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インタビュー画像代表取締役 中西信吾氏

最初のキャリアはITとは全く関係ない領域とお聞きしました。

ファーストキャリアとして、初めは商社を中心として就職活動を行っていました。大学で英語とインドネシア語を専攻し、インドネシアに4か月ほど短期留学をしていたこともあり、グローバルな人材として高く評価をされ、日本の商社2社から内定をもらいました。しかし内定先の会社から「インドネシアに10年は滞在してほしい」と言われ、内定を断ることに。留学経験を通して、文化や価値観の違う環境で10年間も生活するということを考えられなかったからです。 そこで、好きだった音楽方面へと選択肢を絞り、大学卒業後は音響機器メーカーに入社し楽器のコンサルティングセールスの仕事に就きました。子供向け音楽教室をプロデュースし、提携楽器メーカーから楽器を調達して提供するといった仕事です。大型の商談をまとめて業界では名が知られる存在になりましたが、一生続けたいと思えるような仕事ではなかったので2年ほどで転職活動を始めます。そこではじめて、当時急成長をしていたIT業界にフィールドを移すことを決心します。

IT業界に入ってから起業をするまでの経緯を教えて下さい。

2年制のプログラミングの専門学校に入りましたが、2年分の教材を半年で勉強し終え、中退してフリーランスのプログラマーとして活動をスタート。システム開発会社経由で日立製作所に常駐しての業務に就きましたが、2年もすると自分一人でできる仕事に限界が見えてきました。そこで、仲間と組んでもっと大きくて面白い仕事をしようと、30歳になった85年に大阪でクエストコム株式会社を創業しました。 順調に社員数は増え数十名まで拡大しましたが、1995年に発生した阪神淡路大震災で売上の8割が消失してしまったのです。そこで、翌年に東京支店を設置して東京進出を図りました。 そして、2004年に東京で新たにQuest-Com株式会社を設立します。東京で受注した仕事は東京本社のほうが好都合だったことと、大阪にはクエストコムの本社を残そうという考えで別法人の形にしました。現在は、大阪にはQuest-Comの大阪オフィスを設け、クエストコムは細々と続けているという状態です。

クエストコム創業から40年近く経営を続けてこられて、どういったことが実現できましたか?

理想の状態に向けて、まだまだ道半ばという思いです。自分の代だけで成し遂げることは難しく、次世代にバトンタッチして追い続けることになるでしょう。 理想の状態とは、お客様が心から頼れるエンジニア集団となることです。よく、組織には「2・6・2の原則」があると言いますね。優秀な層が2割、平均的な中位層が6割、組織にぶら下がっているような下位層が2割に自然に分かれるというものです。私は、当社を「5・4・1」か、せめて「4・5・1」にしたいと考えています。そうすれば、もっと多くのお客様から頼りにされる存在になれるでしょう。 しかしながら、人が人に教えて上に伸ばすという考え方はおこがましい。大切なのは、本人が自らの状態を振り返り、成長できるポイントにいかに気づけるかということだと思っています。 そこで当社では、SES事業であっても常駐先に放っておかず、小まめに1on1を行うなど上司がメンバーと向き合う機会づくりや、自主的に参加できる勉強会の運営などに力を入れています。こうした試みを継続し、理想に向けて進んでいきたいと思います。

中西さんの仕事観をお聞かせください。

学生時代は音楽が趣味でしたが、今は仕事が趣味みたいなものですね。会社の運営について「こうすればもっと良くなるんじゃないか」「このことに気づいてほしい」といったことを常に考え続けていますが、考えている時間自体が楽しいですし、会社の経営が好きなんだと思います。 また、仕事のやりがいは人から与えられるものではなく、自分でつくり上げるものだという考えがあります。会社としてできることは、本人の目の前になるべく多くの選択肢を提示してあげることまでで、そのチャンスを掴むかどうかは本人次第です。 先ほどの例で言えば、現在“6”の中位層にいる人が、“2”の上位層に上がるためのチャンスです。上位層に上がれれば、自信が増して自然とリーダーシップも発揮できるようになるでしょう。

社員に対して、どういった存在になってほしいかの思いをお聞かせください。

ITエンジニアとして成長するためには、ロジカルに考えられる能力が必要です。エンジニアはプログラミング言語などの技術をマスターしていくわけですが、そのこと自身は難しいことではありません。技術はあくまで道具に過ぎず、それを使ってどのようにお客様のニーズに応えられるかを考えることがエンジニアの本業なのです。 当社では、未経験者からそのようなエンジニアを育成していく研修体系を用意していますが、自ら学んで習得できるかが問われます。先述のとおり、会社はチャンスを準備するだけだからです。課題を主体的にクリアして、初めて一人前のエンジニアになることができます。 しかし、求めたいレベルはもっと上、お客様から指名される存在です。そんな存在になればエンジニアとして非常に大きな手応えが得られるでしょう。求職者の方には、当社にはそんな存在を目指す向上心の強いメンバーが揃っているとお伝えしたいです。自分の目指す方向を見つけ、成長していける環境があると確信しています。

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