業は2003年6月（インタビュータブ参照）。土木業界で働いていた山田氏は、漠然と将来を案じて他分野への転進を思い立つ。ハローワークで「これからはコンピュータ関連がいい」と思い、未経験でも採用していたシステム開発会社に飛び込んだ。「パソコンについて1ミリも知らなかったところから、揉まれて揉まれて覚えていった」と述懐する。しかし、そこは“ブラック企業”。徹夜続きの上、給料の遅配も茶飯事であったという。

「けれども、やっているシステム開発の仕事そのものは楽しかったのです。そこで、力を付けたら独立しようと考えました」（山田氏）

そんな山田氏は、特殊な機械メーカーの生産設備の制御システム開発を手掛けることになる。この仕事で入社を誘われるほど顧客から高く評価された。しかし、いろいろなシステム開発を手掛けたかった山田氏は独立することを考え、有限会社を設立することにした。その当時、勤務先だったシステム開発会社が倒産。山田氏は最も優秀だった2名のエンジニアを採用する。

その後、大手通信販売会社の受注システム開発で知り合った元大手SIerのベテランエンジニアを通じて、同SIer関西地区のファミリー企業に採用してもらい事業基盤を築く。そのベテランエンジニアから「エンジニアは職人。職人を守ってその技術を大切にしなければならない」とったアドバイスを山田氏は頑なに守ってきた。

「他の同業者がプロジェクトに失敗すると、その尻拭いをよく頼まれてきました。当社はいい加減な仕事は一切せずに誠実にきっちりと仕事を完遂することで信頼されてきたと自負しています」（山田氏）

今後も、「困ったことがあればジェイズ」という顧客の評価を高め続けることを、基本的な経営指針としていく構えだ。

2022年10月現在、同社の社員数は20名ほど。その人材育成や風土づくりの指針は次の3項目だ。

【信頼】
「人に信頼されることがお客様の満足につながる」。その信念を常に持ち社内外の人から信頼され頼っていただける人材を育成します。

【コミュニケーション】
「お客様が望まれる要件とは何か」を第一に考え、システムのプラスαを提案します。お客様との良質な関係を築くために日々コミュニケーション力の向上を目指します。

【技術力】
「全てはお客様のために」。常に進化するIT業界では特定の技術だけでお客様が満足できるシステムを構築することは困難です。様々な技術の習得に取り組みハイクォリティーなシステム構築を目指します。

「とりあえずモノをつくって納品し売り上げを回収すればいい、といったスタンスの会社が世の中には少なくありません。当社は“何を、何のために”をつくるのかを第一に考え、金額は二の次に考えます。結果的に、ものづくりへのハートに違いが表れ、高い評価に繋がることを体験的に知っているからです」と山田氏は強調する。同社は、こうした“プロフェッショナリズム”を何より重視し、人材育成に取り組んでいる。

「エンジニアはお客様の現場で働いていますが、私が日々現場を回り、一人ひとりとの信頼関係をベースに腹を割って話し、悩みや不満を吐き出してもらっています」（山田氏）

コロナ禍においては、SNSのビデオ通話機能などを活用しコミュニケーションを徹底している。社員同士の親睦を深める機会としては、ゴルフ大会と、ゴルフができない人のためにボウリング大会を開催して楽しんでいる。

そんな同社では、計画的に毎年数名の若手の経験者を採用し続け、山田氏が業務経験を通じて確立してきたデータベース構築に関わる設計や管理の理論を更新し続ける方針だ。

「実際に採用したエンジニアの異なる意見を聞くことで、私も新たな発見があり、改善に繋げることができています。当社の緻密なデータベース理論はお客様からも高く評価されてきましたが、これを今後もさらに高め続けていきたいと考えています」と山田氏は意気込む。そのために、同社が求める人材像は「真面目で、嘘をつかないことに尽きる」と山田氏。

関西地区で、密接な顧客から直接評価される仕事を通じて成長していきたいエンジニアにとって、同社は検討に値するだろう。