InfiniCloud 株式会社（旧名：テラクラウド 株式会社）

静岡市にあるInfiniCloud株式会社は、「クラウドコンピューティングを加速すること」を理念に掲げ、クライアントに最適なクラウド環境を提供しているITカンパニー。同社が提供するのは、プライベートクラウド。AWSやMicrosoft Azureといったクラウドサービスは、クラウド環境を利用者で共有するパブリッククラウド。一方、同社が提供しているプライベートクラウドは、自社専用のクラウド環境が構築できる。

「パブリッククラウドは、リソース共用型が中心であり、レスポンス不足等のトラブルが発生した際に、自社のみでの原因究明が難しく、復旧作業が困難です。プライベートクラウドなら自社の専有環境ですから、早急に原因究明をして対処することが可能です。OSや仮想化環境の選択肢もあり、構築の自由度も高く、クライアントのシステムに合わせて柔軟にクラウド環境を構築することができます」（営業本部長・山田泰資氏）。

同社のプライベートクラウドは、三つのタイプがある。信頼性が求められるサービスで多く使われているサーバー環境「Solaris SPARC」、仮想化プラットフォーム「VMware vSphere」、超高速NVMeエンタープライズSSDを使った超高速レスポンスで高負荷に強い「High Response Private Cloud 6GS」。三つのクラウド環境を柔軟に使い分け、クライアントのニーズに応える。

「『High Response Private Cloud 6GS』は、ポータルサイトやゲームサービスといった、反応速度を求められるサービスを作るために特化したクラウド。『VMware vSphere』は、業務サービス等に適した、高い可用性と冗長性を提供するハイパフォーマンスクラウド。『Solaris SPARC』は、2000年代から普及しているサン・マイクロシステムズが開発したサーバー環境。現在は、Oracleと富士通が開発していますが、富士通は『Solaris SPARC』からの撤退を決めているため、国内で『Solaris SPARC』を扱うのは、当社だけになります」（山田氏）。

同社の代表取締役CEO瀧康史氏は、2019年にSolaris SPARCを開発するOracleから表彰されたほどの技術者。Oracleに利用者の観点からフィードバックするアドバイザリーボードのメンバーでもある。

「高い技術力が当社の強みです。それを生かして、クライアントに対してインフラコンサルティングから運用・保守まで幅広く提供できます。クライアント拠点と当社のクラウドサービスの間を、インターネットを経由せずにダイレクトに接続する『TCクラウドコネクト』も提供。ネットワークまでワンストップで提供できるのも当社の強みです」（山田氏）。

企業がプライベートクラウドを選択する大きな理由が、セキュリティ。情報漏洩だけでなく、自然災害等でサーバーがダウンした際に、ビジネスがストップするリスクもある。同社のサービスを活用すれば、セキュリティも万全だ。

同社のクラウドは全て国内のデータセンターにある。「関東リージョン」「中部リージョン」「関西リージョン」「九州リージョン」の4カ所あり、複数のリージョンに同じ環境を持っていれば、一つのクラウド環境でトラブルが起きても、すぐに切り替えることができる。そのため、ビジネスを止めることなく、復旧作業に当たれる。

「DR（災害時復旧）や、BCP（事業継続計画）を重視し、インシデント時にしっかりと動く、高速で安定したコネクティビティを提供しています。当社のクラウドネットワークは、関東・中部・関西・九州リージョンを高速・大容量のバックボーンネットワークで接続。リージョンごとに接続点を持ち、ダイレクトに当社ネットワークスイッチに収容されるため、公衆網を通らないセキュアなネットワークの構築が可能です。自社のデータやシステムを、国内のリージョンに置けるメリットもあります」（山田氏）。

サーバー・ネットワークに加え、ストレージにも強い同社。創業から長年培ってきたストレージ制御技術に加え、コンシューマー向けストレージサービス『InfiniCLOUD』の技術をフィードバックすることで、堅牢で高速なストレージ体験を実現している。

「『InfiniCLOUD』は、格安の国産オンラインストレージ。2014年にサービスを開始し、利用者10万人を超えています。サービスの提供開始以来、一度もクライアントのデータをロストしたことがありません。『InfiniCLOUD』でのストレージ開発経験が、クラウドサービスでも生かされています」（山田氏）。

2001年創業の同社は、ゲームソフトウェアの分散配信システムやレンタルサーバー、SaaS型CMSサービス等、様々な事業を手掛けてきた歴史を持つ。プライベートクラウド「Solaris クラウドサービス」の提供を開始したのは、2009年。まだ「クラウド」という言葉もなく、サービス開始当初は「サーバーサービス」と呼んでいた。

「代表の瀧は、大手電機メーカーでゲーム開発を手掛けていた技術者。彼の技術力が当社のエンジンでした。しかし現在は、会社の技術力を広く生かすために、IPOを目指して組織を改編中。営業本部も設立して、本格的にビジネスをスケールさせる計画がスタートしました。『Solaris SPARC』の技術はまだまだニーズがありますし、プライベートクラウドのメリットが今後広く周知することで、パブリッククラウドではなく、プライベートクラウドを選ぶ企業も増えると予想しています。高まるニーズに対応するため、個人事業から会社組織にシフトします」（山田氏）。

事業拡大を推し進めている同社。中でも力を入れているのが、営業力の強化だ。そのために、インフラエンジニアを迎えて、セールス担当を任せる計画を進めている。

「インフラエンジニアの知識を生かして、新たなキャリアを構築してみませんか。セールスの肩書ですが、仕事内容はクライアントへのインフラコンサルです。システムをクラウド化したいが、最適解が分からないという相談に、当社のソリューションで応える仕事です」（山田氏）。

インフラコンサルタントを目指すエンジニア。同社では以下の経歴・スキルを持つエンジニアを広く募っている。

●組織間調整のためのコミュニケーション能力
・プロジェクト全体が10名以上となったプロジェクトマネージャーの経験
・自社とエンド顧客との間にSIerが入る等、3社以上におけるプロジェクトマネージャーの経験
・自社内のみでのプロジェクトマネージャーの経験
・IT導入における提案資料作成経験

●社内外を俯瞰として捉えた上で最適化へ導くことができる俯瞰能力
・調達、構築管理、品質管理、サービス提供等いずれかの各現場経験
・スケジュールコントロール力
・顧客提案用見積書作成の経験

●クラウドと親和性の高い技術に関する知見
・Windows ServerやLinux、Solaris等のOSに関連する設計や構築経験
・WindowsやVMware、Solaris等を用いた何らかの仮想化基盤の設計や構築経験（ハイパーバイザーがきちんとイメージできるか）
・ネットワーク設計や構築経験

●未知の技術に対する好奇心や知識欲

「条件の全てを満たしている必要はありません。この中の二つか三つの経験があれば、あとは入社後にキャッチアップできます。インフラエンジニアとしてPM以上のポジションを臨むなら、コンサルタントの道があります。当社でコンサルタントになれば、スキルアップもできて市場価値を高められます」（山田氏）。

同社は創業20年を超える会社だが、約20名いる社員の3分の2が3年以内に入社した人材。数年前までは10名にも満たない小さな組織だった。しかし、国産プライベートクラウドという将来が期待できるビジネスを少数精鋭で作り上げてきた。

「20年以上の歴史がある企業ですが、ベンチャーをイメージしてほしいです。社長はフランクな人柄で、大手電機メーカーでゲームのシナリオを書いていた人物。その前は、パソコン雑誌のライターもしていた異色の経歴を持つ技術者です。ロジカルに物事を進める人なので、エンジニアとの相性がいいです」（山田氏）。

コアタイムありのフレックス制を導入し、自由な働き方を実践。基本労働時間が7時間で、「ふじのくに健康づくり推進ホワイト事業所」に認定されており、就労環境も整っている。研修や勉強会への参加が出張扱いとなるため、積極的にスキルアップも目指せる。静岡でITインフラの知識を生かして、新しいキャリアを構築したいエンジニアには、またとないチャンスといえる。