ダイコク電機株式会社

ダイコク電機株式会社は、パチンコホールと遊技ファン（エンドユーザー）を対象とする情報システム事業と、遊技機メーカーを対象とするアミューズメント事業の2事業で、パチンコ業界の発展を支える設備メーカーだ。名古屋市に構える本社を中心に、北海道から九州まで全国20拠点で事業を展開している。従業員数400名を超える東証プライム上場企業だ。

1973年7月の設立から半世紀の間に同社が生み出した業界初または業界No.1の製品・サービスは多数に及ぶ。特に強みの源泉となっているのが、今やパチンコホールの経営には欠かせないホールコンピュータだ。1974年10月、業界初のパチンコホール経営用コンピュータ『オミクロンコンピュータⅠ型』を発売して以来、約50年間、業界シェアNo.1を維持してきた。

ホールコンピュータは、ホールに設置されたパチンコ台やパチスロ機等のデータを集計し、ホール経営に役立つ高度な分析を提供するシステムだ。台や景品、顧客、情報公開、セキュリティ等、店舗運営に必要なシステムを統合管理できる。パチンコホールの店舗数は全国に7,665店舗（2022年現在）。そのうち同社のホールコンピュータを導入する店舗は約3,000店舗でシェア率は38.7%に上る。また、同社のホールコンピュータと繋がる遊技台は、全国の店舗で稼働する351万台のうち171万台で、シェア率は48.7%に達している。遊技台のシェア率が高いのは、大型店舗への導入が多いことが理由だ。

このホールコンピュータを通じて、同社はパチンコホール業界の経営手法や常識を革新してきた。1990年4月には、全国のホールコンピュータから集まってくる膨大な台データを活用したパチンコホール向け会員制情報サービス『DK-SIS』を開始。同社とパチンコホールとの間にネットワークを構築し、付加価値の高い情報を提供することで、ホール側は、台情報や機種ごとの営業データ、遊技台活用法、業界情報等、従来は入手不可能だった情報を入手し、店舗の経営分析や他店との差別化戦略に生かせる。

このような数値に基づく管理手法は、現在ではパチンコホール業界の標準として定着。業界で使われる専門データ用語も、同社のホールコンピュータの表記を基準に共通言語化されたものが多く、その共通言語化が緻密なデータに基づく管理手法の浸透を促してきたのである。

さらに、パチンコホールの経営支援を推進する新ブランドとして、2007年に『MIRAIGATE』をリリース。『DK-SIS』を通して集まる台データを軸に、ホールの集客データや、業界No.1の有料会員数を誇るファン向け情報サイト『データロボ サイトセブン』から得られるファンの動向データといったビッグデータと、AI等の最新技術によって営業戦略や集客戦略、運用・管理をトータルに支援するサービスだ。ストックビジネスとして、同社の安定した経営基盤を支える。

ホールコンピュータのパイオニアとしてデファクトスタンダードを確立することで、後発の競合他社に対しても圧倒的な優位性を保ってきた同社。ホールコンピュータ以外にも、業界初の情報公開機器、大型液晶呼び出しランプ等、数多くの製品でトップシェアや出荷台数トップを獲得してきた。CRユニットは最後発ながら、3年で販売台数トップとなり、現在では業界全体の約2割を占めるまでにシェアを拡大している。

また、同社はパチンコホール、遊技機ファン、遊技機メーカーの全方位に事業を展開する国内唯一の企業だ。遊技機メーカーに向けては、パチンコ台に組み込まれる制御ユニットや表示ユニット等の開発・製造・販売を行っている。

以上のような事業展開で持続的な成長を遂げてきた同社だが、コロナ禍の影響で業界全体が低迷した3年間は、同社も開発投資を抑制。しかし2023年3月期の決算では、2022年以降に登場したスマート遊技機に対応した大型液晶呼び出しランプやカードユニット等への投資が功を奏し、大幅な増収増益となった。

人事部長・赤阪竜氏が語る。
「スマート遊技機をきっかけに業界は盛り上がっていますが、ホール、遊技機メーカー、設備業者、いずれも設備投資できないところは淘汰され、二極化が進んでいます。その一方でファンの人数は、この数年、横ばいの状態が続いています。そういった中、当社のシェアは年々、着実に高まっています」

こういった追い風を受け、同社は今後も、製品やサービスへの開発投資を積極的に進める方針だ。

その一つが既存サービスのクラウド化だ。特に情報システム事業では、AIやビッグデータ等の技術に対応できるよう、プラットフォームの刷新を図ってきた。例えばチェーン店分析・管理システム『ClarisLink』は既にクラウド化を果たし、ユーザーの声を迅速に反映できるようになる等、効果が表れている。今後は商圏分析サービスの『Market-SIS』、省力化ツール『らく替えオプション』といったサービスも強化していく計画だ。

一方、アミューズメント事業でも大きな変革に取り組む。従来のパチンコメーカーに向けた製品開発に止まらず、今後はスマートパチスロ事業に参入していく方針だ。そのために事業部名をAMS（アミューズメント&サプライ）統括部へ改称し、グループ内のパチスロメーカーと共にパチスロ機の開発を進めている。市場投入は2024年中となる見込みだ。

同社が目指すのは、“社会に望まれるものを提供した上で、イノベーションを実現する会社”である。同社はこれまで、ホールコンピュータやデータロボ、『DK-SIS』等の製品で、業界に不可逆的な変化をもたらせてきた。それは全方位に向けた事業を展開しながら多角的な視点で、各時代のトレンドを取り込みながら生み出してきた成果だ。今後も顧客の要求や期待に応え、業界のイノベーションをリードしていく考えである。

同社がイノベーションを生み出し続ける原動力は、同社の社員そのものだ。同社が取引する企業の多くが、大型店や地域No.1の店舗等だ。そういった顧客は要求レベルが高い。その高い要求レベルに対し、製品やサービスの企画や開発を担う部署だけではなく、営業や製品サポート、コールセンター等の各部門が一体となり、全力で取り組む中で数々のイノベーションを生み出してきたのである。

そのベースにあるのは、社員一人ひとりの能力を存分に引き出す環境である。営業や製品サポート、開発等の部署を問わず、組織の論理や過去の慣例等で縛ることはせず、個人の経験やスキル、考えを尊重し、自主性に任せることで創造性を引き出す。それによって、積極的なチャレンジや質の高いアウトプットが生み出されてきた。

特徴的なのが営業部門だ。インセンティブのノルマを設けていないにもかかわらず、メンバーそれぞれが顧客の利益と自社の成長に対して主体的にコミットし、成果を上げていく。

「当社には決められたノルマや営業手法がありません。もちろん営業ならチームごとに目標数値は決まっていますが、達成しなくても給与が変動することはありません。悩んでいる人を支える文化もあります。負担が一人に集中することがないよう、チーム全体でカバーし合うとともに、営業推進部が営業ツールの提供や同行を行う等、フォロー体制も整っています。お客様にあった営業手法を考え行動することが個人のスキルＵＰ、結果モチベーションにも繋がります。」（赤阪氏）。

このような環境に加え、自己申告書制度や提案制度等、社員を中心に据えたキャリア形成や評価の仕組みがあり、通信教育補助や資格取得祝金制度や研修等、自身のスキルを磨くための制度も用意されている。また、誕生日休暇や記念日休暇等の特別休暇制度や、退職金制度、各種補助金の制度等、福利厚生も充実している。
このような環境を背景に、離職率は1.91%と極めて低く、平均勤続年数は20年弱と長期に及ぶ。

今後、同社では、中期経営計画に沿って製品やサービスの開発を活発化するとともに、業務のDXをはじめとする社内環境の整備にも注力していく計画を掲げる。業務量の増加に備え、採用活動に注力中だ。

「とにかくポジティブな方にご入社いただきたいです。パチンコ業界は今後、変革の時期を迎えますが、当社にはシェアNo.1の強みがあります。その強みを生かして、当社にしか実現できない優位性や信頼、プライドを一緒に作っていきましょう。自分が働くことによってホール経営の力になれる。そんな前向きな気持ちで仕事に向き合える方をお待ちしています」（赤阪氏）。

エンジニアにとっては、業界のイノベーションに繋がるような先端技術に触れられることも大きな魅力となるはずだ。同社は、これまでの価値観を変えるような刺激に満ち溢れた会社だ。