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インタビュー画像理事長・医師 澁谷 裕之氏

医療法人メディカルビットバレーを立ち上げるまでの経歴は?

私が医師を志したのは、地域医療で大きな需給ギャップが起きているのを見出したから。長岡の生まれである私は、地域医療の崩壊が予測されていることに大きな危機を感じて、青森県にある大学の医学部に入学。6年間の学生生活を終えて、山形県にある病院で研修医として働きました。 ちょうど私が研修医をしていた頃、医療業界では「総合診療科」がトピックになっていました。私も地域医療との関連で「総合診療科」に興味を持ち、研修医が終わったタイミングで総合診療科のある秋田県の病院に移りました。その後、同郷の先輩から長岡市にある病院が総合診療医を求めていると声をかけられ、20年以上ぶりに生まれ故郷の長岡に戻りました。 長岡市にある病院では、総合診療科の初期から参加。副部長を務めていましたが、本気で地域医療の在り方を変えるには、飛び出して自分でやるしかないと考え、同じ志を持った内科二人、小児科一人、皮膚科一人の四人の医師でクリニックの設立へ向けて動き出しました。

医療法人メディカルビットバレー設立から現在までの流れは?

2020年10月8日に『エールホームクリニック』がオープンしましたが、最初は患者が少なくて苦労しました。ところが、コロナ禍のワクチン接種で潮目が変わりました。コロナ禍のワクチン接種が始まり、『エールホームクリニック』でもワクチン接種を受け付けました。メディカルビットバレーは設立当初から地域密着型医療機関を目指しています。中でも、新型コロナに限らず様々なワクチン接種を行っています。ワクチンを接種することで病気の発症を予防したり、重症化を防いだりすることができます。気軽にワクチン接種できる環境を提供し、長岡市民の健康増進のお手伝いをしたいと考えています。 新型コロナのワクチン接種が本格的に始まった2021年6月から、『エールホームクリニック』では積極的に取り組みました。2022年3月にアピタ長岡店の中に『エールワクチンセンター』を設立したことで、地域住民に『エールホームクリニック』の存在を知ってもらい、多くの人が来院してくれるようになりました。加えて、テレビや新聞でメディカルビットバレーの取り組みが紹介されて、全国的な知名度も上がり、メディカルビットバレーの理念に共感する医師や看護師、それ以外のスタッフが集まってきました。

医療法人メディカルビットバレーを立ち上げた理由は?

医療業界にありがちな医師を頂点としたヒエラルキーを極力なくし、フラットで良好な職場としてのクリニックを作りたいという思いが『エールホームクリニック』創業の背景です。医師を志した時から、医師不足に悩む地方に信頼できる医師を集め・育てるシステムを創りたいという思いで試行錯誤してきました。あれこれ経験した結果、質の良い医療を提供するには、そこで働く人達がワクワク楽しく、前向きに仕事ができる環境が必要だという思いに至りました。スタッフルームの共有を図る等、全ての診療科が同じフロアで協力し合いながら、各自がプロとして仕事に励む。こうして効率の良い診療体制を構築して患者さんにとって最高の成果を上げられるように努力しています。 『エールホームクリニック』の開院準備を進めている最中に、長岡市から再開発で長岡駅前に建設される「米百俵プレイス」に『エールホームクリニック長岡』を開設しないか、と打診を受けました。まだ『エールホームクリニック』が開院していない状況でしたが、長岡市の行政と協力して新しい地域医療のカタチを作ることができれば、長岡の活性化や全国の地域医療の維持・発展に関わるチャンスがあると考え、『エールホームクリニック長岡』の開院を決めました。

クリニックを運営する上で大切にしていることは?

患者さんのために医師と看護師とその他のスタッフが有機的に連携する新しい医療のカタチを社会に広めるべくスタートしたメディカルビットバレーには、多くのこだわりがあります。そのこだわりをいかに楽しく、自然にメンバーに習慣化してもらうようにするかは理事長である私の大事な役割だと考えています。 メディカルビットバレーのこだわりの一つに「顔出し」があります。メディカルビットバレーで働くメンバーは全員、医師も看護師も事務スタッフもホームページにおいて写真付きで紹介しています。企業にとって、とりわけ医療分野では「顔出し」=「品質保証」と考えるからです。全てのスタッフの全ての仕事に「品質保証」をする意味で、メディカルビットバレーでは全員に「顔出し」をお願いしています。 メンバーそれぞれに自分の役割を認識し、仕事に責任を持つと同時に、全ての職種が「必要性」という尺度ではフェアであることを実感してもらう意味もあります。フェアであることを実感し、それぞれの仕事に誇りを持つ。これも結局は「品質保証」に繋がります。どんなに有能で、どんなに素晴らしい実績を持つ人材であっても「顔出し」できない人は採用しません。「顔出し」は、未来に対する覚悟だと思っています。

採用基準である“いい奴”について教えてください。

私が思う“いい奴”は、他人のことを慮る人ですね。人のために本気になれる奴。小学生や中学生の時に、クラスにいましたよね。みんなから愛される“いい奴”。あの感覚です。言語化は難しいですが、実際に会えば一発で分かります。直観的にビビっときますね。だから、採用面接ではいろんなことを話しています。私も喋るし、相手にも話してもらう。お互いのことを知った上で、一緒に歩めそうなら採用です。 メンバーにはクリニックで楽しく働いてもらいたいというのが、私の根底にあります。病院やクリニックは、どうしてもネガティブな空気に陥りがち。けれども、そこで働く人々が明るく前向きな姿勢でいれば、来院した患者さんにもいい影響を与えると考えています。それ以前に、明るく楽しい職場はメンバーのメンタルヘルスの観点でもメリットがあります。 メンバー全員が参加し、それぞれの専門領域以外の仕事を学ぶ「クリニック勉強会」を定期的に開いています。みんなでクリニックのことを考え、理想の職場を作りたいという思いからです。各種イベントも積極的に開催して、メンバー間の交流を深めています。目標を達成したらみんなで喜ぶのが、メディカルビットバレー流です。

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