イジゲングループ株式会社

大分市にヘッドオフィスを構えるイジゲングループ株式会社は、伴走型のITコンサルティングで、大分をはじめとする九州の中小企業に経営支援（DX支援）を提供するITカンパニー。システム開発ではなく、業務改善や新規ビジネスの創造などを包括的に手掛けるのが、その特徴だ。

企業のDX
は、単なるデジタルツールの導入ではない。業務全体を再デザインして、それに合わせたツールを導入し、オペレーションがスムーズに進むよう時には人材育成もする。同社がDX支援を「経営支援」と呼ぶのは、企業のデジタルシフトが企業経営全体のアップデートだと考えるからだ。

「イジゲングループはIT企業ですが、当社の事業をDX支援ではなく経営支援と呼ぶのは、中小企業にとってDXは経営の根幹に関わる問題だと強く認識しているからです。イジゲングループはもともと自社サービス開発を目的に創業しましたが、コロナ禍で方針を転換し、自社サービス開発のノウハウをクライアントワークで発揮するITコンサル企業に生まれ変わりました」（代表取締役 CEO・鶴岡英明氏）。

同社は、クライアントワークを基本としているが、単なる受託開発はしない。クライアントと一緒に新しいシステムやビジネスを創るスタンスを崩さない。実際、同社の仕事のいくつかは、包括的なパートナーシップの下でプロジェクトを推進し、中には、クライアントと合弁会社を共同で創業するケースもある。

「学校向け給食や学食事業を営んでいる株式会社はたなかと2021年2月に共同で株式会社PECOFREEを創業しました。コロナ禍で事業の先行きが不透明になったことで、既存事業をDXさせた新規事業を模索する中で、当社に声がかかりました。半年間のアドバイザリーで“はたなか”が持つノウハウと課題を抽出し、当社のサービス開発力で、学生向けのモバイルオーダーランチサービス『PECOFREE』が生まれました」（鶴岡氏）。

PECOFREEは、スマートフォンで自由にスクールランチを選んで楽しめるモバイルオーダーサービス。「はたなか」の既存事業の強みであるお弁当の製造能力、保有する配送の仕組みを活用し、そこにデジタル要素を加えることで新たな価値を生み出した。

「学校給食問題、共働き世帯の家事負担の軽減、食材の廃棄ロス問題の解消にも繋がる社会性の高いサービスとして多くのメディアに取り上げられ、西日本シティ銀行及び福岡県主催のビジネスプランコンテストで最優秀賞を受賞しました。イジゲングループの事業は、クライアントのアセットを活用して新しい価値を生み出す点に強みを持っています」（鶴岡氏）。

同社が手掛ける伴走型のITコンサルティングは、IT業界では珍しいビジネスモデルではない。ただ、大分県で同社レベルのITコンサルティングを提供している会社となると、とたんに数が減る。近年全国各地で少しずつ増えている「地元密着型のDX会社」。その大分県版といえるのが同社なのだ。

「地方の中小企業は、DXを必要としています。しかし、単なるツールの導入ではない、真のDXを提供できる企業は、地方に少ないのが現状。そうなると、東京のコンサルティング会社に頼まなければなりませんが、料金が高いこともあって大手コンサルティングファームには依頼できません。私たちイジゲングループは、高い技術力と豊富なサービス立ち上げ経験を持ち、そのノウハウとスキルで九州の中小企業のDX支援に貢献します」（鶴岡氏）。

2022年12月、同社は、西日本フィナンシャルホールディングスのグループ会社となった。地方金融機関のグループ会社となったことで、経営支援（DX支援）を必要とする地方企業により簡単にリーチできる立場となり、今後の成長が見込まれている。

「地方金融機関は、多くの地場企業が取引先です。金融機関は融資先の企業がビジネスを成功させるためにノウハウも提供する役割を担っています。時には、提携するパートナー会社を紹介して融資先の企業をバックアップします。イジゲングループもパートナー会社として、西日本フィナンシャルホールディングスの取引先のDX支援をしてきました。お互いの地域社会に対する想いや使命感が一致していること、そしてお互いの課題を補完し合ってシナジーを生み出せる関係性であることを鑑み、西日本フィナンシャルホールディングスの一員となりました」（鶴岡氏）。

同社の強みは、既成概念にとらわれることなく、自由な発想でビジネスをクリエイトする力。西日本フィナンシャルホールディングスのグループ会社となることで、自由さや自主性が損なわれると懸念されるが、西日本フィナンシャルホールディングスは同社の強みを消さないように最大限の配慮をしてくれたと、鶴岡CEOは語る。

「グループ入りに伴い、事業の自由性や自主性を損なわないような座組を提案してもらうなど、西日本FHには最大限のリスペクトと配慮をしていただきました。実際にグループ入り前と比べても、事業遂行に際し何も制約はありません。むしろ、大きな後ろ盾を得たことで、逆に自由度が増している気がします。気持ちや動きはスタートアップのまま。これまで以上にスピード感を持ってクライアントの経営支援に邁進します」（鶴岡氏）。

地方で暮らしたいエンジニアにとって、悩ましいのが「仕事内容」。ニアショアという言葉があるように、大都市圏のSIerの仕事の一部を請け負う形で開発に参加するケースも多く、システムの一部を“作る”仕事は、お世辞にもエキサイティングとはいえない。その点、同社ではシステムを“作る”のではなく、クライアントと一緒にビジネスを“創る”仕事。ゼロベースから“モノづくり”を仕事にできるチャンスがある。

「イジゲングループは、ITテクノロジーを活用して、クライアントをあらゆる方面からサポートして、共にビジネスを創り上げるのを生業にしています。要件の決まったシステムを仕様書に基づいて作るのではなく、クライアントと併走してビジネスを創ります。私たちにとって“システム開発”は、業務の一部に過ぎません。クライアントと共にビジネス全体をデザインして、会社の未来を創り上げる。エンジニアがBizサイドまで携われるのは、はっきり言ってめちゃくちゃ楽しいです」（鶴岡氏）。

自社サービスの開発能力を持つ会社が、そのノウハウとスキルをクライアントワークに全て注ぎだしている。同社でエンジニアが働く最大の魅力は、この一点にある。

「自社サービスもクライアントワークも、ビジネスを創造する点において差異はありません。むしろ、異なるプロジェクトに参画できるクライアントワークの方が、フレッシュな気持ちを持続しやすく、スキルを磨くチャンスにも恵まれます。自社サービスとクライアントワーク、双方のメリットを併せ持つのが、イジゲングループの仕事だと自負しています。大分にはなかったです、こんな会社」（鶴岡氏）。

同社は、大分オフィスのほかに、福岡や宮崎にもオフィスを構え、北九州市小倉には北九州サテライトオフィスも開設している。メンバーは全オフィスを合わせて約40名。20代～40代まで幅広い世代が集まっており、グループ共通のVALUE（行動指針）を体現し、MISSIONクリアに向けて日々業務や行動を続けている。

「私たちのミッションは“あらゆる人のポテンシャルを最大化する”。地方ならではの課題を解決し、地方に独自のエコシステムを創りたいという想いを持っています。メンバー各自がポテンシャルを最大化できる自由な働き方を奨励し、新しいことへのチャレンジも大歓迎。メンバーのスキルアップは会社の成長とイコールだと考えます」（鶴岡氏）。

大分や福岡、宮崎などでクリエイティブな仕事をしたいと考えているエンジニアやUI/UXデザイナーは、ぜひ同社のもっと具体的な話を聞いてほしい。イジゲングループという会社の存在が、文字通り“異次元”なのを体感できるはず。そして、そこには求めていた“仕事”のカタチがあるかもしれない。