株式会社Spakona

株式会社Spakonaは、AIコンサルティングサービスおよびAI技術導入サービスを手掛けている、2020年8月に設立されたスタートアップである。
同社のサービス内容は、次のとおり。

●AIコンサルティングサービス
・技術導入の対象選定と技術導入がもたらす効果の検討
・AI関連技術導入プロジェクトの発注時におけるベンダー選定に関するアドバイザリー
・AI関連技術の活用についての戦略立案・実行計画の策定
・プロトタイプ開発プランの策定と検証

●AI技術導入サービス
同社が既に保有するAI技術や最先端の研究に基づくアルゴリズムの導入を行い、顧客のビジネスの業務効率化や新たな価値創出を重視。
同社の保有するAI技術は、次のものがある。
・画像認識(Computer Vision)エンジン
・自然言語処理(NLP)エンジン
・データ解析(Data Analysis)エンジン
・数理最適化エンジン

上記のサービスにおいて、これまで次のような実績がある。

▼鉄道インフラ設備点検AIの共同研究
鉄道インフラの計測・検査システムを手掛けるグローバル企業を顧客として、線路の留め具や枕木等の設備を自動で検知・健全性診断を行うAIを共同研究。

▼コンサル業務支援システムの構築
コンサルティング会社に対し、自然言語処理により過去の類似案件を自動抽出し、調査時間を短縮する業務支援システムを構築。

▼需要予測システムの構築
それまで製品需要を現場経験者が推定予測していた大手化学メーカーに対し、過去の出荷量データによる学習モデルに基づく予測システムを開発ベンダーと共同で構築。

▼引越しの見積もりアプリの画像解析エンジンの構築
引越し前の部屋をスマホのカメラでスキャンすると、家具の種類やサイズ、個数を割り出し、自動で見積もりを作成するアプリ開発に寄与。従来、営業担当者が現地に訪問して行っていた見積もり作業の省人化を実現。

こうした中で、目下の主要取引先となっているのは完成車メーカー。例えば、人が画像を目視して行っているロボットの遠隔操作を、画像解析AIにより自動化するといったシステムの提案から構築までを行っている。
「最新鋭の工場においてすら、まだまだこうした自動化の余地が沢山残されています。当社は、工場の随所を視察する最上流から入り、実装まで担う契約を締結していますが、最先端のさらに先を行く生産現場づくりに貢献していきたいと考えています」と代表取締役の河﨑太郎氏は力を込める。

同社は、河﨑氏が大学院時代の学生仲間である取締役の服部篤樹氏と共同で創業した。

河﨑氏は、学部時代に学生ロボコンに出場し4位に入賞した実績を持つ。大学院時代は航空宇宙領域の研究室に在籍し、流体解析シミュレーションにAIを活用したり、松尾研究室でもインターンとして学んだりした。修了後はソフトバンク株式会社に入社し、東京大学とソフトバンクによる世界最高レベルのAIの研究と、その研究成果の社会実装・事業化を目指す「Beyond AI」プロジェクトに新卒として初めてアサインされ、医用画像データ運用システムの創成と事業化プロジェクトに関わり、その後、同社を設立した。

同社設立の経緯を、河﨑氏は次のように説明する。
「祖父が経営者であったことから、高校生の頃から起業に関心を持っており、いつかやりたいと考えていました。最終的にAI領域でのサービスを行うことに決めた要因は2点あります。大学院時代に画像解析の深層学習の威力に衝撃を受けたこと、AIが世の中で大いに活用される可能性を感じたことです。そこで、研究室仲間で気の合った服部を誘い会社設立を決めました。

そんな同社のミッションは、次のとおりだ。

【世界を最適に設計する/Design the World Optimally】

「私達は“最適”という概念を、あらゆるリソースが社会で最も効率的に使用されている状態と考えています。“最適”な状態を実現するために、AI技術を核としたシステムの社会実装が不可欠だと確信しています」（河﨑氏）。

そして、バリューとして“Customer Insight”を最重視している。顧客が真に必要としている価値を探り、その提供を第一に考えるというスタンスだ。
「私たちは、技術力の向上やR&Dを重視しつつも、常に顧客の真のニーズに応えるソリューションを提供することを最優先に考えています。最先端の論文にアクセスし、最新の技術をキャッチアップして、常に顧客により良い提案をしようと考えています。一方で、顧客が本当に必要としているのは、場合によっては枯れた技術によるほどほどの精度で、かつ低価格なソリューションかもしれません。私たちはAI開発企業ですが、AIを使わない方が顧客のためになると判断すれば、そのように提案する場合もあります。こうした“Customer Insight”において、他社よりも勝っていると自負しています。」（河﨑氏）。

同社が得意とする製造現場の自動化は、日本はもちろん、世界中にニーズが溢れている。同社では既にグローバル企業を顧客に擁し、社員の外国人比率も40%（2024年6月現在）と高い。
「今後は自ずとグローバルにビジネスを展開させていくことになると思っています」と河﨑氏は話す。

2024年6月現在、同社のメンバーは5名で、河﨑氏が主にコンサルタント/技術営業として顧客の現場を視察の上、提案を行い要件定義までを担う。それを、服部氏含め3名のエンジニアが受け、適宜外部のエンジニアを活用しながら設計・開発を行うといったフォーメーションを取っている（もう1名はバックオフィス担当）。

風土づくりの基軸に据えているのは、前述の“Customer Insight”。
「顧客にとって役に立つシステムを提案することが制約条件で、その上で自分達が“技術的に面白い”と感じることを最大化させるという考え方を徹底しています」（河﨑氏）。

そんな同社の雰囲気は、ツートップが大学院の研究室出身ということもあって研究室然としたところもあるが、「ムダなことは極力排除し、スピーディーに結果を出すことにこだわっている」という。
そのため、多くの業務を可能な限りドキュメント化し、次回業務の効率化に繋げている。

働き方としては、密なコミュニケーションとムダのない業務のためオフィスワークが基本。
「リモートワークと違い、オフィスではホワイトボードも活用でき、議論を活発に行うことができます」（河﨑氏）。

知識やスキル向上に必要な、書籍や生成AIサービス等のアカウント、デバイス類は会社負担で自由に購入できる。
また、福利厚生として借上社宅制度も用意。特に地方在住者の転職にはメリットがあるだろう。

そんな同社が求める人材像について、河﨑氏は次のように話す。
「人柄が良くて話していて楽しい方、向上心があって勉強意欲の高い方、そして“Customer Insight”を実践できる方に加わっていただきたいと願っています。あと卓球が上手いとなお良いです。」
自動化・効率化に資するAIを実装し、社会貢献できる同社では、人の役に立つやりがいを大いに感じられるだろう。