株式会社アルティエ

株式会社アルティエは、大阪市に拠点を構えるスタートアップ企業だ。Webサイトの制作から運用保守、SEO対策、Web広告の運用や効果測定まで、WEBマーケティングのワンストップソリューションを提供している。

創業は2019年12月。代表取締役・内山裕貴氏の個人事業としてスタートし、2021年5月に法人化。現在（2023年7月）は、内山氏の他にデザイナー、ライター等、4名が同社の事業に参画している。

内山氏は神戸大学経営学部を卒業後、事業会社にWebサイトの更新担当として入社。そこでWeb広告運用のスキルを身に付け、広告担当を任され、2年間で売り上げを4倍に拡大。そのスキルと実績が、起業を決意する要因となった。

ランディングページ（LP）の作成とリスティング広告を中心とするWeb広告の運用を通して、顧客の売り上げに貢献することからスタートし、クライアントの課題に応じて、SEO対策やオウンドメディアの制作、記事作成等へ広げ、現在は包括的なサポートを提供している。総合的な視点で戦略を立てられることが同社の強みだ。サポート範囲には、Web広告だけではなく、テレビCMをはじめとするマス広告も含む。

「私自身、広告だけではなく、デザイン、コーディング、プログラミング等を一通り経験してきましたので、色々な視座から全体を見て戦略を立てられます。また、現在はメディア運用のプロフェッショナルも内部にいます。集客するだけではなく、その効果測定や分析、課題解決までサポートしています」（内山氏）。

例えば、破格の安値を打ち出して集客はしたものの、契約まで繋がりにくい場合は、料金表示を見直す。同時に、クライアントの意向や、顧客から寄せられた要望等を吸い上げ、広告にフィードバックしていく。

個人事業主から法人化へのきっかけとなったのは、現在のメインクライアントとの出会いだった。メインクライアントは、住宅修善やリペアを請け負うスタートアップで、創業から2年間で年商10億円にまで成長している。その事業に、内山氏は創業準備段階から関与し、Webサイトのコンセプト作りをはじめ、集客面は全面的に任されてきた。

「事業を立ち上げたばかりで、クライアントの数も少なかったため、そのプロジェクトにフルコミットできたことが成功の要因です。3年目に入ってからも、問い合わせ件数は前年比を上回り続けています」（内山氏）。

成果報酬型のビジネスモデルを採用しているため、クライアントの成長に比例して、内山氏の売り上げも拡大。その間、業務量や範囲も、個人でできる範疇を超えてきたことから法人化し、ライティング、デザイン等、専門スキルを持った人材を採用し、現在に至っている。

アルティエ社のスローガンは、“顧客を業界No.1に押し上げる”だ。「これで充分」と限界を定めず、継続して成長し続ける支援サービスを通してクライアントと共に発展を目指す。

「当社は小規模だからこそ、定型的なサービスにとどまらずクライアントの課題に応じたソリューションを提供可能です。クライアントの営業の実態まで把握して提案できる会社はそう多くはありません。在籍するスタッフは、それを心から楽しんでいます。それが当社の特徴です」（内山氏）。

その一方で、クライアントの信用を毀損しないよう、広告表現にもこだわる。誇大表現や虚偽の表現は使わず、あくまでも実態をそのまま伝えた上でコンバージョンに繋げることを意識している。

「Web広告の出稿金額がテレビCMを上回った現在、Web広告にも倫理観が求められています。誇大表現、虚偽表現等を使わなくても、クライアントが持つ強みや価値を活かした広告を作れている自負はあります。一旦、Web上で炎上すると取り返しがつきませんので、時には口コミの重要性について、クライアントを教育することも必要です。クライアントの事業継続性はお互いの利益にも繋がります」（内山氏）。

以上のようなポリシーの下で受託案件も選定してきた。条件は、自社が関わることで成長させられる可能性があること、ある程度の裁量が与えられること。さらに、売り上げに積極的にコミットしてほしいと言われれば、成果報酬型サービスの提案もしやすい。

ただ同社は現在、積極的な営業活動は行っていない。1つの要因は人的リソースの問題だ。既存クライアントの成長が著しく、同社の業務量も増えているため、新規案件を増やせる状況にはない。また、新規営業をかける上で有効なアピールポイントを確立している最中であることも要因の1つだ。

「WebマーケティングやWeb広告の会社は、当社以外にもたくさんあります。その中で新規営業をかけるには、誰が見てもわかる強みが必要です。その強みを築くために、自社サービスの開発を進めています。現在は、新規受託案件を積極的に取りに行くフェーズではありません。既存クライアントの売り上げに貢献することで当社の売り上げを増やす傍ら、自社サービスを立ち上げて収益化することに注力しています」（内山氏）。

同社が開発を進めるのは、美容師にフォーカスした集客プラットフォームだ。美容師個人の情報発信から予約受付までワンストップでサポートする。この事業を立ち上げるため、サロン専門の集客メディアで営業経験を積み、現在はサロン経営のコンサルティングを行っている人物を取締役に迎えた。すでにサービスの骨子は完成し、デザインとプログラミングも進行中だが、目標とする年内リリースを可能とするには、エンジニア、デザイナー、マーケター、それぞれの増員が不可欠。既存事業と新規事業の両方で力を発揮できる人材の採用を急ぐ。

組織作りを進めるにあたり内山氏が掲げたビジョンは“人生を豊かに”だ。

「人の採用を始めたのは、1人で仕事をするよりも、チームで取り組む方が面白いと思ったからです。今はなんとなく生きて行ける世の中だと思います。しかし私自身は、働く意味のようなことを真剣に考えてしまうタイプ。当社で働く人々にも“この会社にいる価値”“ここで仕事をする価値”をしっかり感じてもらいたい。“だからこの会社にいる”と、明言できる環境作りをしていきたいです」（内山氏）。

内山氏が言う環境作りとは、メンバーごとに異なる事情や価値観に合わせて働ける環境だ。例えばあるメンバーは、もともとフリーランスで仕事をしていた。同社には、アルバイトで関わり始めたが、内山氏が必要不可欠な人物と判断したため正社員登用を打診。ただ、フリーランスとして自身の顧客があるためフルでは働けないため、フレックス制を提案するなど、落とし所を探り合意に至った。

「チームで仕事を進める楽しみや、クライアントの成長に貢献できるうれしさを享受しながら、自身が成長し、変わっていく。それによって人生が豊かになれば良いなと強く思います。この会社で学べることがないなら、この会社にいる必要はありません。成長意欲の高い方々を迎え、学べる環境、チャレンジできる環境を提供し続けたいと思います」（内山氏）。

従業員が増えるにしたがい、会社を大きくしたいという気持ちも強くなっている。規模が拡大すればするほど可能性は広がり、企業としての価値も高まる。新規事業の構想が固まったことで、その思いはさらに強まっている。

「個人の豊かさを担保しながら、事業を拡大できれば良い会社になるはず。何より人が増えてきたことで、私自身、楽しんでいますし、刺激も受けています。同じ仕事をやっていても、その価値は全く違ったものだと感じます」（内山氏）。

現在の同社で働く魅力は、裁量の大きさ、風通しの良さ、自由な働き方等、成長の入り口に立つ小規模な会社ならではの魅力だ。特に、エンジニアはまだ社内に在籍していないため、プロダクトの開発を含め、ゼロイチの創出に関われる醍醐味がある。デザイン部門、マーケティング部門、開発部門、それぞれチーム化するにしたがい、権限委譲も進む。

「現在は個人の価値観も多様化しています。やりたいことをやりながら正社員として働きたいという人もいるでしょう。当社は時短、フレックス、リモート等の相談に乗れます。他ではできないこともアルティエならできる。そんな可能性は持っていたい。頑張りたい気持ちがあっても、融通が利く会社に巡り会えないという方は是非話を聞かせてほしいです」（内山氏）。

内山氏自身、学生時代から続けていた音楽活動を大学卒業後も続けながら働いた経験を持つ。一方では、チームでしか成し遂げられないことがあることも実感している。そんな内山氏が率いる同社には、自分らしく未来を変えられる可能性がある。