株式会社エイムワールド

ATMといった銀行システム開発、物流企業の基幹システム開発、公共事業のDX化等を手掛ける、株式会社エイムワールド。従業員の“働く幸せ”をとことん追求しながら、2023年で10周年を迎えた。

初めはエンジニア6人でスタートしたという同社。代表取締役を務めるのは、やわらかい笑顔が魅力的な花城振平氏だ。花城氏は同社を設立するまでの5年間、IT企業でエンジニアとして腕を磨いた。しかし、着実に上がっていくスキルに比例しなかったのが、評価と年収だった。一方で、残業時間はどんどん増えていったという。

「プロジェクト先では、日頃の仕事ぶりを高く評価していただいていたのです。しかし、自社でその声を評価に繋げるようなシステムはなく……。おまけに、残業代で月収が増えてもボーナスがダウンする、なんてことはよくありました。『ずっとこのまま働き続けなければいけないのか？エンジニアは頑張っても報われないのか？』と、悶々とした日々を過ごしていましたね」（花城氏）。

その現場で、花城氏と同じように悩む5人がいた。そう、のちの創業者となる5人だ。ここには、現執行役員の塩見大志氏もいる。彼らはプロジェクト先で出会い、「頑張るエンジニアが報われない環境はおかしい」と、IT業界への疑問を抱く同士だった。そして、意気投合して話をするうちに「それなら自分たちで、理想の会社を作ればいいじゃないか！」という結論にたどり着いたという。出会うべくして出会った6人。同じ現場で分かち合ったエンジニアの苦悩や共通の考えが、同社設立の大きなエネルギーになったのだ。

「創業したばかりの頃は大変でしたね。当初はまだまだ残業しながら、頂いた案件を1件1件進めていました。その中でいっそう叶えたくなったのは、“エンジニアが生き生きと働ける環境”でした。残業を減らしながら、いかにクオリティの高い仕事ができるか？いかに高い評価をもらえるか？その思いを、今度は経営者として考えるようになりましたね」そう花城氏は振り返る。

もとは創業者6人の努力が報われるような会社を目指しており、メンバーを増やすつもりはなかったという。しかし会社の成長を考えるうちに、規模拡大も視野に入れ始める。どんどん仲間を迎える中で花城氏は、クオリティの高い仕事を叶えるために大切な、あるものを見つけた。

それが、“チームの力”だ。

この“チームの力”は、同社の大きな武器だ。

依頼を受けたプロジェクトには、チーム単位でアサインする。従業員のほか、同社と契約を結んだパートナーでメンバーを決定。一人でクライアント先に常駐することは、まずない。この形で仕事をする理由には、“クライアント目線”と“自社目線”があるようだ。

まず“クライアント目線”について、花城氏はこう説明する。「一人でアサインした場合、クライアントはプロジェクトの説明や指示を逐一しなければならず、負担が大きくなります。個人でのアサインは入れ替えも激しいですしね。それに対してチームでアサインすれば、一度受けた指示をチーム内で共有できる。そして協力しながらスムーズに、確実にプロジェクトを進められる。結果的にクライアントからは、仕事のクオリティを高く評価されています」

同社は、むやみに仕事を開拓するという手段はとらない。1件1件のプロジェクトと丁寧に向き合い、クライアントからの信頼を積み上げているのだ。ここ3～4年では、従業員の増員に伴って少しずつクライアントやプロジェクトも増加。今後も質を担保できる形で、急がず着実に事業拡大していくという。

そしてもう一つ重要なのが“自社目線”だ。「全従業員の幸せが私たちの最高目標」という企業理念を掲げる同社。花城氏はこう語る。「働く幸せは、“経済面”と“精神面”の両方があって成り立つと考えています。その二つを叶えるために、やはりチーム制は大切なのです」

まず経済面。会社の利益が立たなければ、従業員の給与は生み出せない。同社では、パートナーに報酬以外のコストがかからない分、従業員へ多く利益を充てることができるという。また仕事ぶりを周りも見ることができるため、メンバー一人ひとりを正当に評価し、実力にふさわしい収入を実現しているのだ。

そして、精神面の幸福もチーム体制で支えられている。現場に顔見知りがいれば、メンバーは安心して仕事ができる。経験豊富なパートナーや同僚とスキルも共有できるため、経験の浅いメンバーのスキルアップも早い。

チーム制のスピード・クオリティ・コストパフォーマンスの高さは、働きやすさも実現した。残業は月平均20時間と少なく、土日休みはしっかり確保。また産休・育休の実績もあり、フルリモートワークなどの活用で、ライフステージの変化に対応しているという。

「私にとって、エンジニアには孤独なイメージがあります。別々の会社から一つの現場に集まって、気軽にヘルプを出せる相手もいなくて……。ですが仲間とアサインすれば、悩みやトラブルもフォローし合えます。切磋琢磨すれば成長もスピーディ。そしてその頑張りは、仲間がきちんと見ています」（花城氏）。

同社の強いチーム力を支えているのは、もちろん一人ひとりのメンバーのスキルや努力だ。だが、彼らを引っ張るチームリーダーや、その上のマネージャーの存在も大きいという。チームリーダーは、現場メンバーのマネジメントも手掛け、クライアントとの関係構築においても一翼を担っている。社内からも社外からも、信頼度は高い。さらにその上にはスーパーリーダー（マネージャー）がおり、共にプロジェクトを進めていく。案件の外からしっかりとフォローするスーパーリーダーは、チームリーダーにとっての頼もしい存在だ。

花城氏は、こうしたリーダーたちの存在を厚く信頼しているようだ。もちろんその信頼や感謝の気持ちは、収入にしっかり還元している。組織を第一線で盛り上げていく楽しさも、評価してもらえるやりがいも、存分にありそうだ。ちなみに現在取締役を務める佐藤勝治氏は、6人の創業メンバーではなく中途入社メンバー。このことからも、意欲次第でどんどん上を目指せる環境だと言える。

さて、ここまでの説明で「お堅く、体育会系な会社」をイメージしたのではないだろうか。それは、きっぱりと否定したい。

従業員との関係性を聞くと、花城氏は笑みをこぼしながらこう答えた。「折り入って相談……というよりは、何気なく話しかけられることが多いですね。例えば、『社長、今年の忘年会はいつでしょうか？』とかね」

会社から全員に立派なプレゼントが用意される忘年会は、従業員の楽しみの一つ。ここ数年控えていた社員旅行も、復活を望む声が多いそうだ。懸命にプロジェクトを進める一方で、遊びも全力で楽しむ。どちらも、同社のメンバーの姿だ。

ここでもう一度、同社の企業理念を振り返ろう――「全従業員の幸せが私たちの最高目標」。花城氏らが経験してきた“頑張っても報われない仕事”は、メンバーには絶対にさせたくない。その思いは、職場作りにしっかりと活きている。同社には、“働く幸せ”が詰まっているのだ。コツコツと努力を積み重ねて上を目指したい人には、必見のフィールドだ。