株式会社スマイルワークス

企業のバックオフィス業務を効率化するERPシステムには、統合型と業務特化型がある。統合型ERPは、財務会計・販売管理・給与計算等の基幹システムを統合管理できる。財務会計、販売管理、給与計算等、それぞれの業務にフォーカスした業務特化型ERPもある。株式会社スマイルワークスは、統合型クラウドERPシステム『SmileWorks』を開発・提供している。

同社が提供する統合型のクラウドERPシステムは、販売管理、在庫管理、EDI機能、財務会計、配賦機能、給与計算、プロジェクト別収支管理、承認ワークフローと、企業の基幹業務を1つのソリューションでカバーできる。そして、同社の統合型クラウドERPシステムは、中小企業でも導入できる価格設定なのだ。

「統合型ERPシステムは、企業のバックオフィス業務を1つのシステムの中で完結させることができるため、導入メリットは高いのですが、システムの対象となる業務領域が広範となるため、開発コストが高くなり自然とエンドユーザーへの提供価格も高額になります。外資系の有名な統合型ERPシステムだと数千万～数億円の予算が必要。当社のクラウドERPシステムは、巨額な予算を用意できない中小企業を想定ユーザーにしています」(代表取締役社長・坂本恒之氏)。

同社が中小企業向けに統合型クラウドERPシステムを開発できるのは、オンプレミスの統合型ERPシステムを受託で開発し、それを発注元である会計ソフトメーカーから引き継いだ過去があるから。2008年にオンプレミスのシステムをクラウドにマイグレーションして、クラウドERPシステム『SmileWorks』が出来上がった。

「当社は統合型クラウドERPシステムを長年かけて開発してきました。昨今のクラウドERPシステムは、開発コストを抑え早急にマーケットインができる業務特化型が主流です。業務特化型ERPシステムの場合、バックオフィス業務を複数のシステムで連携することになり、統合型に比べ利便性・操作性の点で課題もあります」(坂本氏)。

2008年にオンプレミスのシステムをクラウドへとマイグレーションした経験から、同社ではクラウドシステムのマイグレーションや運用など、システムインテグレーションも手掛けている。

「日本商工会議所のWebサイトリニューアル、サーバー環境のリプレイスを当社が担当しました。Webサイトの企画・設計・デザイン、スマートフォン対応、CMS導入、クラウド導入にまつわるサーバーのリプレイス等、全面的に手掛けました。その他、大手クラウドファンディング会社のマイナンバー管理システムや、生命保険会社の株価算定システムなども当社が開発しました」(坂本氏)。

統合型クラウドERPシステムを中小企業向けに開発する同社は、銀行からのOEMという形でも、統合型クラウドERPシステムを提供している。銀行業界でもクラウドサービス業界でも類を見ないビジネス形態。大手銀行がサービス提供しているクラウドERPは、同社の統合型クラウドERPシステムを活用して開発された。

「銀行は銀行法で業務が限定されています。銀行業務あるいはそれに付随する業務以外はサービス提供できません。しかし、当社は金融庁と掛け合って、統合型クラウドERPシステムを企業と銀行を繋ぐツールとして認めてもらい、銀行付随業務として認可を受け、銀行によるツール販売が可能となりました。金融庁のお墨付きを得たことで銀行が興味を示し、ERPサービスを自行クライアントへ提供し始めました」(坂本氏)。

都市銀行に続いて、地方銀行を通じて同社の統合型クラウドERPシステムを提供するプロジェクトも始動した。地銀ネットワークサービス株式会社とタッグを組み、バックオフィス業務のDX支援を目的とするERPサービス『BANKING ERP』を提供。2023年4月から、複数の地方銀行でサービス提供が始まった。

「銀行の顧客の大半は中小企業。当社の統合型クラウドERPシステムの顧客ターゲットです。銀行を通じて中小企業に統合型クラウドERPシステムを提供し、バックオフィス業務DXの推進をサポートします。経営が苦しいといわれている銀行にとって新たな収益事業にもなり、社会の活性化にも繋がります」(坂本氏)。

銀行へのOEM提供は、同社のマーケティングに好影響を与える。

「銀行が提供するシステムですから、セキュリティ基準が非常に高いです。金融庁が銀行に求めている厳しいセキュリティ要件をクリアしています。銀行と同レベルのセキュリティチェックを受けていることで、一般企業でも安心して導入できるとアピールできます」(坂本氏)。

さらに、同社には外部パートナーに販売・導入の支援を任せる「パートナープログラム」制度がある。

「統合型ERPを使いこなすためには、全国の中小企業をサポートする必要があります。ただ、当社だけでは物理的に難しい。そこで、全国の経営コンサルタントや会計士・税理士事務所等、バックオフィス業務のスペシャリストが、当社に変わって顧客企業に当社の統合型クラウドERPシステムを販売・導入します。会計士・税理士にとっては、顧客企業の記帳をデジタル化でき、自社の作業効率化にも繋がります」(坂本氏)。

統合型クラウドERPシステムの開発・提供で、独自路線を歩んでいる同社。求職者目線で見ても、働き心地の良い企業だといえる。

リモート・フレックスOKの働き方。残業も個人の裁量。仕事を優先したい場合はしっかり働けて残業代も1分単位で支給される。もちろんライフステージに合わせて、時短勤務など家族を優先した働き方もできる。

「リモートワークは、上長の判断としています。コミュニケーションが必要な場合は出社、作業に集中するときはリモートと、社員は生産性が高くなる働き方を選択しています。現状は、出社派とリモート派が半々です。残業もOK。ただ、深夜残業は社長決裁が必要になります。みなし残業なしなので、収入を増やしたい人は一生懸命働ける環境です。若いうちはしっかり働いてキャリアを積む。子供が生まれたら家庭を守るためペースダウンして働く。そして、子供の手が離れたら、再び仕事に打ち込む。ライフステージに合わせて柔軟に働き方をチョイスできます」(坂本氏)。

女性社員が4割。ライフイベントへのサポートもバッチリ。女性が働きやすい社風を作り上げている。事務職からのキャリアチェンジも歓迎。管理部からセールスに社内転職した実績もあるという。

「チャレンジを推奨するカルチャーのある会社です。バックオフィス業務の経験がある事務職の人が新たな活躍の場を見つけられる会社だと思っています。エンジニアやセールスの人材もバックオフィスとITに関する知識を積むことで、市場価値の高い人材となれます。パートナープログラムを使って独立という道も考えられます。実際、当社から独立して外部パートナーとなった社員もいます」(坂本氏)。

セールスと企画、サポートするクラウドサービス部と、エンジニアが中心のシステム開発・運用の部署に6名から8名、その他に2つの部署がある同社。競争力のあるプロダクトを20名程の人数で展開しており、レバレッジが利いたビジネスモデルだといえる。インパクトのある事業を少数精鋭で勧める仕事は、中小企業のDX推進を加速させる社会的な意義もあってやりがいを感じられる。

「オフィス内に堀こたつがあって、そこで月に1回程度、飲み会を開いています。参加は自由。社員間の親睦を深めて、働き心地の良い会社を目指しています。年間休日は125日前後。有休を取りやすい雰囲気もあると思います！」(坂本氏)。