“技術”と“アート”の融合は御社の強みの一つですが、そのきっかけは?
もとから理数系の分野も、音楽などの芸術分野も好きでした。大学時代、ジャズグループでバンドネオンという楽器を演奏していたことがあり、その頃は「この楽器1本で生きていこう」と思うほど熱中していましたね。 そういった音楽好きが高じて、ニューラルネットワークを専門分野にして音楽の自動生成技術を研究していました。AIの力で人の感性に働きかける芸術にもっと可能性を見出せないかとずっと考えていたのです。 私が研究していた頃は、まだAIの価値は認められていませんでした。一時的に期待されては、「やはり役に立たない」と見捨てられるようなことが繰り返されていましたね。最近やっと社会でも実装が増えてきて、ようやくAIの力が社会に浸透しはじめた気がします。
御社設立までに、会社員やフリーランス、知人との起業も経験されていますね。
そうですね。フリーランスの頃は一時期、内装工事関係のアルバイトもしていました。職人の世界で働くのは初めてでしたが、コミュニケーションにおいて学ぶことが多かったことを覚えています。40~50キロもある石膏ボードを担いで階段を上るような危険を伴う仕事でしたので、危ないことをすればリーダーから叱られますが、あとでそのリーダーがフォローを入れてくれることも。 また言語や文化の異なる海外出身の人もいたので、ボディランゲージや笑顔はすごく大切な交流方法でした。そんな風に、チームで仕事を進める上で大切なことはここで教えてもらったと思います。そして、そこで出会った友人とは今も関係が続いていますね。彼も最近起業したので、互いの仕事の話もよくしますし大きな刺激をもらっています。
様々な経験を積んで起業したのですね。岩澤様にとって、ずばり“仕事”とは?
“人生を懸けているもの”ですね。私の場合、仕事とプライベートはシームレスかもしれません。休みの日も、ついつい仕事のことを考えています。例えば、街に出かけて見かけたもので「これは、3Dであんなことができないかな?」なんて考えたり、食事に誘った友人と「一緒にこんなことやってみようよ」と話が盛り上がったり。 当社の事業は業界を選ばず幅広く対象になることもあり、プライベートや遊びの延長で仕事が生まれることはよくあります。つらいと思ったことはほとんどありません。ですが、もちろんメンバーには土日にしっかり休んでもらっているので、ご安心いただければと思います。
メンバーの話が出てきましたが、どんな方がいらっしゃいますか?
「3Dデータを用いて、大きなことを成し遂げたい」と同じ方向を目指せるメンバーが多いかなと思います。例として一人を挙げますね。社内で一番年下のとあるメンバーは、頼もしい存在です。彼を採用する面接のとき、彼は大学での研究内容を情熱的に語りつくしてくれたのです。はじめはその熱弁に驚きましたが、1時間くらいその話題で盛り上がってしまいました。そして「どうして当社で働きたいのですか」と問うたところ、「最先端技術を使って、エンタメなど人を楽しませる領域で、まだビジネス化されていないことを実現したい」と話してくれたのです。 はたから見れば「夢物語だ」という方もいるかもしれませんが、私はそうは思いません。こうした大きな夢を語ってくれる人もどんどん少なくなっている中で、彼と巡り合えたことを幸せに思います。若い分まだまだ伸びしろも多いですが、採用してよかったですね。
最後に、岩澤様の趣味をうかがえますか?……やはり、お仕事でしょうか?
バンドネオンは今でも時間があれば演奏します。また、学生時代からボルダリングなどのスポーツも好きですね。楽器演奏もある意味で運動神経を要するので、できる限り体は動かすようにしています。 ……それから、当社のインタラクティブアート事業で用いる『sphere-t01』も、持ち運ぶのに体力がいるのです。『sphere-t01』の“t”は旅(trip)を意味しており、空気を抜いて各地域に持ち運んでいるのですが、大きくて重くて。やはり仕事の話になってしまいますが、『sphere-t01』のためにも体力はつけていこうかなと考えています。