取締役事業本部長 兼 企画貿易部マネージャー・池端 忠司氏

エア・リゾーム社の設立にご参画された経緯をお話しください。

私がエア・リゾームの設立に参画したのは、前職時代に取引があった宮武製作所の社長に誘われたことがきっかけでした。宮武製作所はメーカー卸の会社です。当時はまだメーカーがネットで直接販売することがタブー視されていましたので、別会社を立ち上げるという話でした。私はまだ28歳で、ちょうど転職を考えていたところに、自由にやって良いと言われて参画を決めました。 立ち上げ当初からドメイン設定としては、主に20代から40代までの比較的若い年齢層の生活者を想定していました。特に30代をボリュームゾーンに設定しました。それらのお客様が好むデザインを、お求めやすい価格で提供することがコンセプトです。 当時はそのようなコンセプトの店舗はありませんでした。今は増えましたが、私も若かったですし、どうせ作るなら自分が欲しいと思うデザイン、自分が友達に紹介できるようなデザインの商品を販売したいと思っていました。それも含めて自由にやってよということでしたので、思った通りの店舗を立ち上げました。

事業は順調に立ち上がりましたか。

最初は全く思ったようにはいきませんでした。正直、しばらくの間は「このままでは給料泥棒。辞めた方が良いのではないか」と思いながら毎日出社していました。 ただ、いろいろなことがあって考え方を自責に切り替えてから状況が変わりました。先代の社長から誘われて転職した時、私は自信満々で入社したのです。ただ「好きにやって良いよ」と言われたものの、本当に全権を与えられるとは思っていませんでした。場所だけ与えられて、「はい、どうぞ。後はやって」みたいな感じで、完全にほったらかしでした。前に勤めていた会社の社長が、リーダーシップで引っ張っていくタイプの人でしたので、それと比較してしまって「どうして社長はサポートしてくれないのだろう？」という不審感も抱いていました。 しかしある時に考えが切り替わりました。他責で物事を考えると、その時点で全てのことが行き止まりになってしまいます。自責で考えれば、他人の行動に縛られず、自分の思った通りに物事を進めていけると気が付いたのです。 そのタイミングで、ある取引先の商品が売れ出してようやく売上が立ってきたのですが、売上は立ち始めたものの利益はあまり出ていない状況でした。当時は宮武製作所をはじめ、国内メーカーから仕入れた商材を販売していましたので、利益は薄かったのです。これでは駄目だと思い、自分で商品を企画・デザインして、オリジナル商品を販売し始めたところ、利益率が向上し、本当の意味で成長軌道に乗りました。

現在の課題をお話しください。

直近の3年間ほどはコロナ禍の影響で“家中商材”の需要が一気に増えました。その需要拡大に対して、組織体制やマンパワーが追い付いていない状況です。個人の力に依存しない組織力を上げて、組織として安定的に成果を出せる状況を作っていくことが現在の課題です。 よくある組織論ですが、スーパースターが一人いるより、平均的な力を持った人材が集まって、それぞれがきちんと機能し続ける方が、組織としての安定的な成長は見込めます。スーパースターに依存してしまうと、その人が辞めてしまえば、成長がストップしてしまいます。もちろん、そのようなスーパースターがいることは良いことですが、そこに依存することは良くありません。そういう意味で、組織力を高めていくフェーズであると考えています。 例えば私がマネージャーを務める企画貿易部には商品企画のチームがありますが、個人によって持っているノウハウが違いますので、みんなが持っているノウハウを体系化し、組織としての開発力を向上させ、再現性を確保する取り組みを始めています。

御社で働く魅力をお話しください。

まず事業について言えば、現在、市場的にEC化率は伸びていますので、マーケット的な魅力はあると思います。しかもリアルの小売店は地域が限定されますが、Eコマースは全国のお客様が対象になります。 また、最近は実店舗でもデータを取れるようにはなっていますが、Eコマースは全てインターネットを介していますので、デバイスを通じて全てデータが残ります。自分が打った施策の成果が、定量的な数値で良かったのか、悪かったのかがダイレクトかつ明確に反映されます。お客様の評価も分かりやすいので、自身の仕事が誰かの喜びに繋がったり、役に立ったりしていることが実感しやすい仕事です。 エア・リゾーム特有の働きがいや魅力もあります。比較的新しいことに取り組みやすい会社ですので、行動さえすれば様々なチャレンジができる環境です。 また、部門に関係なく、協力的で仲が良い会社ですので、コミュニケーションも活発です。お互いの行動が、どのように影響し合っているかを実感する機会も少なくありません。 さらに、仕事をしているとヘビーな課題や問題がよく発生します。みんな大変だと思いますが、当社のメンバーは悲壮感をいつまでも引きずらない傾向があります。どんなことが起きても、ニコニコ前向きに話していることが多いです。個人的には、そんな雰囲気が魅力だと思っています。

求める人物像をお話しください。

どの企業も同じことを言うと思うのですが、自責で物事を考えられる、主体性がある人物が好ましいです。基本的には、自ら手を挙げて、積極的に取り組む姿勢がある人に任せた方が仕事は上手くいくはずです。 逆に主体性がなく、他責で物事を捉える人は厳しいと思います。他人に過度に期待したり、外部環境のせいにしたりするより、自身の責任で行動した方が、コントロールできる範囲が増えてきます。私自身の経験から、その方が仕事もプライベートも楽になると考えています。 その考え方は、採用でも一貫して重要視してきました。面接でも注力して見ていますし、「そういう考え方ができないと、しんどいかもしれないよ」と伝えています。もちろん、最初から全て合格点の人はいませんので、採用した人にはフォローするようにしています。 また、今年から人事考課が変わりました。本質的に自身の仕事の成果から対価が出てくるという考え方は、創業時から重視してきたことです。今回は、それを明確に基準として打ち出しています。成果に応じて会社として還元できるものはきっちり還元する。したがって、今後は昇給の段階やスピードは一律ではなくなります。「頑張りました」ではなく、成果を意識して行動したり、話したりできる人にご入社いただきたいです。 私は、仕事とは自己実現に必要なものだと考えています。自分以外の人に価値を提供することで、自分にもいろいろなものが返ってきます。その結果、自分が実現したいことに近付けるのです。当社は企業理念の中に「自己実現」というワードを入れています。人それぞれ幸せの形は違いますが、仕事は最低でも1日8時間は拘束されるものですので、そこに繋げてもらえたら嬉しいです。