順拓商事株式会社

順拓商事株式会社は2015年4月に設立された貿易会社だ。中国、香港、台湾、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ベトナム、シンガポールなど世界中の市場に販路を確保し、物流を展開。日本の優れたモノを海外市場へ輸出するだけでなく、日本市場が求める高付加価値商材を輸入することを得意とする。取り扱う商材は日用品、デザイン雑貨、電子機器から原料資源まで多岐に渡っている。

国内外のメーカーの販売代理店となり、ヨドバシカメラやヤマダ電機といった家電量販店や総合スーパーマーケットに多種多様な商材を卸したり、楽天市場等にECショップを開いたりするなどして「BtoBtoC」「BtoC」ビジネスにも積極的だ。さらにクラウドファンディングを通じたビジネスにも進出している。このようなアグレッシブな姿勢が奏功し、短期間で急激に成長をしているベンチャー企業だ。

海外での認知度が高い順拓商事。特に中国をはじめたとしたアジアで知名度が高いこともあり、検索エンジン等を開発する大手IT企業「百度（バイドゥ）」のブランド「Xiaodu（シャオドゥ）」の販売総代理店となっている。なかでも、聞こえる声を同時通訳する機能が便利なワイヤレスイヤホン「Du Smart Buds Pro」など、最新デジタルデバイスの人気が高い。他ブランド製品でも真空タンブラーやハンズフリースタンドヘアドライヤーなど、高機能商品の売れ行きがECショップを中心に好評となっている。

「これからもインテリア関係や雑貨、電子機器といったジャンルで、地球環境に優しいモノや、技術レベルが高い高付加価値のモノを取り扱っていきたいと考えています。さらにリアル店舗の販路を広げ、オフラインの展開を増やしたいと考えています。オンラインとオフラインの同時進行です」（代表取締役）

最近、増えているのが日本市場でモノを売りたい海外企業と、その逆に海外進出をしたい日本企業へのコンサルティング。成長著しい順拓商事に知恵を借りる形だ。貿易会社として販路を提供したり代理店となったりするだけでなく、商品流通や販売企画の面からアドバイスをすることで異国間の文化をつないでいる。

2015年の設立当初、順拓商事の事業の9割は日本から海外への輸出が占めていた。雑貨や日用品を製造する日本国内メーカーとの取引を増やし、輸出に必要な流通経路を確立。多くの国との取引に成功する。次いで流通経路を逆向きに活用したことが転機となった。

「逆転の発想です。輸出で取引している問屋の商品部に購買部を紹介してもらい、輸入品を全国に展開しました」（代表取締役）

このようにして、日本から海外、海外から日本への両方向の流れを押さえたことで、輸入商品の取り扱いが加速し、日本の総代理店となるケースが増加。またコロナ禍によって海外との交流が難しくなったこともあって、国内メーカーとの連携を強化して“国内で仕入れて国内で売る”ビジネススタイルを推進。この際にも、すでに確立していたパイプを活用している。

「元からあった『海外から国内』の流れに加えて、『国内から国内』への流れを作り出し、楽天市場などでECショップの運営やクラウドファンディングの取り扱いを開始しました。ECは分野別で1位を獲得できるまでに成長し、現在では輸入と国内販売の2つが当社の軸になっています」（営業部社員）

多方面に構築した太いパイプと厚い信頼が最大の強み。輸出、輸入だけでなく国内販売の道を作り、新しい情報がダイレクトに入手できるようになった。この情報と市場ニーズを起点に2年ほど前から独自の商品企画・商品提案を手がけるようになり、自社ブランド製品を東南アジアの新興国で展開しはじめている。

「ベビー用品のブランドです。子ども用玩具や日用品などアイテムは200以上あります。ベトナム、タイを中心に多くの店舗で展開していており、かなり売れています。いずれ、逆輸入という形で日本市場にも導入したいと考えています」（代表取締役）

多くの国から得た市場ニーズの推移を考慮することで、適切な市場を選び必要とされる商材を投入する。また他国で順調なマーケティング手法を別の国で展開する構想もある。一部はテレビCMを放映したり、Vtuberを利用した活動を行なったりすることですでに検証を開始している。これまで培った海外との接点を活用し、自由な発想で活動の場を広げていく。

活発な貿易事業で急伸する順拓商事。現在は大きく輸出と輸入の2部門に分かれて活動している。メンバーは物流倉庫も含めて総勢20名弱。事業規模に対して人数が少ない印象を受けるが、効率的な働き方によって高い生産性を実現している。上下関係がほぼない独特のフラットな組織づくりが特徴で、メンバー全員が社長直轄のようなポジションで自由に議論をすることで、効率よく業務を遂行している。

「かなり自由にやらせてもらっています。ガチガチなルールはありません。自分たちで利益の出し方、認知の取り方や仕事の進め方を考えて、1から代表取締役に提案しています」（営業部社員）

例えば、前述した「Xiaodu」製品のプロモーションの一環としてVtuberを活用した。看板商品だけに不慣れな宣伝方法にリスクへの不安もあったが、メンバーが数値と根拠を出し、短期間で認知を獲得するには最適な手法であると提案して採用となった。結果、生放送中に注文が殺到するなど、大きな反響を得ることができたという。

「我々は挑戦を重ねて、仕事の進め方も改善してどんどん変えています。誰も必ず成功するとは保証できませんから、必要なデータ分析をした上でプラス面マイナス面を考慮し、タイミングを見てチャレンジを繰り返します」（代表取締役）

貿易を通じて知りえた、他国の効率の良いビジネス手法を取り入れることにも積極的だ。次々に業務の効率化を進めているが、現実的には業務の拡大もあり、新たなメンバーが必要な場面である。興味深いのは、貿易会社だが効率化によりポジションによっては外国語が不要になっている点だ。また、教育制度は発展途上だが、実務の中で実践的な学びが得られるよう配慮されている。

会社が求めるのは、新たな情報に興味を持ち、自分で考え、根拠を持って提案ができる人。何か強みを持っていて、力を発揮してみたいと活躍の場を求めている人物には最適の場といえる。

「当社では仕事をすればするほど、新しい情報が入ってきます。すぐ仕事につながるかは分かりませんが、続けていくうちに線状ではなく網状に仕事が広がっていきます。この新鮮な情報を面白いと感じられる人、考えを提案できる人、情報交換したり、困ったことを相談しあったりしてみんなと一緒に頑張っていける人と未来を創っていきたいと考えています」（代表取締役）