株式会社エムティシー

土木設計向けのパッケージソフトウェア『APS-21シリーズ』を自社で開発・販売し、交通インフラを技術面から支えている株式会社エムティシー。このソフトウェアは、道路、鉄道、交通、トンネル、施工計画、車両軌跡といった6つのカテゴリごとに分かれており、3次元で設計・シミュレーションできるもの。日常で見かける道路・交差点・信号・鉄道など、様々な建設計画やモノづくりに用いられている。ソフトウェアのシェア率は、道路設計で50％以上、鉄道設計ではほぼ100％を誇り、まさにニッチ市場のトップシェアといっても過言ではないだろう。

主に官公庁・建設コンサルタント・ゼネコン・鉄道会社・運送会社等と取り引きし、その数は約4,500社にのぼる同社。これまでに、新東名・新名神高速などの高速道路や、北陸・北海道・西九州新幹線などの整備新幹線事業にも同社のソフトウェアが活用されている。

もともと交通インフラの設計は2次元で行われていたが、同社が3Dモデリングでシミュレーションが可能なソフトを開発。3次元設計に変わったことで作業効率が劇的に上がり、多くの企業から高い評価を得ている。また、エンドユーザーからの要望によるソフトウェア強化に力をいれており、長く付き合っている取引先が多い。

さらにソフトウェアの開発・販売だけではなく、保守契約を結んでいる取引先が多いことも、同社の特徴の一つだ。保守契約を結ぶことで、プロフェッショナルなサポート担当がソフトウェアについて丁寧に教えてくれるほか、最新バージョンのソフトウェアをダウンロードできるため、多くの企業がサポートを受けている。「開発・販売」と「保守契約」の「2軸の事業の柱」があることから、安定した経営基盤があるといえるだろう。

こうした理由から業績は成長し続けており、5年連続で売上は向上。代表取締役社長の堀井裕信氏は「ニッチな会社ですが、景気に左右されない交通インフラを支える事業を展開しているので、安定して仕事はあります。道路も鉄道もなくならないので、一生潰れない会社ですよ」と、将来性も抜群だ。

主に官公庁・建設コンサルタント・自動車メーカー等と取り引きしている同社だが、最近では新しく物流会社からの問い合わせや引き合いが増えている。ドライバー不足と言われている物流業界は、同社のソフトウェアの一つである「車両軌跡」に注目。簡単に車両軌跡図の作成ができるということもあり、導入する企業が増加傾向にあるという。このように、道路や鉄道といった既存顧客だけではなく、物流業界という新規の分野にも事業を広げ、時代に寄り添ったサービスを提供している。

では、なぜここまで、同社のパッケージソフトウェア『APS-21シリーズ』が拡充していったのか。それは、開発エンジニアと営業スタッフ間の密な連携に理由がある。営業スタッフが顧客から「こんなサービスが欲しい」「追加でこういう機能があれば良い」という声を聞くと、すぐさまエンジニアに情報を共有。社内一丸となり、常に改良を重ねてきたのだ。だからこそ『APS-21シリーズ』は派生していったのである。

このことからも分かるように、社内の風通しが非常に良いことも同社の強みだ。エリアや部署をまたいで相談・議論することが多く、営業部、エンジニア部、サポート部の部署間のコミュニケーションも活発だ。さらに元エンジニアである代表の堀井氏は「すぐに何でも相談できる距離感」という考えを大切にしていることから、開発に着手するまでのスピードも早い。

顧客の声に丁寧に耳を傾け、対応し続けるからこそ、リリース後には「この仕様を待っていました」「アップデートで、さらに効率化を図れます」という感謝の声をかけられることが多いという。達成感を味わえるほか、自社サービスが本当に必要とされていることを再認識しながら働けるだろう。

「建設業界は大きな変革期を迎えている」と語る堀井氏。今後の同社の展開について聞くと、Webサイト経由で簡単なソフトウェアを購入できたり、保守費用を確認できたりと、顧客面でのDX化と、出張が多い営業スタッフが効率良く仕事ができるようにと、人材面でのDX化の強化を想定しているという。

顧客の満足度及びサービスの向上はもちろんのこと、社員の働きやすい環境を整えることにも注力している同社。堀井氏は、職場は人生の多くの時間過ごす場所であるからこそ「仕事に集中できる場所」であるだけでなく、「居心地の良い場所」「成長できる場所」であることが大切と考えている。その環境を実現するため、福利厚生や手当などを充実させた。

原則、毎日定時退社を推奨しており、平均残業時間は月10時間未満と低い数字をキープしている。また、家族との時間や趣味の時間など、仕事以外の人生も大切にしてほしいという想いから、年間休日は125〜129日とたっぷり確保。さらに、会社の利益を還元していく方針のため、賞与実績は9.5か月を支給するほか、家族手当や住宅手当、結婚・出産祝い金等、福利厚生も充実している。

また、社内はフラットな環境で、役職呼びは一切なし。社員数は35名弱と少数精鋭で、穏やかで落ち着いている社員ばかりが在籍している。このように、制度や環境が整っているからこそ、勤続年数は平均17年と長く、腰を据えて働く人が多いのだ。

働くフィールドがニッチ市場なので、専門知識がない人にとっては不安に感じるかもしれないが、安心してほしい。同社には豊富な研修制度が用意されており、知識を十分インプットした上で働けるからだ。この研修のおかげで異業種からの転職組も、現在では第一線で活躍している。

エンジニアは外部でプログラムの研修（C言語）を受講し、業務のベースを習得でき、営業は社内研修で自社パッケージソフトウェアを座学で学習する。なお、営業に関しては商材の理解を深めるため、最低1年間掛けて研修を実施。十分にスキルを身につけてから顧客対応を行うため、自信を持って仕事に取り組めるだろう。これ以外にも、職種ごとに様々な研修が用意されているほか、研修後も周りの先輩や上司が丁寧に指導してくれるため、独り立ち後でも安心だ。

そんな同社が求める人材は、「インフラを自分の手で変えたい人」「社会を支える影響力のある仕事をしたい人」だ。また、「働き方を変えたい人」「ワークライフバランスを整えたい人」も大歓迎だという。堀井氏曰く「働きやすい環境の下、キャリアを築き上げ、どんどん新しいことにチャレンジできる環境」である同社。安定した経営基盤の下、腰を据えて長く働きたい人にはピッタリな職場と言えるだろう。