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株式会社テンクー

  • IT/Web・通信・インターネット系

ゲノム医療のトップランナーとの共創でソフトウェア『Chrovis』を展開

上場を目指す
自社サービス製品あり
残業少なめ

企業について

ゲノム医療向けトータルソリューションソフトウェア『Chrovis』(クロビス) の開発・販売を手掛ける株式会社テンクー。同社は「最先端の情報技術を適切に用いて、医学研究、オーダーメイド医療、ゲノム創薬、遺伝子治療の継続的な発展を推進していく」というミッションの下、大学の助教・研究員を務めた西村邦裕氏(代表取締役社長 CEO)が2011年4月に設立した技術系スタートアップである。

東京大学医学部附属病院、京都大学大学院医学研究科、国立がん研究センター、慶應義塾大学医学部等、国内最先端の医療・研究を行う機関と連携。ゲノム医療、プレシジョン・メディシン(個人に合った最適な治療方法を分析し選択していくこと)の継続的な発展に寄与する情報技術を提供している。今後、日本全国~アジアへの『Chrovis』の展開を見据え、さらに組織を強化するためエンジニア採用を推進中だ。

『Chrovis』は、個人に特化したゲノム情報の精密なレポーティング可能な、情報解析のためのトータルソリューションソフトウェアである。がんのゲノム医療を進める際、まずは専門の医師らが集まり、がん遺伝子パネル検査の解析結果を検討する委員会(エキスパートパネル)が開かれる。その委員会での討議を踏まえ、診断・治療・予後予測等が判断・決定され、主治医から患者(および家族)への説明を経て治療がスタートするのだ。

しかしそのプロセスは、医師にとって大きな負担となる。様々なデータベースの検索、承認薬・臨床試験・ガイドラインの確認、委員会用の資料および報告書の作成、患者向けの説明資料の作成。この負担を取り除き、医師と患者が判断や治療に専念できる環境を提供するのが『Chrovis』である。

次世代シーケンシングによる、高速かつ自動的なデータ解析による遺伝子バリアント(変異)の検出と品質チェックを行う『Chrovis Analysis』。膨大な文献情報を基にした知識データベースによって臨床的意義のアノテーションを行う『Chrovis Database』。解析結果に基づき、個別化されたレポートを生成する『Chrovis Report』。これらのソリューションを基に、エキスパートパネルで検証が行われ、その後の判断と治療へと繋がっていく。このような情報技術でエキスパートパネルをトータルにサポートするソリューションは、国内にはまだ存在しない。

同社が設立された2011年当時、日本では「ゲノム医療」という名前すら認知されていない状況だった。その中で、ゲノム情報解析およびVRによる可視化を研究していた西村氏は、「いずれ、一人ひとりの患者のゲノムを読み込み、医療に活かす時代が来る」と予見。その時には、必ず情報技術を駆使したソフトウェアが必要になると判断し、2012年末に『Chrovis』を企画。画像処理を専門に持ち、ソフトウェアの豊富な研究開発経験を持つ取締役 CTO 青木貴司氏、理論に基づいたプロダクトデザインを行う取締役 CDO 坂田理美氏ら創業メンバーと共に、まず解析からソリューション提供を始める。2014年にはクラウドでの活用を実現し、学会でも発表するが、クラウドは時期尚早で医療現場には受け入れられずオンプレミスでの展開にとどまっていた。

しかし、2015年にバラク・オバマ大統領(当時)が一般教書演説で「プレシジョン・メディシン・イニシアティブ」を発表。遺伝子、環境、ライフスタイルに関する個人ごとの違いを考慮した予防や治療法の確立を目指すというメッセージは、世界中から注目された。翌2016年に、日本でも厚生労働省の主導で、ゲノム医療に関する研究がスタート。改めて『Chrovis』が脚光を浴びたのである。臨床研究への参加を希望する患者を募り、実際のがん患者のデータを基にしたゲノム医療に関する医療機関の研究に、同社も協力。医療機関と同社による二人三脚の研究が本格化し、その関係は現在も継続され、同社の優位性となっている。

日本におけるゲノム医療の黎明期「以前」からデータ解析の経験を蓄積し、情報技術のソリューションを提供してきた同社は、医師にとって“痒い所に手が届く”存在である。例えば、がん細胞の遺伝子の変化に対して適切な治療薬を判定するには、高度な専門性を必要とする。その際、同社はある遺伝子の機能の変化にはどの治療薬が候補となるかを提案できる知識データベース、またそれをメンテナンスしていくノウハウを持っている。だからこそ、医師からの信頼は厚く、共にゲノム医療に向き合う「パートナー」として認知されている。

東京大学医学部附属病院等、ゲノム医療のトップランナーと『Chrovis』の機能・精度向上を図りながら、共創モデルをサービス化。これらの『Chrovis』の提供は現在は共同研究ベースだが、医療機器プログラム承認を見据えて、社内の薬事体制も整備している。そして今後はそのサービスを日本全国へ、さらには遺伝子情報が近いアジア諸国への展開を視野に入れている。また、希少疾患や製薬等、がんゲノム医療以外の領域にも同社のソリューションを広げていく予定だ。

そんな同社を構成するメンバーに求められる素養を一言で表現すれば、「プロフェッショナルであること」に尽きる。

「例えば、メジャーリーガーは球場で結果を出すことが求められますね。逆に、球場外での時間の使い方については制約を受けません。自己研さんを行う、体調を整える等、選手が自ら判断し、必要なことに時間を充てています。当社でも同じようなスタンスで仕事に取り組んでもらえるように、環境を整えています」(西村氏)。

同社ではフレックスタイム制・裁量労働制を導入し、時間管理を個人で行えるようになっている。仕事はリモートワークがメインのため、働く場所についての規制はない。ミーティングの数も、できる限り絞っているという。また、DXが進んでいる同社では、社内システムのほとんどでGitHubを活用しており、「経費申請もプルリクエストで行っている」と西村氏。それぞれが能力を発揮できる環境の整備を最優先にしている証しだ。エンジニアの仲田顕識氏は「フルリモート化でもチームミーティングは毎朝行います。また、チャットツールで安心してコミュニケーションが取れる」と語る。また、同じくエンジニアの山口日向氏は、社員同士のコミュニケーションを通して、有志による勉強会の開催を検討しているそうだ。

その取り組みが“球場外”での研さんとすれば、“球場内=社内”でのオフィシャルな勉強会も行われている。月1回の定期勉強会では、あるテーマについて一人ずつ持ち回りで資料をまとめ、発表を行っている。エンジニアの松田知樹氏は、入社半年も経たない時期に、全く知見のなかった唾液腺がんについて調べ上げ、発表する機会を得た。「おかげで専門用語を学ぶことができ、その後の仕事に役立っている」と振り返る。

プロフェッショナルであることを重視する同社では、チーム内の仕事・勉強会を問わず、大きなテーマや方向性が決まった後は、各個人で掘り下げていくケースが珍しくない。だからこそ、入社6年目を迎えたエンジニアの梨子田輝氏による「自分で黙々と深掘りできる人が向いている」という言葉には説得力がある。

様々な意味でエンジニアフレンドリーと言える環境で、がんをはじめとするゲノム医療の進歩、プレシジョン・メディシンの推進に向け、同社のエンジニアはそれぞれのミッションに向き合っている。プロフェッショナルとして活躍したいエンジニアにとって、やりがいは大きいだろう。

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インタビュー

株式会社テンクーのインタビュー写真
代表取締役社長 CEO 西村 邦裕氏 左から2番目 取締役 CTO 青木 貴司氏 右から2番目 西村氏:2001年、東京大学工学部機械情報工学科卒業。2006年同大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了。博士(工学)。同大学の研究員・助教を経て、2011年に株式会社テンクーを創業、代表取締役社長に就任。 青木氏:2006年、東京大学工学部機械情報工学科卒業。2008年同大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻修士課程修了。2011年にテンクーを共同創業、取締役に就任。

── 西村様と青木様が貴社を立ち上げた経緯を教えてください。

西村氏:私と青木は同じ大学の研究室で共通の研究プロジェクトに入っていました。私が博士課程3年の時に青木が学部4年、私が助教の時に青木が修士、という関係です。お互いの興味や考え方が似ていて、「会社を作りたい」という思いも共通していました。アカデミックインパクトだけではなくて、ソーシャルインパクトも狙いたいと思っています。当社の設立は2011年4月ですが、さかのぼって2008年頃には二人でいろいろ話をして『テンクー』という社名を考え出し、「xcoo.jp」というドメインも会社設立に先行して取得しています。

青木氏:私は、大学というアカデミックでの研究に... 続きを読む

企業情報

会社名

株式会社テンクー

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > ソフトウェア/パッケージベンダ

IT/Web・通信・インターネット系 > その他IT/Web・通信・インターネット系

企業の特徴
上場を目指す、自社サービス製品あり、残業少なめ
資本金

1億円

設立年月

2011年04月

代表者氏名

代表取締役社長CEO 西村 邦裕

事業内容

ゲノムおよび生体情報解析のトータルソリューション Chrovis の開発と運用
並列分散コンピューティングによる高速データ処理を行うシステムの開発
最先端のアルゴリズムに基づくデータ分析/可視化を行うシステムの開発

株式公開(証券取引所)

従業員数

40人

本社住所

東京都文京区本郷2-40-8本郷三丁目THビル6F

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