株式会社シムックスイニシアティブ

株式会社シムックスイニシアティブの掲げているミッションは、次のとおりだ。
【企業内のあらゆるデータを解析し、継続的に課題を抽出し、改善します】

同社のサービスは、大きく次の2領域がある。

●製造業向け工場DX
生産性や設備効率の観点から、生産設備の稼働データをIoTセンサーによって収集・分析・評価（見える化）し、収益性の高い最適な操業を実現させる独自ソリューション『Jupiter X』を現場ごとにカスタマイズして提供。それまで現場の勘や経験で行ってきた操業を、データによる見える化でムダの発見や業務改善、生産性向上に繋げる。

●カーボンニュートラルを目指す事業者向けGX
空調機器の自動制御（電力制御に必要となるデータをセンサーで収集、気象予報とも連動して制御）による省エネ・CO2排出抑制や、生産設備・ユーティリティ（給排水・電気等の設備）の電力計測・可視化による省エネ・CO2排出抑制を支援。
なお、空調機器に関しては、電気料金の削減分から一定割合を成果報酬とする新たなビジネスモデルも打ち出している。

また、東京電力エナジーパートナー社から同社ブランドのデマンド監視装置開発ニーズを受け、ハードウェアおよびソフトウェアの設計・開発を行うといったODM/OEMも提供している。

これらのサービスにおける同社の強みは、1988年の創業以来35年にわたり、一貫して顧客の現場に入り込んで取り組んできたノウハウや技術力の蓄積と、独立系として最適な機器を提案できるベンダーフリーの立場にある。こうした強みにより、これまでユーザー社数約20,000社、製造現場やエネルギー管理現場のデータ収集ポイント200,000カ所という実績を誇る。ユーザーとしては、トヨタ自動車等400社以上の大手企業をはじめ、東京大学等、広範に及んでいる。

同社の母体は、金型メーカーの中島工機製作所。その創業者の子息である中島高英氏（現・シムックスイニシアティブ代表取締役CEO）が商社勤務を経て1983年に2代目として入社し、新規事業として工場の現場改善を行うべくシステム開発部門を設置したことが始まりとなった。PCもまだ普及していない当時、中島氏はコンピュータを学び直し、1986年に生産設備の自動制御を行うDNC（Direct Numerical Control）システム『NCリンクス』を開発する。ファクトリー・オートメーションの走りと言えるだろう。

そして、1988年に『NCリンクス』の開発・販売を手掛けるシムックス株式会社を設立する。この製品は世界一生産効率に厳しいとされるトヨタ自動車に注目されることになり、他社との比較検討の結果、同社工場に採用される運びとなった。
その後、生産管理や部品管理等のシステムをリリースし、一貫して製造現場の生産性向上に貢献してきた。

こうした流れの中で、世の中では省エネルギーへの取り組みが課題となる。そこで2003年にエネルギーモニタリングシステム『ESP Dragon』をリリースし、今日のGX領域に業容を広げた。2005年には、省エネルギー優秀事例全国大会で「資源エネルギー庁長官賞」を受賞している。
2009年にはシムックスコンサルティングを分社化。2014年に現・取締役COOの長井一真氏がCTOとして入社し、2015年に中島氏と共に新規事業としてエネルギー利用を最適化するプラットフォームの開発・運営を手掛ける株式会社アヴニールを設立し、東京電力と工場のエネルギー見える化の実証実験を開始する。

そして、2020年にアヴニール、シムックス、シムックスコンサルティングを統合し、シムックスイニシアティブに社名変更した。
同社はこれまで、国内の生産現場や事業者のGXやDXによる生産性向上やカーボンオフセットに取り組んできた。日本の省エネや生産技術は世界トップレベルにある。今後は引き続きこの日本市場で当該技術・ノウハウを深掘りするとともに、海外展開を図っていく構えだ。既にタイにおける日系企業の生産現場で実証実験に着手している。
「IoT機器の場合、無線の方が施工性は良いのですが、各国ごとの規制がハードルとなっています。こうしたハードルを一つひとつクリアして、着実にグローバル展開を図っていきたいと考えています」と長井氏は力を込める。

同社の社員数は約40名で、平均年齢は31歳（2023年11月現在）。そんな同社における組織風土づくりの方針について、長井氏は次のように話す。
「仕事に対して常に達成感を覚え、働く時間を充実させてほしいと思っています。そのためにも、チームリーダーに権限を委譲し、それぞれのKPIを主体的に追求していける環境をつくっています」

なお、チームリーダーは若手でも能力次第で抜擢する実力主義を採っている。人事考課も成果報酬型の体系を整備していく。「一方で、積極的なチャレンジを奨励し、失敗しても責めることはない。失敗から学んで次に生かしてもらえばいいという考えで臨んでいる」と長井氏。
人材育成においては、長井氏が全メンバーとの1on1を定期的に行い、それぞれのキャリアビジョンを基にジョブチェンジを図っている。
「私はこれまでの経歴で技術や営業、企画等の業務を一通り理解しているので、本人の得意・不得意を踏まえて最適な配置ができているのではないかと自負しています」（長井氏）。

働き方としては、それまでのリモートワークOKのハイブリッド型から、オフィスワークに戻していく方針だ。
「コロナ禍でリモートワークにシフトした企業の多くが、リモート体制ではコミュニケーションに支障をきたしていると表明していますが、当社も例外ではありませんでした。そこで、特別な事情がない限りリモートワークは認めない方向に変更します」（長井氏）。
その上で、チームビルディングに取り組み、チームごとのパフォーマンス向上を図る。
「それぞれの業務を掘り下げ、まずは課題に直面してほしい。その課題解決にチームとして一丸となって取り組み、ステージを上げていくことが重要だと考えています」（長井氏）。

同社のサービスにおいては、顧客現場へのIoT機器の設置が必要なことから、チーム単位で顧客の地方拠点に出張するケースが少なくない。「こうした機会を利用して結束を強化している」と長井氏は話す。
また、新人の入社等の機を見て全体の親睦を図る社内イベントも行っている。

そんな同社が求める人材像について、長井氏は次のように話す。
「当社の取引先は大手企業の経験豊富なビジネスパーソンが多く、目の肥えた相手に評価されるような価値のあるソリューションを提案する必要があります。そこで、自らの力を試したい人、自らの力を高めたい人には最適な環境であると言えるでしょう」

世界トップレベルにある日本の生産現場DXやGXは、グローバル市場からも期待されていると言えるだろう。同社での仕事からは、大きなやりがいが得られるに違いない。