株式会社インフォボックス

市場リサーチ・企業リスト作成・決裁者アプローチを一気通貫で実現する営業データプラットフォーム『infobox』を手掛ける、株式会社インフォボックス。同社は、過去・現在・未来、どこを覗いてもワクワクの止まらないスタートアップ企業だ。そのワクワクの根源は、代表取締役CEOである平沼海統氏だろう。

平沼氏は中学卒業後から社会に出る。2023年7月時点で25歳だが、既に社会人歴10年だというから驚きだ。東海地方で肉体労働や飲食店店長を経験。そして2018年2月、自身でビジネスを興そうと20歳を目前に上京する。その下積みとして挑戦したのが、個人向け営業の営業代行だった。

「恥ずかしながら、上京するまで営業とは何なのかさえもわかっていませんでした」と平沼氏は振り返る。入社1カ月目の成績は社内で最下位。しかし、そこから営業トップのメンバーをくまなく分析。がむしゃらに努力を重ね翌月からトップとなり、ひたすら多くの営業ノウハウを吸収。同時に起業への準備をし進めた。なんという成長スピードと行動力だろうか。

そうして2018年7月、コールセンターをはじめとする法人向けの営業代行として起業。平沼氏が編み出した営業ノウハウの蓄積から、新規のアウトバウンド営業では成約率が1~3%が平均の中、20％近い高い成果を上げていった。そこにあるのは根性論や偶発的な成功ではない。

その高い知見を基に2021年、営業支援システムを開発するITスタートアップ企業へとシフトチェンジする。
COOである清水俊介氏はこう語る。「当社が方向性を変えたきっかけは、ベンチャーキャピタルから外部資本を受けたことです。平沼の起業家としての素質に着目しお声掛けいただきました」頑丈な基盤を作り上げた上で、スタートアップとして挑戦できるようになったのだ。

営業が嫌いだ、ときっぱり話す平沼氏。忙しい時間を縫ってほんの少しの企業情報をかき集め、手あたり次第に連絡する―。このような営業方法に辟易していたという。そこで平沼氏は“ALL-WINNERな世界へ” をビジョンに掲げ、買い手・売り手双方にとってより良い購買環境を実現したいと考えた。情報の獲得にかかる時間を減らし、コミュニケーションの不一致をなくし、 より本質的なことに、人の力を最大限使えるように。情報の先にある、真に相手が求めることにフォーカスして、創造的な仕事ができるように。電話やメールや飛び込み営業の数ではなく“企業データの量”を増やし、少しでもニーズの高い企業へ、少しでも最適なタイミングでアプローチしていくのだ。

そのビジョンから生まれたのが、『infobox』だ。テクノロジーとアナログを駆使しつつ、同社が持つ幅広いネットワークから豊富なデータを集めて集約。信憑性の高く深い情報を、短いスパンで収集・更新している。

100件に1件ではなく、10件に1件の成約に結び付けられれば、営業のやりがいも、営業に対する世間のイメージも変わっていくはず。非生産的な購買コミュニケーションが機会損失を生み出さないように『infobox』は、営業の本質へ立ち返る重要なプラットフォームだと言えるだろう。

企業データを取り扱う事業会社は世の中に沢山ある。その中で同社は、どう差を付けているのだろうか。

まず、企業データには大きく2種類あることに触れておきたい。一つ目は企業の基礎情報を押さえた“オープンデータ”。大手データバンクが提供する情報や、ウェブ上で公開されているものが例に挙げられる。二つ目は営業をかける企業それぞれが各自で集めた“自社データ”。営業や打ち合わせ等のシーンで、相手企業から直接ヒアリングしたものだ。

だが『infobox』に蓄積されたデータは、この二つのどちらにも当てはまらない。
例えば営業提案をより良くするために、プレス情報や資金調達状況を調べたり、採用サイトを見たりと多くの情報収集をしている場合がある。さらに、導入インタビューやSNSを通じて組織のキーパーソンがどんな思考かを調べたり、企業や業界の動向を調べたりと、質の高いアプローチをするために知っておきたい情報は無数にある。だがそれらを行うと新規開拓のために非常に多くのリサーチ時間がかかってしまう。
それらの課題を解決できる情報達が凝縮されているのが、『infobox』なのだ。

「オープンデータやデータベース企業が集めた情報を提供している会社など様々ですが、我々は希少性やリアルタイム性の高い情報、そして自分達に必要な情報等、いわば“生きたデータ”が収集されています。非効率な営業活動ではなく顧客に寄り添った提案ができる世界を目指しています」（清水氏）。

『infobox』に登録したクライアントは、データベースに載った全ての情報をチェックできる。しかしそれだけではない。『infobox』では、情報のカスタマイズも行うのだ。例えば、企業Aの賃貸オフィスの更新時期について。不動産会社のセールスでこの情報を手に入れられれば、グッドタイミングで営業できる。一方、広告営業を行う会社には不要な情報だ。そこで、各クライアントに“必要な情報”を選定したオリジナルのプラットフォームを作り上げるのだ。

こうして各クライアントへ“生きたデータ”を提供し、営業活動を成功に導いてきた。その結果、クライアントや株主から紹介を受けるリファラル契約も多いという。関係者から厚く信頼されていることがよく分かる。

「忙しい営業職がなかなかできない情報収集。膨大な情報の中から必要な情報を自分達で手に入れるのは、気の遠くなるような作業です。しかし、営業アウトソーシングから始まった当社には、そのネットワークとノウハウがある。情報収集という、絶対重要でありながら泥臭いフェーズを、私達が一手に引き受けるのです」（平沼氏）。

無用な営業をする企業と、無用な営業をされる企業を減らす。そして本当にサービスが必要な顧客へアタックする。そうすれば営業は不幸なものではなく、お互いの幸せへの近道になるはずだ。

代表の特異なキャリア、営業代行からIT企業への転換、営業の価値観自体のアップデートなど、やはり同社はオンリーワンのワクワクを秘めた企業だ。

第二創業期ならぬ、リアルな二回目の創業期を迎えている現在。組織体制や事業の方向性は、メンバー全員で構築している最中だ。

「『目指すものやマイルストーンが同じなら、過程や手段は個人の裁量があっていい。』―こちらは平沼の言葉です。私達は方向性や価値観は共有しながら、メンバーそれぞれのオーナーシップを大切にしています」（清水氏）。

組織作りについては、平沼氏本人からも興味深い話が聞けた。「日本でいう“チームワーク”って、全員で円陣を組んでお互いに向き合うようなイメージがありませんか？しかし、私の思う“チームワーク”は全員が外側を向き、背中を預け合っているイメージです。四方八方それぞれを向いたメンバーが、それぞれの使命を果たしていく。同じ船に乗って旅をするって、そういうことだと思うんですよね」

そして同社について、もう一つ語りたいことがある。

人事を担当する高田氏は取材にて、「全員が参加しているチャンネルでは、プライベートでの出来事もみんなよくシェアしています。例えば先日、私の兄に子供が生まれました。それを発信したところ、お祝いのコメントやスタンプを沢山もらえましたね」メンバーの幸せを共に喜び、時には悩みを共に解決する、同社にはそんなカルチャーが出来上がっている。

また同社は現在、メンバーの家族をオフィスに招いたファミリーデーという社内イベントも予定している。家族に自分の職場を見せて安心してもらうことも、家族同士で新たなコミュニティを築くこともできそうだ。

高田氏はこうも話す。「フレックス勤務やリモートワークはもちろんのこと、制度を見直す際、“家族からも応援してもらえる働き方”を重視しました。一緒にお仕事をしていくからこそ困った時相談できたり、働きやすい環境の整備だったりは非常に大切です。家族のように大切なメンバーだからこそ、その家族まで幸せににしたいです。」

一蓮托生。同じ船に乗った運命共同体。このチームには、そんな言葉が浮かばないだろうか。誇れる仲間と化学反応を起こし、もっともっと人生を面白くできそうな組織だ。